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NISC(ニスク)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

NISC(ニスク)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

情報通信研究機構 (ジョウホウツウシンケンキュウキコウ)

英語表記

NISC (ニスク)

用語解説

NISCとは、内閣官房に設置されている「内閣サイバーセキュリティセンター(National Center of Incident Readiness and Strategy for Cybersecurity)」の略称である。サイバー空間における脅威が高度化・複雑化し、国家の安全保障や国民生活、経済活動に甚大な影響を及ぼす可能性が高まる中で、政府全体のサイバーセキュリティ対策を総合的に推進するために設立された、日本の司令塔的な役割を果たす組織だ。

その設立背景には、政府機関や重要インフラに対するサイバー攻撃の脅威が国内外で顕在化し、個別の省庁や企業だけでは対処しきれない国家レベルの対応が不可欠となった経緯がある。サイバー空間は国境がなく、攻撃は匿名性が高く、また日々新たな手法が開発されるため、従来の物理的な安全保障とは異なるアプローチが求められる。NISCは、このような状況において、政府全体の統一的なサイバーセキュリティ戦略を策定し、その実行を指揮・監督する中核機関として機能している。

NISCの主な役割は多岐にわたるが、まず第一に挙げられるのは、政府機関の情報セキュリティ水準向上に向けた取り組みである。具体的には、各府省庁が遵守すべき「政府機関の情報セキュリティ対策のための統一基準群」を策定・改定し、その実施状況を定期的に監査する。これにより、政府全体として情報セキュリティの底上げを図り、サイバー攻撃に対する耐性を高めている。また、統一基準の遵守を促すだけでなく、具体的な技術的助言を行ったり、サイバー攻撃を想定した実践的な演習を実施したりすることで、各機関の担当者のスキル向上も支援している。これは、たとえ高度なセキュリティシステムを導入しても、それを運用する人間の知識や経験が不足していれば意味がない、という考えに基づいている。

次に重要な役割として、重要インフラのサイバーセキュリティ確保が挙げられる。電力、ガス、水道、鉄道、航空、金融、医療、情報通信などの重要インフラは、国民生活や経済活動に不可欠な基盤であり、これらがサイバー攻撃によって機能不全に陥れば、社会全体に甚大な被害が生じる可能性がある。NISCは、これらの重要インフラを所管する省庁や事業者と緊密に連携し、「重要インフラの情報セキュリティ対策に係る行動計画」を策定・推進する。具体的には、脅威情報の共有、共同訓練の実施、インシデント発生時の対応支援などを通じて、事業者自らがセキュリティ対策を強化できるよう支援し、日本全体の社会基盤の強靭化を図っている。

さらに、NISCはサイバー攻撃事案発生時の司令塔としての役割も担う。実際に政府機関や重要インフラ、あるいは民間企業で大規模なサイバー攻撃が発生した場合、NISCは関連機関からの情報を集約・分析し、被害状況の把握、原因究明、復旧支援、再発防止策の検討を行う。この際、警察庁や防衛省、総務省など、サイバーセキュリティに関わる多様な省庁や機関と連携し、国として一体的な対応を指揮する。これにより、情報が分断されず、迅速かつ効果的な危機管理が可能となる。また、平時からサイバー脅威に関する情報を国内外から収集し、分析することで、将来の脅威を予測し、未然に防ぐための予防策を講じることにも力を入れている。

国際的な連携と協力もNISCの重要な任務の一つである。サイバー攻撃は国境を越えて行われるため、一国だけで対処することは不可能だ。NISCは、米国、英国、欧州連合(EU)諸国、アジア太平洋地域の国々など、諸外国の政府機関や国際組織と情報共有、共同訓練、技術交流を積極的に行っている。これにより、最新のサイバー脅威動向を把握し、国際社会と連携してサイバー空間の安定化に貢献している。

また、サイバーセキュリティを支える人材の育成もNISCの活動の柱である。高度なサイバー攻撃に対処できる専門家は世界的に不足しており、日本も例外ではない。NISCは、政府機関の担当者だけでなく、民間企業の技術者や研究者、さらには一般市民に至るまで、幅広い層を対象とした人材育成プログラムや啓発活動を推進している。サイバーセキュリティに関する知見やスキルを持つ人材を増やし、社会全体のサイバーレジリエンス(回復力)を高めることを目指している。

システムエンジニアを目指す初心者にとって、NISCの存在を理解することは非常に重要である。なぜなら、NISCが策定する政府機関の統一基準や重要インフラ向けのガイドラインは、その内容が民間企業のシステム開発や運用にも事実上の業界標準として波及することが多いためだ。NISCが示すサイバーセキュリティの方向性や技術的要件は、将来的にあなたが関わる可能性のあるシステム設計や実装、運用におけるセキュリティ要件に直結する。

例えば、NISCが推奨するセキュリティ対策やフレームワーク(枠組み)は、企業のセキュリティポリシーや製品開発の基準に影響を与え、結果としてあなたが開発するソフトウェアやインフラのセキュリティ要件となる。セキュアなコードを書く、安全なネットワーク構成を設計する、脆弱性診断を実施するといった具体的な業務は、NISCが提示する安全基準と無関係ではない。また、国家レベルでサイバーセキュリティ戦略がどのように策定され、実行されているかを知ることは、セキュリティ分野全体の動向を俯瞰的に理解し、自身のキャリア形成を考える上でも役立つ。

NISCは、単なる行政組織ではなく、日本のサイバーセキュリティの未来を形作る上で極めて重要な役割を担っている。システムエンジニアとして、社会の安全を守る一端を担うためには、NISCの活動やその意義を深く理解し、常に最新の動向にアンテナを張っておくことが求められると言えるだろう。NISCが公開する情報や提言は、あなたが将来設計するシステムがより安全で信頼性の高いものとなるための重要な指針となるはずだ。

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