ダウンタイム (ダウンタイム) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

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ダウンタイム (ダウンタイム) の読み方

日本語表記

停止時間 (テイシジカン)

英語表記

Downtime (ダウンタイム)

ダウンタイム (ダウンタイム) の意味や用語解説

ダウンタイムとは、コンピューターシステムやネットワーク、ウェブサイトなどのサービスが停止し、利用者がアクセスしたり機能を使ったりできなくなる時間のことである。日本語では「停止時間」や「不稼働時間」とも呼ばれる。システムが正常に稼働している状態を「アップタイム」と呼ぶのに対し、その反対の状態を示す言葉である。現代の社会では、多くのサービスがITシステムに依存しているため、ダウンタイムの発生は企業の売上損失や信用の低下に直結する重大な問題となる。したがって、システムエンジニアは、このダウンタイムを可能な限り短くし、システムの安定稼働を維持することが極めて重要な責務となる。 ダウンタイムは、その発生要因によって大きく二つに分類される。一つは「計画的ダウンタイム」であり、もう一つは「非計画的ダウンタイム」である。計画的ダウンタイムは、システムのメンテナンスやアップデートのために意図的にサービスを停止させることである。例えば、サーバーのハードウェアを交換したり、オペレーティングシステムにセキュリティパッチを適用したり、アプリケーションの新しいバージョンを導入したりする場合がこれにあたる。これらの作業は、システムの安定性やセキュリティを維持するために不可欠である。計画的ダウンタイムは、事前に利用者に告知され、利用者の少ない深夜や早朝など、ビジネスへの影響が最小限になる時間帯を選んで実施されるのが一般的である。 一方、より深刻な問題となるのが、予期せぬトラブルによって発生する非計画的ダウンタイムである。この原因は多岐にわたる。最も一般的な原因の一つにハードウェア障害がある。サーバーを構成するCPU、メモリ、ハードディスク、電源ユニットといった部品の物理的な故障や、ネットワークを構成するルーターやスイッチの故障がこれに該当する。また、ソフトウェア障害も頻繁に発生する原因である。プログラムのバグ、設定の誤り、あるいはメモリリークのように長時間稼働することでリソースを使い果たしてしまう問題などが挙げられる。ネットワーク障害もダウンタイムを引き起こす。通信ケーブルの断線や、外部のインターネットサービスプロバイダ側での障害などが原因で、システム自体は正常に稼働していても利用者がアクセスできなくなる。さらに、人的ミスも無視できない原因である。システム管理者が操作を誤って重要なファイルを削除したり、設定を間違えたりすることで、システム全体が停止してしまうことがある。加えて、外部からのサイバー攻撃も大きな脅威である。大量のアクセスを送りつけてサーバーを麻痺させるDDoS攻撃や、システムに侵入してデータを破壊するマルウェアなどが原因で、サービスが停止に追い込まれることがある。その他、地震や火災、大規模な停電といった自然災害や事故により、データセンター自体が機能しなくなることも非計画的ダウンタイムの原因となり得る。 システムの信頼性を評価し、ダウンタイムを管理するためには、いくつかの重要な指標が用いられる。代表的なものが「可用性(Availability)」である。可用性は、システムが稼働すべき時間のうち、実際に正常に稼働していた時間の割合を示す指標で、パーセンテージで表される。例えば、年間で約5分しか停止しないシステムは「99.999%(ファイブナイン)」の可用性を持つと言われる。システムに求められる可用性のレベルは、その重要度によって異なる。また、可用性を考える上で、「MTBF(Mean Time Between Failures)」と「MTTR(Mean Time To Repair)」という二つの指標も重要である。MTBFは平均故障間隔を意味し、ある故障から次の故障までの平均稼働時間を示す。この値が長いほど、システムが故障しにくい、つまり信頼性が高いことを意味する。一方、MTTRは平均修復時間を意味し、故障が発生してから復旧するまでにかかる平均時間を示す。この値が短いほど、障害からの復旧が迅速であることを意味する。可用性は、これらの指標を用いて「MTBF / (MTBF + MTTR)」という計算式で近似的に表すことができる。可用性を高めるためには、MTBFを長くし、MTTRを短くすることが目標となる。 システムエンジニアは、ダウンタイムを最小限に抑えるために様々な対策を講じる。その中心的な考え方が「冗長化」である。冗長化とは、システムを構成する機器やコンポーネントを複数用意し、一つが故障しても他のものが処理を引き継げるようにしておく設計のことである。例えば、サーバーを複数台連携させて一つのシステムとして動作させる「クラスタリング」や、データを複数のハードディスクに分散して書き込むことで一台が故障してもデータを失わないようにする「RAID」などが代表的な技術である。ネットワークにおいても、通信回線や機器を二重化することで、片方に障害が発生しても通信を継続できる。次に重要なのが、データのバックアップとリカバリ計画である。システムに障害が発生してデータが失われた場合に備え、定期的にデータのバックアップを取得しておくことは不可欠である。障害発生時には、このバックアップからデータを復元することで、サービスを再開する。さらに、大規模な災害に備える「ディザスタリカバリ(災害復旧)」計画も重要であり、地理的に離れた場所に予備のシステムを構築し、本番環境が被災した場合でも事業を継続できるようにする。また、障害の発生を未然に防いだり、早期に検知したりするための「監視」も欠かせない。サーバーのCPU使用率、メモリ使用量、ディスクの空き容量、ネットワークの通信量などを常に監視し、異常な値が検出された際に管理者に警告を通知する仕組みを導入する。これにより、障害が発生する予兆を捉え、深刻なダウンタイムに至る前に対処することが可能になる。最後に、運用プロセスの改善も重要である。人的ミスを減らすために、システム変更などの作業手順を標準化し、文書化することが求められる。また、繰り返し行う定型的な作業はスクリプトなどを用いて自動化することで、ヒューマンエラーのリスクを低減できる。これらの多角的な対策を通じて、システムエンジニアはシステムの高い可用性を確保し、利用者への影響を最小限に抑える努力を続けている。

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