IA(アイエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

IA(アイエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

情報アーキテクチャ (ジョウホウアーキテクチャ)

英語表記

IA (アイエー)

用語解説

IAとは、インフォメーションアーキテクチャ(Information Architecture)の略語であり、日本語では「情報アーキテクチャ」や「情報設計」と訳される。これは、Webサイトやアプリケーション、ソフトウェアなどの情報を持つシステムにおいて、利用者が情報を探しやすく、理解しやすく、そして目的を達成しやすいように、情報を整理・構造化し、提示するための設計思想およびその技術を指す。システムエンジニアを目指す者にとっては、単に機能やデータを扱うだけでなく、それらをいかにユーザーにとって価値のある形で提供するかを考える上で極めて重要な概念である。良いIAは、ユーザーが直感的に操作できる快適な利用体験(ユーザーエクスペリエンス、UX)を生み出す基盤となり、逆にIAが考慮されていないシステムは、高機能であっても情報が混乱し、利用者にとって非常に使いにくいものとなる。目的は、膨大な情報の中からユーザーが必要な情報へ迷わずたどり着ける道筋を設計することにある。

IAの設計は、主に三つの要素の重なり合いを考慮して行われる。一つ目は「コンテキスト」である。これは、Webサイトやシステムが置かれているビジネス上の文脈を指し、事業目標、資金、技術的な制約、組織文化、リソースなどが含まれる。どのような目的でそのシステムが存在し、ビジネスとして何を達成したいのかを明確にすることが、情報設計の出発点となる。二つ目は「コンテンツ」である。これは、システムが提供する情報そのものであり、テキスト、画像、動画、データなどの種類、量、構造、そしてそれらに付随するメタデータ(情報を説明するための情報)を把握する必要がある。どのようなコンテンツが存在し、今後どのようなコンテンツが増えていくのかを理解しなければ、適切な分類や整理は不可能である。三つ目は「ユーザー」である。これはシステムの利用者であり、彼らのニーズ、情報探索行動、ITスキル、メンタルモデル(物事の仕組みに対する思い込み)などを理解することが不可欠である。ユーザーがどのような言葉で情報を探し、どのように情報を解釈するのかを調査し、設計に反映させなければならない。これら「コンテキスト」「コンテンツ」「ユーザー」の三要素をバランス良く満たす領域に、最適なIAが存在すると考えられている。

具体的なIAの構成要素は、主に四つのシステムに大別される。第一に「組織化システム」である。これは情報をどのように分類し、グループ化するかという体系を決めることである。代表的なものに、トピックごとに分類する階層構造や、手順に沿って情報を配置するシーケンシャル構造がある。他にも、複数の軸で情報を整理するマトリックス構造や、タグ付けのように柔軟な分類を行う方法も存在する。情報の特性に合わせて最適な組織化システムを選択することが重要である。第二に「ラベリングシステム」がある。これは、分類された情報のグループやリンクにどのような名称(ラベル)を付けるかという設計である。ラベルは、ユーザーがその先にある情報を的確に予測できるものでなければならない。専門用語や業界用語を避け、ユーザーが普段使う言葉に合わせるなど、分かりやすさを追求する必要がある。第三に「ナビゲーションシステム」である。これは、ユーザーがシステム内を自由に移動し、目的の情報にたどり着くための仕組み全般を指す。サイトの全ページで共通して表示されるグローバルナビゲーションや、特定のカテゴリー内でのみ表示されるローカルナビゲーション、本文中の関連情報へのリンクなどが含まれる。サイトマップやパンくずリストも、ユーザーが現在地を把握し、移動を助ける重要なナビゲーション要素である。第四に「検索システム」である。これは、ユーザーがキーワードを入力して能動的に情報を探すための機能である。どのような検索クエリを想定し、どのような検索結果を、どのような順序で表示するかといった設計もIAの重要な一部である。これらの四つのシステムが相互に連携し、一貫性を持って設計されることで、ユーザーはストレスなく情報を活用できるようになる。IAの設計過程では、サイトマップやワイヤーフレームといった成果物が作成され、これらは後のデザインや開発工程における重要な設計図として機能する。システム開発の初期段階でIAを確立することは、プロジェクト全体の品質を向上させ、手戻りを防ぎ、結果としてビジネス目標の達成に貢献するのである。