【ITニュース解説】Zoi, an advanced package manager
2025年09月04日に「Dev.to」が公開したITニュース「Zoi, an advanced package manager」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
新しいパッケージマネージャーZoiは、全プラットフォーム対応を目指し開発中。パッケージのインストール、更新、特定バージョン固定、アンインストールなど様々な操作が可能だ。安全性を重視し、チェックサムや署名検証も実装している。
ITニュース解説
新しく「Zoi」という名前のソフトウェア管理ツールが開発されている。これは、コンピューターにソフトウェア(パッケージ)を導入したり、更新したり、不要になったものを削除したりする役割を果たすツール、つまり「パッケージマネージャー」の一種だ。Zoiの大きな目標は、さまざまなコンピューターのOS(オペレーティングシステム)上で動く、非常に柔軟でカスタマイズ可能な「万能のソフトウェア提供・管理システム」となることにある。WindowsやmacOSはもちろん、Linuxの仲間であるFreeBSDやOpenBSDといった、より専門的なOSでも同じようにソフトウェアを扱えるようにすることを目指している。
システムエンジニアが開発を行う際、多くのソフトウェアをインストールしたり、そのソフトウェア同士の依存関係(あるソフトウェアが別のソフトウェアの機能を使っている状態)を管理したりする作業は避けられない。Zoiは、この手間を減らし、より効率的で安全なソフトウェア利用環境を提供しようとしているのだ。
Zoiには、ユーザーがソフトウェアを管理するために必要な基本的な機能が備わっている。例えば、「zoi install hello」というコマンドを使うと、「hello」という名前のソフトウェアを簡単にコンピューターにインストールできる。これは、Zoiが管理している「アクティブなリポジトリ」と呼ばれる、ソフトウェアが登録されている場所から自動的にソフトウェアを見つけてインストールしてくれる機能だ。また、特定のソフトウェア提供元(リポジトリ)を指定して「zoi install @hola/hola」のようにインストールすることも可能で、これにより、より幅広いソフトウェアを管理下に置けるようになる。
さらに、ソフトウェアのバージョンを指定してインストールする機能も重要だ。「zoi install package@v1.2.0」のように記述すれば、最新版ではなく、特定のバージョン「v1.2.0」のソフトウェアをインストールできる。これは、特定のソフトウェアのバージョンでないと動作しないシステムや、古いバージョンを使い続けたい場合に非常に役立つ機能だ。
すでにインストールされているソフトウェアを最新の状態に保つことも、システムのセキュリティや安定性にとって非常に重要だ。Zoiでは、「zoi update package」というコマンドで特定のソフトウェアを更新できるし、「zoi update」と入力するだけで、インストール済みのすべてのソフトウェアを一括で更新することも可能だ。これにより、手間をかけずに常にシステムを最新の状態に保ちやすくなる。
時には、特定のソフトウェアが自動的に最新版に更新されてしまうと困るケースもある。例えば、ある機能が最新版では削除されてしまった場合や、互換性の問題が生じる場合だ。Zoiには、そのような状況に対応するため、「ピン留め(pin)」という機能がある。「zoi pin package v1.2.0」と指定すると、そのソフトウェアは「v1.2.0」よりも新しいバージョンには自動的に更新されなくなる。これにより、システムの安定性を保ちながら、必要なバージョンを使い続けることができる。もしピン留めを解除したい場合は、「zoi unpin」コマンドを使用する。
当然ながら、不要になったソフトウェアはシステムからきれいに削除したいものだ。Zoiでは、「zoi uninstall package」という簡単なコマンドで、指定したソフトウェアをシステムから取り除くことができる。
ソフトウェアの提供元であるリポジトリの管理もZoiの重要な機能の一つだ。「zoi repo add repo-name」というコマンドで、新しいリポジトリをZoiの管理下に追加できる。これにより、標準のリポジトリだけでなく、特定のプロジェクトが提供するソフトウェアや、自分で作成したソフトウェアをZoi経由でインストール・管理できるようになる。
Zoiはこれ以外にも、インストール可能なソフトウェアを検索したり、現在インストールされているソフトウェアの一覧を表示したり、特定のソフトウェアの詳細情報を確認したりする機能を持っている。さらに、ソフトウェアのソースコード(プログラムの設計図)から直接ソフトウェアをビルド(作成)する機能も備えており、より高度なカスタマイズや開発作業にも対応できる設計になっている。
特に重要なのは、ソフトウェア間の「依存関係」の管理機能だ。多くのソフトウェアは単独で動作するのではなく、他のライブラリやツールを必要とする。Zoiは、このような複雑な依存関係を自動的に解決し、既存のパッケージマネージャーとの互換性も考慮しているため、システムエンジニアは依存関係で悩むことなく開発に集中できる。
Zoiは、ソフトウェアの登録情報(レジストリ)を管理する方法にも工夫を凝らしている。通常のパッケージマネージャーでは、レジストリ全体をダウンロードし直す必要がある場合があるが、Zoiはバージョン管理システムであるGitを利用している。これにより、新しいソフトウェアの追加や既存ソフトウェアの更新があった場合でも、Gitの仕組みを使って変更部分だけを効率的に同期できるため、更新作業が非常に高速になるというメリットがある。ユーザーはZoiの標準レジストリだけでなく、独自のレジストリを設定したり、そこへ個別のリポジトリを追加したりすることも可能だ。
開発者は、Zoiが提供するソフトウェアの「安全性」を非常に重視している。悪意のあるソフトウェアや、プログラムの不具合を含むソフトウェアがシステムに導入されるのを防ぐため、Zoiには「チェックサム検証」と「署名検証」というセキュリティ機能がすでに実装されている。チェックサム検証は、ソフトウェアのデータが改ざんされていないかを確認する仕組みで、署名検証は、そのソフトウェアが本当に信頼できる開発者によって提供されたものかを確認する仕組みだ。これにより、ユーザーはZoiを使って、より安心してソフトウェアをインストールできる。
このZoiプロジェクトは現在、開発者一人によって進められている。しかし、プロジェクトの規模は拡大しており、多くの機能が計画されているため、開発者は協力してくれるコントリビューター(共同開発者)を積極的に募集している。もしZoiのコンセプトに興味を持ち、このプロジェクトに貢献したいと考える人がいれば、小さな貢献でも大歓迎だという。また、もし時間と経験があり、共同でプロジェクトを維持・管理できるのであれば、GitLabの有償プランである「GitLab Ultimate」の利用権を提供するという申し出もある。ZoiのソースコードはGitHubで公開されており、詳しいドキュメントもウェブサイトで参照できる。将来のバージョンに向けたロードマップも公開されており、Zoiが今後どのように進化していくのかを確認できる。