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ITIL(アイティル)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ITIL(アイティル)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

アイティーアールエル (アイティーアールエル)

英語表記

ITIL (アイティーエル)

用語解説

ITIL(Information Technology Infrastructure Library)とは、ITサービスを効果的かつ効率的に提供・管理するためのベストプラクティス、すなわち成功事例やノウハウを体系的にまとめたフレームワークである。これは、特定のソフトウェアやツールを指すものではなく、ITサービスマネジメントにおける世界的な標準として広く認知されている考え方やプロセスの集合体だ。ITILの目的は、ITサービスをビジネスの要求と整合させ、顧客満足度を向上させながら、コスト効率の良い安定したサービスを提供することにある。システムエンジニアを目指す者にとって、ITILは個々の技術スキルだけでなく、ITサービスがどのように組織全体に価値をもたらすのかを理解するための重要な指針となる。

ITILは、時代ごとのIT環境やビジネスニーズの変化に対応するため、継続的に改訂されてきた。初期のバージョンではITインフラの管理に重点が置かれていたが、バージョンが進むにつれて、ITをビジネスに貢献する「サービス」として捉える視点が強まっていった。特にITIL v3では「サービスライフサイクル」という概念が導入され、サービスの戦略立案から設計、移行、運用、継続的な改善までの一連の流れが定義された。そして、最新版であるITIL 4では、デジタルトランスフォーメーションやアジャイル、DevOpsといった現代的な開発・運用手法との親和性を高め、より柔軟で価値創出に焦点を当てたフレームワークへと進化した。

ITIL 4の中心的な概念は「サービスバリューシステム(SVS)」である。これは、組織がビジネス上の機会や需要を捉え、ITサービスを通じてステークホルダーに価値を提供するまでの一連の仕組みをモデル化したものである。SVSは、いくつかの主要なコンポーネントで構成される。その中核を成すのが「サービスバリューチェーン(SVC)」だ。SVCは、価値を創造するための具体的な活動の流れを示したもので、「計画」「改善」「エンゲージ」「設計と移行」「取得・構築」「提供とサポート」という六つの活動から成る。これらの活動は、一直線に進むものではなく、案件や状況に応じて柔軟に組み合わせられ、価値提供の経路を形成する。

また、ITIL 4ではサービスマネジメントを包括的に捉えるための「4つの側面」という考え方が提示されている。これは、サービスを管理する際に考慮すべき四つの視点のことであり、「組織と人材」「情報と技術」「パートナーとサプライヤー」「バリューストリームとプロセス」が含まれる。高品質なサービスは、優れた技術だけで実現できるものではなく、適切なスキルを持つ人材、整理された情報、協力的なパートナー、そして効率的なプロセスといった要素がすべて揃って初めて実現可能になるという考え方を示している。

さらに、ITIL 4には組織の文化や行動の指針となる「従うべき原則」が定められている。これらは「価値に焦点を当てる」「現状から始める」「フィードバックに基づき反復的に進む」「協働し、可視性を高める」といった七つの原則から成り、組織がITILを実践する上での基本的な心構えとなる。これらの原則は、硬直的なルールではなく、状況に応じて適用すべき普遍的なガイダンスとして機能する。

そして、具体的な業務活動は「プラクティス」として定義されている。これは旧バージョンにおける「プロセス」をより広範に捉え直したもので、目標達成のために組織のリソースをどのように活用するかをまとめたものである。プラクティスには、システム障害への対応手順を定めた「インシデント管理」、障害の根本原因を特定し再発防止を図る「問題管理」、システム変更に伴うリスクを管理し円滑なリリースを目指す「変更実現」、そしてユーザーからの問い合わせ窓口となる「サービスデスク」などが含まれる。これらはシステムエンジニアの日常業務と密接に関連しており、ITILを学ぶことで、自身の作業がサービス全体の品質維持や向上にどう貢献しているのかを体系的に理解できるようになる。

結論として、ITILはITサービスを管理するための単なる手順書ではなく、ビジネス価値の創出を最終目的とする包括的なフレームワークである。システムエンジニアがITILを理解することは、技術的な視点に加え、組織全体の目標を意識した上で業務を遂行する能力を養うことにつながる。また、IT業界における共通言語として機能するため、チーム内や他部門、顧客との円滑なコミュニケーションを促進し、キャリア形成においても大きな強みとなるだろう。

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