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HMAC(エイチマック)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HMAC(エイチマック)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

エイチマック (エイチマック)

英語表記

HMAC (エイチエムエーシー)

用語解説

HMAC(エイチマック)は、Hash-based Message Authentication Codeの略であり、ハッシュ関数に基づいたメッセージ認証コードを生成するための技術である。これは、通信されるデータが転送中に改ざんされていないこと(データの完全性)と、そのデータが正当な送信元から送られたものであること(送信元認証)を同時に保証するために広く利用される暗号技術の一つである。システムエンジニアを目指す上で、データの信頼性とセキュリティを確保するために不可欠な概念と言える。

HMACが必要とされる背景には、通常のハッシュ関数が持つ限界がある。ハッシュ関数とは、任意の長さのデータから固定長の短い値を計算する一方向性の関数であり、入力が少しでも変わると出力(ハッシュ値)が大きく変わる特性を持つ。この特性を利用すれば、メッセージのハッシュ値を計算して、受信側で同じメッセージからハッシュ値を再計算し、比較することでメッセージが改ざんされていないかを確認できる。しかし、この方法だけでは送信元が本当に正しいのか、あるいは悪意のある第三者がメッセージを改ざんし、それに合わせて新しいハッシュ値を計算し直して送りつけてきたのかを区別できない。なぜなら、ハッシュ関数は公開されているアルゴリズムであり、誰でもハッシュ値を計算できてしまうからである。

そこでHMACは、この課題を解決するために「秘密鍵」を用いる。HMACは、特定のハッシュ関数(例えば、SHA-256やSHA-512など)と、送信者と受信者の間で事前に共有された秘密鍵を組み合わせて、メッセージ認証コード(MAC)を生成する仕組みである。この秘密鍵は、両者以外には知られていないことが前提となる。

HMACの動作原理は以下の通りである。まず、送信者は送りたいメッセージと、事前に共有している秘密鍵を用いて、特定の計算手順に従ってHMAC値を生成する。このHMAC値はメッセージ認証コードそのものである。送信者は、この生成されたHMAC値を元のメッセージと合わせて受信者に送信する。次に、受信者は受け取ったメッセージと、自身も保有している同じ秘密鍵を用いて、全く同じ手順でHMAC値を再計算する。最後に、受信者は自分が計算したHMAC値と、送信者から送られてきたHMAC値を比較する。この二つのHMAC値が完全に一致すれば、メッセージは改ざんされておらず(データの完全性が保証され)、かつ秘密鍵を知っている正当な送信元から送られてきたものである(送信元が認証される)と判断できる。もしどちらかのHMAC値が一致しなければ、メッセージが改ざんされたか、あるいは秘密鍵を知らない第三者による不正な送信であると判断できる。秘密鍵を知らない第三者は、たとえメッセージを改ざんしたとしても、正しいHMAC値を計算することができないため、偽造を防ぐことができる。

HMACが提供する主なセキュリティ特性は、データの完全性と送信元の認証である。データの完全性とは、データが送信中に変更されていないことを保証する性質を指す。HMACは、メッセージのわずかな変更であっても異なるHMAC値を生成するため、改ざんを容易に検出できる。送信元の認証とは、データが正当な送信者から送られたものであることを確認する性質を指す。秘密鍵を知っている者だけが正しいHMAC値を生成できるため、秘密鍵を持たない者はHMAC値を偽造できず、なりすましを防ぐことが可能になる。これらの特性により、通信の信頼性が飛躍的に向上する。

HMACの利点として、既存の安全なハッシュ関数をそのまま利用できる点が挙げられる。これにより、新しい暗号アルゴリズムを開発する手間がなく、広く普及し安全性が確立されたハッシュ関数の恩恵を受けることができる。また、HMAC自体もRFC 2104として標準化されており、その安全性が広く認められている。そのため、多くのシステムやプロトコルで採用されており、相互運用性も高い。

HMACは今日の多くのITシステムで利用されている。例えば、ウェブサイトの安全な通信を保証するSSL/TLS(HTTPS)プロトコルの一部として、メッセージの完全性と認証に使用されている。また、VPN(Virtual Private Network)接続におけるデータの保護や、ソフトウェアのダウンロード時にファイルが改ざんされていないことを確認する場面、さらにはAPI(Application Programming Interface)の認証や、JWT(JSON Web Token)の署名検証など、多岐にわたるセキュリティ要件を満たすために不可欠な技術となっている。これらの用途では、通信される情報やシステムへのアクセスが正当であることを保証し、悪意のある攻撃からシステムを保護する上でHMACが重要な役割を果たしている。

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