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HTTP 300(サンビャク)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

HTTP 300(サンビャク)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

HTTP 300 Multiple Choices (エイチティーティーピーサンビャクマールティプルチョイセズ)

英語表記

Multiple Choices (マルチプルチョイス)

用語解説

HTTPステータスコードは、クライアントとサーバーがHTTPプロトコルで通信する際に、サーバーからクライアントへ返される3桁の数字であり、リクエストがどのように処理されたかを示す。これらのコードは5つのクラスに分類され、300番台のコード群は「リダイレクション」に割り当てられている。リダイレクションとは、クライアントが要求したリソースが別の場所(URI)に存在することを伝え、そちらへ再度リクエストを送るよう促す処理を指す。この300番台の中でも、HTTP 300 Multiple Choicesは特殊な役割を持つステータスコードである。その名の通り「複数の選択肢」を意味し、サーバーがリクエストされた一つのリソースに対して、複数の表現形式や場所を提示し、クライアント側に最終的な選択を委ねるために使用される。これは、サーバーが転送先を一つに定めて自動的に誘導するHTTP 301(恒久的な移動)やHTTP 302(一時的な移動)といった他のリダイレクト系ステータスコードとは根本的に異なる思想に基づいている。例えば、ある文書について日本語版と英語版が存在する場合、サーバーはどちらか一方へ自動転送するのではなく、HTTP 300を返すことで「日本語版と英語版のどちらを閲覧しますか」という選択肢をクライアントに提示することができる。

HTTP 300が返される際の具体的な動作は次のようになる。まず、クライアント(ブラウザなど)がサーバー上の特定のURIにリクエストを送信する。サーバーはリクエストを受け取り、そのURIに対応するリソースが、言語、メディアタイプ、文字エンコーディングなどの点で複数のバリエーションを持つと判断した場合、ステータスラインに「300 Multiple Choices」を含んだHTTPレスポンスを返す。このレスポンスには、クライアントが選択を行うための情報が含まれている。最も一般的な方法は、レスポンスボディにHTML文書を含め、その中に各選択肢へのハイパーリンクをリストとして記述することである。これにより、ユーザーはブラウザ画面に表示された選択肢の中から、目的のリソースを手動でクリックしてアクセスできる。また、HTTPレスポンスヘッダーも重要な情報を提供する。Locationヘッダーには、サーバーが最も推奨する選択肢のURIを含めることができる。プログラムによって自動的にリソースを選択するようなクライアントは、このLocationヘッダーの値を参照して次のリクエスト先を決定することが期待される。このように、HTTP 300は手動選択と自動選択の両方の可能性を考慮した設計となっている。

このステータスコードは、コンテンツネゴシエーションという仕組み、特に「サーバー駆動型ネゴシエーション」と深く関連している。コンテンツネゴシエーションとは、クライアントがHTTPリクエストヘッダー(例: Accept-Languageで希望言語、Acceptで希望メディアタイプを指定)を通じて自身の要求をサーバーに伝え、サーバーがその要求に基づいて最適なバージョンのリソースを提供するプロセスのことである。サーバーがクライアントの要求に完全一致するリソースを一つに特定できない場合や、同等に適切なリソースが複数存在する場合、サーバーは単独で決定を下す代わりにHTTP 300を返し、最終的な選択権をクライアントに委ねることができる。これにより、クライアントの環境や設定に応じた、よりきめ細やかなコンテンツ提供が可能になる。

しかしながら、HTTP 300は仕様上は定義されているものの、実際のWeb開発の現場で積極的に利用されることは稀である。その主な理由は、クライアント側の実装が一貫していないことにある。HTTPの仕様(RFC)では、このステータスコードを受け取ったユーザーエージェントの挙動として、ユーザーに選択肢を提示するか、あるいは何らかのヒントに基づいて自動的に一つを選択することが推奨されているが、具体的な実装方法までは規定していない。その結果、主要なウェブブラウザの多くは、ユーザーに選択肢を分かりやすく提示するような専用のインターフェースを備えておらず、単にレスポンスボディのHTMLを表示するか、Locationヘッダーが存在すれば機械的にそれに従うといった限定的な動作しかしないことが多い。このような挙動の不確実性は、開発者が意図したユーザー体験を提供することを困難にする。そのため、開発者はHTTP 300の利用を避け、より確実性の高い代替手段を用いることが一般的である。例えば、リクエストヘッダーをサーバー側で解析して最適なリソースへHTTP 302でリダイレクトする方法や、選択肢を記載したHTMLページをHTTP 200(成功)で返すランディングページを用意する方法などがある。これらの手法は、ブラウザの挙動に依存することなく、安定したリダイレクトやコンテンツ選択を実現できるため、広く普及している。結論として、HTTP 300はコンテンツ選択の柔軟性を提供するという概念的に優れたステータスコードであるが、エコシステム全体のサポートが不十分なため、実用的な場面でその真価を発揮するには至っていないのが現状である。

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