【PHP8.x】gc_collect_cycles関数の使い方

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gc_collect_cycles関数は、PHPにおいてガベージコレクションの一部として、特に循環参照によるメモリリークを解消するために実行する関数です。PHPは通常、不要になったメモリを自動的に解放するガベージコレクションという仕組みを持っていますが、オブジェクトがお互いを参照し合う「循環参照」という状態が発生すると、システムはそれらのオブジェクトがもはや使われていないと判断できず、メモリが解放されないことがあります。この関数は、そのような循環参照によって占有されているメモリを特定し、強制的に解放することを目的としています。

この関数を実行することで、メモリの使用効率が向上し、特に長時間稼働するアプリケーションや、大量のオブジェクトを生成・破棄するような複雑な処理において、システムの安定性維持に貢献します。PHPのガベージコレクションは通常バックグラウンドで自動的に動作するため、開発者が明示的にこの関数を呼び出す必要はほとんどありません。しかし、特定のタイミングで明示的にメモリを解放したい場合や、メモリ使用量が継続的に増加している問題(メモリリーク)を調査・解決する際に利用されます。この関数は、実際に回収された循環参照の要素の合計数を整数で返します。過度な呼び出しはパフォーマンスに影響を与える可能性があるため、必要最小限の利用が推奨されます。

基本的な使い方

構文(syntax)

<?php
$collectedCount = gc_collect_cycles();
?>

引数(parameters)

引数なし

引数はありません

戻り値(return)

int

この関数は、ガベージコレクションによって解放されたオブジェクトの数を返します。通常、正常に実行されれば、解放されたオブジェクトの数が整数で返されます。

サンプルコード

PHP gc_collect_cyclesで循環参照を解放する

<?php

/**
 * 循環参照を発生させるためのシンプルなクラスを定義します。
 */
class CycleObject
{
    // このプロパティが他のCycleObjectインスタンスを参照します。
    public ?CycleObject $reference = null;
    public string $name;

    /**
     * コンストラクタでオブジェクトの作成をログに記録します。
     */
    public function __construct(string $name)
    {
        $this->name = $name;
        echo "{$this->name} が作成されました。\n";
    }

    /**
     * デストラクタでオブジェクトの破棄をログに記録します。
     * 循環参照がある場合、すぐに呼び出されないことがあります。
     */
    public function __destruct()
    {
        echo "{$this->name} が破棄されました。\n";
    }
}

/**
 * gc_collect_cycles() 関数の動作をデモンストレーションします。
 * 到達不能な循環参照がガベージコレクタによってどのように解放されるかを示します。
 */
function demonstrateGcCollectCycles(): void
{
    echo "--- ガベージコレクションのデモンストレーション開始 ---\n";

    // PHPのガベージコレクタは通常、自動的に動作しますが、
    // このデモンストレーションでは手動での収集を明確にするため、
    // まず自動収集機能を一時的に無効化します。
    gc_disable();
    echo "ガベージコレクタの自動収集を無効化しました。\n";

    // 循環参照を作成するために2つのオブジェクトを生成します。
    $objA = new CycleObject('Object A');
    $objB = new CycleObject('Object B');

    // objA が objB を参照し、objB が objA を参照することで、循環参照を作成します。
    $objA->reference = $objB;
    $objB->reference = $objA;
    echo "Object A と Object B の間で循環参照を作成しました。\n";

    // $objA と $objB 変数への外部からの参照を解除します。
    // この時点では、循環参照があるため、これらのオブジェクトはPHPの参照カウントでは解放されず、
    // __destruct メソッドも呼び出されません。これらが「到達不能な」循環参照になります。
    unset($objA);
    unset($objB);
    echo "外部参照を解除しました。循環参照オブジェクトはまだメモリに残っています。\n";
    echo "(この時点で '破棄されました' メッセージが表示されないことを確認してください)\n";

    // 自動収集を再度有効にします。これで gc_collect_cycles() が動作可能になります。
    gc_enable();
    echo "ガベージコレクタの自動収集を有効化しました。\n";

    // gc_collect_cycles() を呼び出し、到達不能な循環参照を検出して解放します。
    // 戻り値は、解放された循環参照オブジェクトの数です。
    $collected = gc_collect_cycles();
    echo "gc_collect_cycles() を実行しました。\n";

    if ($collected > 0) {
        echo "結果: {$collected} 個の循環参照オブジェクトが収集され、解放されました。\n";
    } else {
        echo "結果: 収集された循環参照オブジェクトはありませんでした。\n";
    }

    echo "--- ガベージコレクションのデモンストレーション終了 ---\n";
}

// デモンストレーション関数を実行します。
demonstrateGcCollectCycles();

?>

PHP 8.4.12 で利用できる gc_collect_cycles 関数は、PHPのメモリ管理において重要な役割を担う内部関数です。PHPのオブジェクトは通常、「参照カウント」という仕組みでメモリが管理され、そのオブジェクトへの参照がすべてなくなると自動的にメモリから解放されます。しかし、オブジェクト同士がお互いを参照し合う「循環参照」が発生した場合、たとえ外部から誰もそのオブジェクトを参照していなくても、参照カウントがゼロにならないため、メモリ上に残り続けてしまうことがあります。

gc_collect_cycles 関数は、このような到達不能な循環参照を検出し、強制的にメモリから解放するために使用されます。この関数には引数はなく、呼び出すだけでガベージコレクタがメモリをスキャンし、到達不可能になった循環参照オブジェクト群を収集します。戻り値として、この処理によって実際に解放された循環参照オブジェクトの数を整数(int)で返します。

サンプルコードでは、gc_disable() で一時的にガベージコレクタの自動収集を無効にした後、意図的に循環参照を作成し、その外部参照を unset() で解除しています。この状態ではオブジェクトはメモリに残ったままですが、gc_collect_cycles() を呼び出すことで、循環参照が解消され、オブジェクトが破棄される様子が示されています。これにより、メモリリークのリスクを低減し、システムの安定稼働に貢献します。

gc_collect_cycles関数は、PHPの通常のメモリ管理では解放できない「循環参照」によるオブジェクトを強制的に収集し、メモリリークを解消するために使用されます。初心者の皆様は、ほとんどの場合PHPが自動的にガベージコレクションを行うため、この関数を明示的に呼び出す必要がない点をまず理解してください。手動での呼び出しは、メモリリークのデバッグや特殊なパフォーマンス最適化の際に検討されますが、頻繁な実行はアプリケーションの性能に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。サンプルコードのgc_disable()gc_enable()は、ガベージコレクタの動作を一時的に制御するためのものであり、通常はPHPの自動管理に任せることが安全な運用につながります。

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