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Prolog(<bos> プロローグ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

Prolog(<bos> プロローグ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

プロログ (プロローグ)

英語表記

Prolog (プロログ)

用語解説

Prologは、1970年代初頭にフランスで開発されたプログラミング言語であり、特に論理型プログラミング言語の代表格として知られる。一般的なプログラミング言語が「どうやって計算するか」という手続き(アルゴリズム)を記述する命令型プログラミングであるのに対し、Prologは「何が真であるか」という事実や規則を記述し、その情報から新たな事実を推論する宣言型プログラミング言語の一つである。この特性から、人工知能、エキスパートシステム、自然言語処理、知識ベースシステムなどの分野で初期から利用されてきた。システムエンジニアを目指す初心者にとっては、これまで慣れ親しんだ手続き型の思考とは異なるパラダイムを理解する良い機会となる。

Prologの詳細な仕組みを理解するには、まず論理型プログラミングの基本概念から入るのが良い。Prologでは、プログラムは「事実」と「規則」という形式で知識を表現する。事実は、何かが真であることを直接的に宣言する記述である。例えば、「ソクラテスは人間である」という事実は、Prologでは人間(ソクラテス).のように表現される。これは、人間という述語がソクラテスという引数に対して真であることを意味する。規則は、特定の条件が満たされた場合に何かが真である、という条件付きの命題を表現する。例えば、「Xが人間であり、かつXが死ぬ運命にあるならば、Xは有限の寿命を持つ」という規則は、Prologでは有限の寿命を持つ(X) :- 人間(X), 死ぬ運命にある(X).のように記述される。ここで:-は「もし〜ならば」を意味し、右側の条件がすべて真であれば、左側の結論が真である、という関係を示す。人間(X)死ぬ運命にある(X)は条件部であり、これらがカンマで区切られているのは「かつ」を意味する論理積である。

これらの事実と規則をプログラムとしてPrologシステムに与えた後、ユーザーは「問い合わせ」(クエリ)を行うことで、システムに推論を求める。例えば、「ソクラテスは有限の寿命を持つか?」という問い合わせは、?- 有限の寿命を持つ(ソクラテス).のように記述される。Prologシステムは、与えられた事実と規則に基づいてこの問い合わせが真であるかどうかを探索し、もし真であれば「Yes」と回答し、偽であれば「No」と回答する。このとき、システムは定義された規則を逆向きに辿り、問い合わせのゴールを満たすような事実や他の規則の条件を見つけ出す。このプロセスを「バックトラッキング」と呼ぶ。バックトラッキングとは、一つのパスで解が見つからない場合に、以前に選択した分岐点に戻り、別のパスを探索し直す機構のことである。これにより、複雑な論理的なつながりの中から複数の解を効率的に見つけ出すことが可能になる。

また、Prologの強力な特徴の一つに「単一化(Unification)」がある。これは、変数と値、あるいは二つの項(アトムや構造体)が互いに等しくなるように、変数を具体的な値に置き換える操作である。例えば、人間(X)という述語があったときに、人間(ソクラテス).という事実が存在すれば、Xはソクラテスに単一化される。この単一化の仕組みにより、一つの規則や事実を様々な文脈で再利用し、抽象的なパターンから具体的なインスタンスを導き出すことができる。このパターンマッチングの能力は、Prologがシンボリック処理やパターン認識に強みを持つ理由の一つである。

Prologの主要な応用分野は、前述の通り人工知能領域が中心であった。特にエキスパートシステムでは、専門家の知識をルールとして表現し、特定の質問に対して推論を行うシステムが構築された。自然言語処理では、言語の文法規則をPrologのルールとして記述し、文章の構文解析や意味解析を行う試みが盛んに行われた。データベースシステムとの連携も容易であり、宣言的なクエリ言語としての特性から、知識ベースやインテリジェントなデータベースの構築にも活用された。近年では、制約論理プログラミング(CLP)の基盤言語としても利用され、スケジュール最適化や資源配分などの複雑な組み合わせ最適化問題の解決にも応用されている。

Prologの利点は、問題領域の知識を非常に直感的に、かつコンパクトに表現できる点にある。手続きを細かく記述する必要がなく、何が真であるかを定義するだけで、システムが自動的に推論を行ってくれるため、プログラムの記述量が大幅に削減されることが多い。また、論理的な正当性を検証しやすいという側面も持つ。一方で、命令型言語に慣れたプログラマにとっては、その思考パラダイムの転換が大きな障壁となる場合がある。特に、Prologの効率的なプログラミングには、バックトラッキングの動作やカット(!)のような制御述語の理解が不可欠であり、これらを適切に利用しないと、期待通りの性能が得られないことがある。また、入出力処理やグラフィックス表示といった、手続き的な要素が強いタスクには不向きであり、これらの機能を実現するには外部インターフェースを介した他の言語との連携が必要となる場合が多い。それでも、Prologが提供する宣言的かつ論理的なプログラミングのアプローチは、特定の種類の問題解決において強力なツールであり続けている。

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