ギガビット毎秒 (ギガビットマイビョウ) とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
ギガビット毎秒 (ギガビットマイビョウ) の読み方
日本語表記
ギガビット毎秒 (ギガビットマイビョウ)
英語表記
Gigabits per second (ギガビットパーセカンド)
ギガビット毎秒 (ギガビットマイビョウ) の意味や用語解説
ギガビット毎秒とは、デジタルデータを1秒間にどれだけの量転送できるかを示す単位の一つで、Gbps(ジービーピーエス)と略される。これは特に、コンピュータネットワークの通信速度や、記憶装置(ストレージ)のデータ転送速度を表す際に頻繁に用いられる重要な概念である。 まず、この単位の構成を理解することが肝要だ。ギガビット毎秒は「ギガ」と「ビット毎秒」の二つの要素から成り立っている。「ビット毎秒」(bps)は、データ転送速度の基本的な単位であり、1秒間に1ビットのデータを転送できることを意味する。デジタルデータは0と1で表現される最小単位であるビットの集まりで構成されており、このビットが1秒間にどれだけ送られるかを示しているのがビット毎秒なのだ。そして「ギガ」(Giga)は、国際単位系における接頭辞の一つで、10の9乗、つまり10億を意味する。したがって、1ギガビット毎秒は10億ビット毎秒、すなわち1秒間に10億ビットのデータを転送できる速度を表すことになる。この「ギガ」の他にも、キロ(Kilo:10の3乗=千)、メガ(Mega:10の6乗=百万)、テラ(Tera:10の12乗=兆)といった接頭辞が使われ、それぞれKbps、Mbps、Tbpsとして通信速度の単位となる。 ギガビット毎秒の重要性は、現代のITインフラを支える基盤となっている点にある。例えば、自宅やオフィスのインターネット回線では、光回線サービスにおいて1Gbpsや2Gbpsといった高速なプランが広く提供されている。これは、大容量のファイルダウンロード、高画質動画のストリーミング再生、オンラインゲームなど、インターネット上で大量のデータを瞬時にやり取りする現代のニーズに応えるために不可欠な速度だ。また、企業のデータセンター内では、サーバーとストレージの間や、複数のネットワーク機器(スイッチなど)を結ぶバックボーン回線において、10Gbps、40Gbps、さらには100Gbpsといった超高速な通信が標準的に利用されている。これにより、大規模なデータ処理や多数のユーザーからのアクセス要求に迅速に対応できる体制が構築されている。ストレージの分野でも、SSD(ソリッドステートドライブ)のような高速な記憶装置では、データの読み書き速度がGbps単位で示され、その性能を測る重要な指標となっている。 ここで、システムエンジニアを目指す初心者がしばしば混同しやすい「ビット」と「バイト」の違いについて明確にしておく必要がある。情報量を表す際によく使われる「バイト」(Byte)は、8つのビットが集まった単位である。つまり、1バイトは8ビットに相当する。ファイルサイズは一般的に「ギガバイト」(GB)や「メガバイト」(MB)といったバイト単位で表示されるが、通信速度は「ギガビット毎秒」(Gbps)のようにビット単位で示されることが多い。これは、通信の世界では一度に転送される情報がビット単位で管理されるためだ。したがって、例えば1Gbpsの回線で1ギガバイト(GB)のファイルをダウンロードする場合、理論上は1GBが8ギガビット(Gb)に相当するため、8秒かかる計算になる。実際の通信では、データの送受信に必要な制御情報(オーバーヘッド)やネットワークの混雑、使用している機器の性能、物理的な距離など様々な要因により、この理論値よりも実際の速度は低下することが一般的だ。 また、ギガビット毎秒の速度を実現するためには、ネットワーク全体がその速度に対応している必要がある。例えば、1Gbpsの光回線を契約していても、使用しているLANケーブルが古い規格(例: Cat5)であったり、Wi-Fiルーターやパソコンのネットワークインターフェースカード(NIC)が1Gbpsに対応していなければ、その恩恵を十分に受けることはできない。現在では、Cat5e以上のLANケーブル、ギガビットイーサネットに対応したルーターやスイッチ、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)やWi-Fi 6(IEEE 802.11ax)といった高速Wi-Fi規格に対応した無線LAN機器が広く普及しており、これらを適切に組み合わせることで、ギガビット毎秒の快適なネットワーク環境を構築できる。 今後も、クラウドサービスの利用拡大やIoT(モノのインターネット)デバイスの普及、高精細な映像コンテンツの増加などにより、データ量は爆発的に増え続けると予想される。これに伴い、10Gbps、さらには100Gbpsやそれ以上の速度の需要がさらに高まり、ギガビット毎秒という単位が示す世界の速度はますます加速していくことだろう。システムエンジニアにとって、このギガビット毎秒という概念と、それが実現する技術やインフラへの理解は、今後のキャリアにおいて不可欠な知識である。