Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

RAR(ラー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

RAR(ラー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ラー (ラー)

英語表記

RAR (ラー)

用語解説

RARは、データ圧縮とアーカイブ化のためのファイルフォーマットの一つである。主にWindows環境で広く利用されている「WinRAR」というソフトウェアを通じて普及し、インターネット上での大容量ファイルの配布や、個人データのバックアップといった場面で活用されている。RAR形式の最大の特徴は、他の一般的な圧縮形式と比較して高い圧縮率を実現できる点と、ファイルを複数のボリュームに分割して圧縮できる機能、そして破損したアーカイブを修復するための回復記録機能を有している点にある。これにより、ストレージ容量の節約、ネットワーク転送時間の短縮、データの安全性向上に貢献する。

RARの歴史は、ロシアのソフトウェア開発者であるユージン・ローシャル(Eugene Roshal)が1990年代初頭に開発したことに始まる。彼が開発したソフトウェア「WinRAR」は、RAR形式の圧縮ファイルの作成と解凍を行うための標準的なツールとして、現在でも広く利用されている。RARはプロプライエタリな形式であり、その仕様は公開されているものの、圧縮アルゴリズムの実装には特定のライセンスが必要となる場合が多い。これは、誰でも自由にRARファイルを生成できるわけではないことを意味する。

RARが実現する高い圧縮率は、独自の先進的な圧縮アルゴリズムに基づいている。このアルゴリズムは、LZSS(Lempel-Ziv-Storer-Szymanski)アルゴリズムやPPMd(Prediction by Partial Matching)アルゴリズムといった技術を組み合わせ、さらに最適化を加えることで開発された。基本的な考え方は、ファイル内の繰り返し出現するデータパターンや、予測可能なデータシーケンスを検出し、それらをより短いコードで置き換えることでデータ量を削減するというものである。例えば、連続する同じバイト列や、よく使われる単語、フレーズなどを辞書として管理し、出現するたびにその辞書のエントリ番号で参照するようにすることで、元のデータよりも大幅に小さいサイズで表現できるようになる。RARのアルゴリズムは、特にテキストファイルやプログラムファイルのような重複するデータが多いファイルにおいて、その効果を最大限に発揮するよう設計されている。また、圧縮時に使用するメモリ量や処理速度と圧縮率のバランスを細かく調整できるため、ユーザーは利用目的やシステムの性能に合わせて最適な圧縮設定を選択することが可能である。

RARが提供する主要な機能は多岐にわたる。まず「分割圧縮」は、大容量のファイルを指定したサイズ(例えばCDやDVDの容量、メール添付の制限サイズなど)に自動的に分割して圧縮する機能である。これにより、単一のファイルでは扱いにくい巨大なデータも、複数の小さなファイルとして管理・転送できるようになり、非常に利便性が高い。インターネット回線が不安定な環境でも、分割されたファイルの一部だけを再ダウンロードすればよいといったメリットもある。次に「パスワード保護と暗号化」は、アーカイブの内容を不正なアクセスから保護するための機能である。RARはAES-256(Advanced Encryption Standard 256ビット)という非常に強力な暗号化アルゴリズムをサポートしており、パスワードを知らない限り、第三者がアーカイブ内のデータにアクセスすることはほぼ不可能となる。これは、機密性の高いビジネス文書や個人情報を安全に保管・転送する際に極めて重要な機能である。さらに「回復記録(リカバリレコード)」もRARの重要な特徴の一つだ。これは、圧縮ファイル自体に、そのファイルの一部が破損した場合にデータを修復するための情報を付加する機能である。例えば、ダウンロード中にネットワークエラーでファイルの一部が壊れたり、ストレージメディアに不良セクタが発生したりした場合でも、回復記録があれば元のデータをかなりの程度まで復元できる可能性がある。これはデータの完全性を保つ上で非常に有用な機能と言える。

また、RARには「ソリッドアーカイブ」という圧縮方式も存在する。これは、複数のファイルをまとめて一つの大きなデータブロックとして圧縮する手法である。通常の非ソリッドアーカイブがファイルごとに個別に圧縮するのに対し、ソリッドアーカイブはアーカイブ内の全ファイルを一つの連続したデータストリームと見なして圧縮するため、ファイル間の冗長性も排除され、より高い圧縮率を達成できる傾向にある。特に多数の小さなファイルを圧縮する場合に効果的である。ただし、この方式にはデメリットもあり、アーカイブ内の特定のファイルだけを抽出したい場合でも、そのファイルに到達するまでのすべてのデータを読み込んで処理する必要があるため、抽出に時間がかかったり、アーカイブが一部破損した場合に全てのファイルに影響が及ぶ可能性があったりする。非ソリッドアーカイブであれば、個々のファイルが独立しているため、一つのファイルだけを素早く抽出でき、一部の破損が全体に及ぶリスクも低い。

RARの利用場面としては、ソフトウェアの配布、ゲームデータや高解像度画像・動画といった大容量メディアコンテンツのアーカイブ化、定期的なバックアップデータの保存、そして機密性の高い情報を安全にやり取りする際などが挙げられる。システムエンジニアを目指す上では、RAR形式のファイルを扱う機会も少なくないため、その特性を理解しておくことは重要である。ただし、RARファイルを作成するには、通常WinRARのような専用の有料ソフトウェアが必要となる点に注意が必要である。展開については、多くの無料の解凍ソフトウェア(例:7-Zipなど)がRAR形式をサポートしているため、作成ほど制限は厳しくない。ZIP形式と比較すると、RARは一般的に高い圧縮率と高度な機能を備える一方で、プロプライエタリな性質と作成ツールの普及度合いにおいてZIPに一歩譲る場面もあると言える。しかし、その高い性能と信頼性から、今なお多くのユーザーに支持されている圧縮形式である。

関連コンテンツ