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【PHP8.x】HashContext::__serialize()メソッドの使い方

__serializeメソッドの使い方について、初心者にもわかりやすく解説します。

作成日: 更新日:

基本的な使い方

『__serializeメソッドは、HashContextオブジェクトがserialize()関数によってシリアライズされる際に、その状態を配列として返す処理を実行するメソッドです。シリアライズとは、オブジェクトを保存したり転送したりできる形式(通常は文字列)に変換するプロセスを指します。このメソッドはPHPのマジックメソッドの一つであり、HashContextオブジェクトに対してserialize()が呼び出されると自動的に実行されます。このメソッドが返す配列には、ハッシュ計算を後から再開するために必要な全ての情報が含まれています。具体的には、使用されているハッシュアルゴリズム(例: 'sha256')、HMACアルゴリズムの場合に使用されるキー、そして計算の途中経過を表す内部状態などです。ここで返されたデータは、対となる__unserializeメソッドがオブジェクトを復元する際に使用されます。これにより、計算に時間のかかる大きなデータのハッシュ処理を途中で中断し、後でその状態から再開するといったことが可能になります。』

構文(syntax)

1<?php
2
3$context = hash_init('sha256');
4
5hash_update($context, 'some data');
6
7$serialized_context = serialize($context);

引数(parameters)

引数なし

引数はありません

戻り値(return)

array

__serialize メソッドは、HashContext オブジェクトをシリアライズ(保存や転送のためにデータ構造をバイト列に変換すること)する際に、そのオブジェクトの状態を表す配列を返します。

サンプルコード

PHP HashContext シリアライズと精度影響

1<?php
2
3/**
4 * ini設定 'serialize_precision' がシリアライズ結果に与える影響と、
5 * HashContext オブジェクトのシリアライズを確認するサンプルコードです。
6 *
7 * HashContext オブジェクトを serialize() すると、内部的に __serialize() メソッドが呼ばれ、
8 * ハッシュ計算の途中状態が保存されます。
9 * 'serialize_precision' は、浮動小数点数を文字列に変換する際の最大有効桁数を設定します。
10 */
11function demonstrateSerializationWithPrecision(): void
12{
13    // 確認用の浮動小数点数
14    $floatValue = M_PI; // 3.141592653589793
15
16    // シリアライズ可能なハッシュコンテキストを作成
17    // このオブジェクトをシリアライズする際に HashContext::__serialize() が呼ばれます
18    $context = hash_init('sha256');
19    hash_update($context, 'some-data-to-hash');
20
21    // シリアライズ対象のデータ(HashContext と浮動小数点数を含む配列)
22    $data = [
23        'context' => $context,
24        'float'   => $floatValue,
25    ];
26
27    // 1. serialize_precision をデフォルト値 (-1) のままシリアライズ
28    // -1 は、値を正確に表現するために必要な桁数を使うことを意味します。
29    ini_set('serialize_precision', -1);
30    $serializedDefault = serialize($data);
31    echo "serialize_precision = -1 (default):" . PHP_EOL;
32    echo $serializedDefault . PHP_EOL . PHP_EOL;
33
34    // 2. serialize_precision を 5 に設定してシリアライズ
35    // 浮動小数点数が5桁の精度でシリアライズされます。
36    ini_set('serialize_precision', 5);
37    $serializedWithPrecision5 = serialize($data);
38    echo "serialize_precision = 5:" . PHP_EOL;
39    echo $serializedWithPrecision5 . PHP_EOL . PHP_EOL;
40
41    // デシリアライズして、値が変化していることを確認
42    $unserializedData = unserialize($serializedWithPrecision5);
43    echo "Unserialized float value (precision=5): " . $unserializedData['float'] . PHP_EOL;
44
45    // デシリアライズしたコンテキストでハッシュ計算を完了できることも確認
46    $restoredContext = $unserializedData['context'];
47    hash_update($restoredContext, '-and-more-data');
48    $finalHash = hash_final($restoredContext);
49    echo "Finalized hash from restored context: " . $finalHash . PHP_EOL;
50}
51
52demonstrateSerializationWithPrecision();

このPHPコードは、ハッシュ計算の途中状態を保持する HashContext オブジェクトを serialize() 関数で文字列に変換する際の動作と、PHPの設定項目 serialize_precision の影響を示すサンプルです。

HashContext オブジェクトを serialize() すると、内部で自動的に __serialize() メソッドが呼び出されます。このメソッドは、オブジェクトが持つハッシュ計算の途中状態を保存するためのデータを配列形式で返します。serialize() 関数はこの配列を受け取り、オブジェクトの状態を復元可能な文字列に変換します。これにより、時間のかかるハッシュ計算を中断し、後で再開することが可能になります。

serialize_precision は、serialize() が浮動小数点数を文字列に変換する際の有効桁数を設定します。サンプルコードでは、まずデフォルト値である -1(精度を落とさない)でシリアライズし、次に値を 5 に設定しています。その結果、浮動小数点数である円周率の値が有効桁数5桁に丸められて出力されることが確認できます。

unserialize() で文字列からデータを復元すると、HashContext オブジェクトは正しく復元され、ハッシュ計算を再開できます。このように、__serialize() はオブジェクトの状態保存に重要な役割を果たします。

serialize_precisionは浮動小数点数をシリアライズする際の有効桁数を設定するもので、サンプルコード内のHashContextオブジェクトのような他のデータ型には影響を与えません。この値をデフォルトの-1より小さい値に設定すると、浮動小数点数の精度が失われ、復元時に元の値と異なる可能性があるため注意が必要です。HashContextオブジェクトのシリアライズは、__serializeメソッドの働きによりハッシュ計算の途中状態を安全に保存し、後で計算を再開するための機能です。ini_setによる設定変更は、そのスクリプトの実行中のみ有効となります。

PHP HashContextのserialize/unserialize

1<?php
2
3// hash_init() でハッシュ計算のコンテキスト(途中状態)を保持するオブジェクトを作成します。
4// ここでは 'sha256' アルゴリズムを使用します。
5$context = hash_init('sha256');
6
7// hash_update() で計算対象のデータを追加します。
8hash_update($context, 'Hello, ');
9
10// serialize() を使って、HashContextオブジェクトを文字列に変換(シリアライズ)します。
11// この時、内部的に HashContext::__serialize() メソッドが呼ばれ、
12// オブジェクトの状態が配列として取得された後、文字列化されます。
13$serializedContext = serialize($context);
14
15echo 'シリアライズされたデータ:' . PHP_EOL;
16echo $serializedContext . PHP_EOL . PHP_EOL;
17
18// シリアライズした文字列から、unserialize() を使ってオブジェクトを復元します。
19// これにより、ハッシュ計算の途中状態を復元できます。
20$restoredContext = unserialize($serializedContext);
21
22// 復元したコンテキストに、さらにデータを追加します。
23hash_update($restoredContext, 'world!');
24
25// hash_final() で最終的なハッシュ値を取得します。
26$hashValue = hash_final($restoredContext);
27
28echo 'シリアライズ・アンシリアライズを経て計算したハッシュ値:' . PHP_EOL;
29echo $hashValue . PHP_EOL . PHP_EOL;
30
31
32// --- 参考:シリアライズせずに一括で計算した場合 ---
33$directHashValue = hash('sha256', 'Hello, world!');
34echo '一括で計算したハッシュ値:' . PHP_EOL;
35echo $directHashValue . PHP_EOL;
36
37?>

このサンプルコードは、PHPでハッシュ計算の途中状態を保存し、後から再開する方法を示しています。hash_init()関数で生成されるHashContextオブジェクトは、ハッシュ計算のコンテキスト(途中経過)を保持します。serialize()関数でこのオブジェクトを文字列に変換(シリアライズ)すると、内部でHashContext::__serialize()メソッドが自動的に呼び出されます。このメソッドは引数を取らず、オブジェクトが持つハッシュアルゴリズムや計算途中の状態といった情報を配列として返します。serialize()関数は、この配列を元にオブジェクトを復元可能な文字列を生成します。その後、unserialize()関数を使うことで、この文字列から元のHashContextオブジェクトを復元し、計算を中断した時点から再開できます。サンプルでは、一度シリアライズして復元したコンテキストにデータを追加して最終的なハッシュ値を計算しており、一括で計算した場合と同じ結果になることで、状態が正しく保存・復元されたことを確認できます。

__serialize()は、serialize()関数が実行される際にPHPが内部的に呼び出す特殊なメソッドのため、開発者が直接呼び出すことはありません。最も重要な注意点は、unserialize()関数に信頼できない文字列を渡さないことです。悪意のあるデータからオブジェクトを復元すると、深刻なセキュリティ問題を引き起こす可能性があります。この機能は、自分で生成したデータを一時的に保存し、後で計算を再開するような場合にのみ安全に利用できます。また、PHPのバージョンやサーバー環境が異なると、シリアライズされたデータが正しく復元できない場合があるため、長期保存や異なる環境でのデータ交換には注意が必要です。

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