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アイデンティティプロバイダ(アイデンティティプロバイダ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

アイデンティティプロバイダ(アイデンティティプロバイダ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

アイデンティティプロバイダ (アイデンティティプロバイダ)

英語表記

Identity Provider (アイデンティティプロバイダー)

用語解説

アイデンティティプロバイダ(Identity Provider、略称IdP)とは、ユーザーの身元を認証し、「この人は確かに本人である」と証明する役割を担うシステムまたはサービスである。主に、ユーザーが複数の異なるウェブサービスやアプリケーションに対して、一度のログイン認証でアクセスできるようになるシングルサインオン(SSO)環境において、その中核的な存在として機能する。

IdPの主な役割は、ユーザーの認証情報を安全に管理し、ユーザーがログインを試みた際にその認証情報が正しいかどうかを検証することにある。例えば、ユーザー名とパスワード、生体認証データ、多要素認証(MFA)における追加の確認コードなどがIdPによって処理される。認証に成功した場合、IdPはその認証結果を、ユーザーが利用しようとしているサービスプロバイダ(Service Provider、略称SP)に安全な方法で通知する。これにより、SP側でユーザーの認証情報を個別に管理したり、ユーザーに再度ログイン情報の入力を求めたりする手間が省ける。

具体的な仕組みを解説すると、ユーザーがSPにアクセスし、サービスを利用しようとしたときに、まだ認証されていない状態であれば、SPはユーザーを自動的にIdPの認証画面へとリダイレクトする。ユーザーはIdPの画面で、事前に登録しているユーザー名とパスワードなどを入力して認証を行う。IdPはこの入力情報が自身のデータベースに登録されている情報と一致するかを検証し、本人であると確認できれば、認証が成功した旨を示すデジタル署名付きの「アサーション」や「IDトークン」と呼ばれるデータを生成する。このデータは、ユーザーのブラウザを介してSPへと送信されるか、あるいはIdPから直接SPへと送られる。SPはこのアサーションやトークンを受け取ると、それが信頼できるIdPによって発行されたものであり、改ざんされていないことを検証する。検証が成功すれば、SPはユーザーを認証済みと判断し、サービスへのアクセスを許可する。この一連の流れにより、ユーザーは一度IdPで認証を済ませるだけで、連携する複数のSPにログインできるSSOを実現する。

IdPが利用する代表的な認証プロトコルには、SAML(Security Assertion Markup Language)やOpenID Connectなどがある。これらのプロトコルは、IdPとSP間の安全な通信を確立し、認証情報のやり取りを標準化するために設計されている。これにより、異なるベンダーが提供するIdPとSPの間でも、相互に認証連携が可能となる。

アイデンティティプロバイダの導入は、ユーザーとシステム管理者の双方に大きなメリットをもたらす。ユーザーにとっては、多数のサービスごとに異なるパスワードを記憶したり、何度もログイン作業を行ったりする煩わしさから解放される。これにより、パスワードの使い回しといったセキュリティリスクを軽減し、利便性を向上させることができる。一方、システム管理者にとっては、ユーザーアカウントの管理を一元化できるため、運用コストが削減される。また、パスワードの強度設定、多要素認証の強制、アカウントロックアウトポリシーなど、セキュリティ対策をIdP側で一括して適用できるため、組織全体のセキュリティレベルを高く保ちやすくなる。ユーザーの入社・退職時におけるアカウントの作成や削除も、IdPを通じて効率的に行える。

アイデンティティプロバイダにはいくつかの種類がある。企業が自社内で構築・運用する「企業内IdP」は、社内のシステムやクラウドサービスへのアクセス管理に用いられることが多い。例えば、Microsoft Active Directory Federation Services(AD FS)などがこれに該当する。また、Google、Facebook、Microsoft、Appleなどが提供する「パブリックIdP」は、ユーザーがすでに持っているこれらのサービスのアカウントを利用して、外部の様々なウェブサービスにログインできる機能を提供する。これにより、ユーザーは新しいアカウントを登録する手間を省き、手軽にサービスを利用開始できる。さらに、OktaやAuth0、Azure Active Directoryのように、クラウドサービスとして提供される「クラウド型IdP」もあり、自社でインフラを構築・運用することなく、手軽に高度な認証基盤を導入できる点が特徴である。

セキュリティの観点から見ると、IdPは認証情報を集中管理するため、その堅牢性が極めて重要となる。IdP自体が攻撃の標的となる可能性もあるため、多要素認証の厳格な適用、アクセス制御の強化、定期的なセキュリティ監査といった対策が必須となる。これらの対策を適切に行うことで、IdPは組織の認証セキュリティを大幅に強化する基盤となる。システムを構築する際には、利用するSPが対応している認証プロトコル、求めるセキュリティ要件、ユーザー規模、導入・運用コストなどを総合的に考慮し、適切なIdPを選定することが重要となる。

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