Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

ISL(アイエスエル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ISL(アイエスエル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

インターネット・サービス・レジストリ (インターネット・サービス・レジストリ)

英語表記

Inter-Switch Link (インタースイッチリンク)

用語解説

ISLはInter-Switch Linkの略称であり、シスコシステムズ社が開発した独自のプロトコルである。このプロトコルは、複数のネットワークスイッチにまたがってVLAN(Virtual Local Area Network)を構成する際に、スイッチ間でVLANの識別情報を伝達するために使用される。VLANとは、物理的な接続形態とは独立して、スイッチのポートを論理的なグループに分割する技術であり、ネットワークのセキュリティ向上や効率的な管理を実現する。一つのスイッチ内でVLANを構成する場合は問題ないが、企業ネットワークのように規模が大きくなると、複数のスイッチにまたがって同じVLANを構築する必要が生じる。このとき、スイッチ間を接続するポートでは、通過するイーサネットフレームがどのVLANに所属するものなのかを識別する仕組みが不可欠となる。ISLは、このVLAN識別情報を付加するための技術の一つとして開発された。しかし、現在では業界標準のプロトコルであるIEEE 802.1Qが主流となっており、ISLは過去の技術、すなわちレガシープロトコルとして位置づけられている。

ISLの技術的な詳細を理解するためには、その動作の核となる「カプセル化」という概念を把握することが重要である。スイッチAからスイッチBへ、あるVLANに所属するイーサネットフレームを送信する際、ISLを有効にしたスイッチAのポートは、元のイーサネットフレームをそのままの形で内包し、その前後にISL独自の情報を付加する。具体的には、元のフレームの前方に26バイトの「ISLヘッダ」を、後方に4バイトの「ISLトレーラ」を追加する。この処理によって、元のフレームはISLのヘッダとトレーラに完全に包み込まれた形となり、新たな一つのフレームとしてスイッチ間を伝送される。これがISLにおけるカプセル化である。ISLヘッダには、そのフレームが所属するVLANのID(1から1005までの識別子)や送信元・宛先MACアドレスなどの情報が含まれている。ISLトレーラには、フレーム全体の誤り検出に使われるFCS(Frame Check Sequence)が格納されている。フレームを受信したスイッチBは、まずISLヘッダとトレーラを検証し、問題がなければそれらを取り除く。そして、内部に取り出された元のイーサネットフレームを、ヘッダに記載されていたVLAN IDに基づき、適切なVLANのポートへと転送する。このようにして、複数のスイッチ間でVLAN情報が正確に伝達され、大規模なVLANネットワークが実現される。

しかし、ISLにはいくつかの大きな課題が存在したため、次第に利用されなくなっていった。最大の課題は、シスコシステムズ社独自のプロトコルであるという点である。これは、ISLがシスコ製のスイッチ間でしか利用できず、他社製のネットワーク機器が混在するマルチベンダー環境ではVLANを構成できないことを意味する。ネットワークの相互接続性が重視される現代において、特定のベンダーに依存する技術は敬遠される傾向にある。もう一つの課題は、プロトコルのオーバーヘッドが大きいことである。前述の通り、ISLは元のフレームに合計30バイト(ヘッダ26バイト、トレーラ4バイト)の情報を付加する。これはネットワークを流れるデータ量に対して無視できない大きさであり、通信帯域の利用効率を低下させる要因となった。

これらの課題を解決し、ISLに取って代わったのが、IEEE(米国電気電子学会)によって標準化されたIEEE 802.1Qプロトコルである。802.1Qは、ISLのようなカプセル化方式ではなく、元のイーサネットフレームの内部に4バイトの「タグ」を挿入する「タギング」方式を採用している。このタグ内にVLAN IDなどの情報が含まれる。オーバーヘッドがわずか4バイトとISLに比べて非常に小さく、通信効率が高い。さらに、業界標準であるため、メーカーを問わず異なる機器間での相互接続が可能である。この効率性と相互運用性の高さから、802.1Qは瞬く間に普及し、VLANタギングの標準技術としての地位を確立した。その結果、ISLは役目を終え、現在のシスコ製スイッチではサポートされていないか、デフォルトで無効化されているのが一般的である。システムエンジニアを目指す者にとって、現代のネットワーク構築でISLを使用する機会は皆無と言ってよい。それでもなお、この技術を学ぶことには意義がある。なぜIEEE 802.1Qという標準規格が生まれ、広く受け入れられたのかという技術の進化の背景を理解する上で、ISLは重要な比較対象となる。プロトコルの標準化がもたらす価値や、技術選定における効率性、相互運用性の重要性を学ぶための具体的な事例として、ISLの知識は非常に有益である。

関連コンテンツ