HLR/HSS(エイチエルアール エイチエスエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
HLR/HSS(エイチエルアール エイチエスエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ホームロケーションレジスタ/ホームサブスクライバーサーバ (ホームロケーションレジスタ/ホームサブスクライバーサーバ)
英語表記
HLR/HSS (エイチエルアールエイチエスエス)
用語解説
HLR/HSSとは、移動体通信ネットワークにおいて、加入者の契約情報やサービス設定、現在の位置情報などを一元的に管理する中心的なデータベースである。HLR (Home Location Register) は主に2Gや3G世代のネットワークで利用され、HSS (Home Subscriber Server) は4G (LTE) や5G世代のネットワークでその役割を引き継ぎ、さらに機能を拡張したものとなる。ユーザーが自分の携帯電話を使い、日本国内だけでなく海外でも、どこにいても着信を受けたり、データ通信を行ったりできるのは、このデータベースが常に最新の情報を保持し、ネットワーク全体で共有されているためだ。
HLRは、2Gや3Gといった回路交換方式が主流だった時代において、移動体通信ネットワークの根幹をなすデータベースだった。HLRが保持する情報は多岐にわたる。具体的には、各加入者固有の識別番号(IMSI: International Mobile Subscriber Identity)と関連付けられた電話番号、契約しているサービスの内容(音声通話、SMS、データ通信の有無や種類)、加入者の認証に必要な情報、そして現在加入者が滞在しているVLR (Visitor Location Register) のアドレスなどがある。ユーザーが携帯電話の電源を入れると、その情報はVLRを通じてHLRに登録される。他のユーザーから着信があった場合、ネットワークはまずHLRに問い合わせ、その加入者が現在どのVLRの管轄下にいるのかを特定する。これにより、発信元の交換機は適切なVLRへ接続を確立し、着信をルーティングできる。また、ユーザーがサービスを利用する際、例えば国際ローミング中であっても、HLRが契約情報を参照してサービス提供の可否を判断し、認証を行う。このように、HLRは加入者の「ホーム」としての役割を担い、常に加入者の状態と契約情報を管理していた。
4G (LTE) ネットワークが登場し、通信方式がIPベースへと大きく転換すると、HLRの役割はHSSへと引き継がれ、さらに高度な機能が求められるようになった。HSSは、HLRが管理していた基本的な加入者情報に加え、IPベースのサービスに特化した情報を管理する。例えば、VoLTE (Voice over LTE) や各種IPマルチメディアサービスを提供するIMS (IP Multimedia Subsystem) の利用に必要なプロファイル情報、データ通信のQoS (Quality of Service) 設定、APN (Access Point Name) 情報、IPアドレスの割り当てポリシーなどが含まれる。HSSは、4Gネットワークだけでなく、Wi-Fiアクセスや5G NR (New Radio) など、複数のアクセス技術にわたる加入者情報を統合的に管理する能力を持つ。これにより、ユーザーはデバイスやアクセス方法が変わっても、シームレスに同じサービスを利用できる。5Gネットワークにおいては、HSSの機能はさらに進化し、UDM (Unified Data Management) の中核を構成する要素の一つとなっている。UDMは、HSSの機能をサービスベースアーキテクチャの原則に基づいてモジュール化し、より柔軟でスケーラブルなデータ管理を実現する。これにより、IoTデバイスの大量接続や、多様なサービス要求にきめ細かく対応できるようになる。
HLRやHSSの存在は、移動体通信サービスにとって不可欠である。これらのデータベースが正確な情報をリアルタイムで提供することで、ユーザー認証、サービス認可、着信ルーティング、課金処理といった一連のプロセスがスムーズに行われる。もしこれらのデータベースが存在しなければ、ユーザーは場所を移動するたびに通信サービスが利用できなくなり、携帯電話の利便性は著しく損なわれるだろう。つまり、HLR/HSSは、私たちが当たり前のように享受している「いつでも、どこでも、誰とでもつながる」という移動体通信の根幹を支える、極めて重要な情報管理システムなのである。