int64(イントロクショングシックスティフォー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
int64(イントロクショングシックスティフォー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
イントロダクション64 (イントロダクションロクジュウヨン)
英語表記
int64 (イントロクシックスティフォー)
用語解説
int64は、コンピュータプログラミングにおいて整数を扱うためのデータ型の一つである。この名称は「integer(整数)」を意味する「int」と、そのデータを表現するために使用する情報の量を示す「64」を組み合わせたもので、全体として「64ビット符号付き整数型」を指す。コンピュータは内部的にすべての情報を0と1の組み合わせ、すなわちビット列として記憶・処理する。int64は、数値を表現するために64個のビット(64桁の2進数)を使用することを意味している。この64ビットという大きな領域を使うことにより、非常に広範な整数の値を正確に表現することが可能となる。システム開発において扱うデータが大規模化、高精度化する現代において、int64は極めて重要な役割を担うデータ型である。
int64が持つ能力を理解するためには、ビット数と表現できる数値範囲の関係を把握する必要がある。64ビットを使用するということは、2の64乗、すなわち約1844京個もの異なる状態を区別できることを意味する。int64は通常、正の数、負の数、そしてゼロを扱う「符号付き」整数型として利用される。この場合、64ビットのうち最も左の1ビットが符号を表すために使われ、正負の識別に割り当てられる。残りの63ビットが数値の大きさを表現するために用いられる。この仕組みにより、int64が表現できる数値の具体的な範囲は、-9,223,372,036,854,775,808から9,223,372,036,854,775,807までとなる。これは約マイナス922京からプラス922京という、天文学的な大きさの数値範囲をカバーする。これに対して、より一般的に使われる32ビット整数型であるint32(または単にintと呼ばれることが多い)の範囲が約マイナス21億からプラス21億であることと比較すると、int64がいかに巨大な数値を扱えるかがわかる。
このように広大な数値範囲を持つint64は、様々な場面で不可欠な存在となっている。例えば、大規模なウェブサービスやソーシャルメディアのデータベースでは、ユーザーや投稿といった一つ一つのデータに一意の識別子(ID)を割り振る。サービスの成長に伴いデータ数が数十億件を超えることは珍しくなく、32ビット整数ではIDが枯渇してしまう危険性がある。このような場合にint64をIDの型として採用することで、事実上、無限に近い数のデータを管理することが可能になる。また、時刻の表現においてもint64は重要である。コンピュータシステムで広く使われるUNIX時間は、1970年1月1日からの経過秒数を数えるものだが、これを32ビット整数で扱うと2038年に最大値を超えてしまい、システムが誤動作する「2038年問題」が発生する。この問題を解決し、さらにミリ秒やナノ秒といった高精度な時刻情報を扱うためにも、64ビット整数が標準的に用いられる。その他、テラバイト級の大容量ファイルのサイズをバイト単位で正確に表現したり、金融システムで巨大な金額を扱う計算を行ったり、科学技術分野で膨大な数値をシミュレーションしたりする際にも、int64の表現能力が必須となる。
プログラミング言語によってint64の扱いや名称は異なる。C++やC#、Goといった言語ではint64やlongといった型名で明示的に64ビット整数を利用できる。Javaにおいてはlong型が64ビット整数に相当する。一方で、Pythonのような一部の言語では、プログラマがビット数を意識しなくても、数値の大きさに応じて自動的に適切なメモリ領域を確保する仕組みになっているため、明示的にint64を選択する場面は少ない。しかし、どのような言語であっても、内部的には巨大な整数を扱うために64ビット、あるいはそれ以上の領域が使用されている。
int64は非常に強力なデータ型であるが、常に最良の選択肢とは限らない。int32と比較して2倍のメモリを消費するため、扱う数値が明らかに32ビットの範囲内に収まることが分かっている場合には、メモリ効率の観点からint32を選択する方が合理的である。システムエンジニアは、扱うデータの性質や将来的な拡張性を予測し、桁あふれによるバグのリスクとメモリ消費量のバランスを考慮して、int32とint64を適切に使い分ける判断力が求められる。現代のコンピュータは64ビットアーキテクチャが主流であり、64ビット単位のデータ処理は高速に行えるため、パフォーマンス上の懸念は以前より少なくなっているが、データ型の選択がシステムの根幹に関わる設計要素であることに変わりはない。