RASIS(ラシス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
RASIS(ラシス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
信頼性、可用性、保守性、完全性、安全性 (シンライセイ、カヨウセイ、ホシュセイ、カンゼンセイ、アンゼンセイ)
英語表記
RASIS (ラシス)
用語解説
RASIS(ラシス)は、ITシステムの品質や性能を評価、設計する上で非常に重要な5つの要素の頭文字を取ったもので、システムエンジニアを目指す上で必ず理解しておくべき概念である。これはReliability(信頼性)、Availability(可用性)、Serviceability(保守性)、Integrity(完全性)、Security(安全性)の頭文字を組み合わせた用語であり、これら全ての要素が高い水準で満たされているシステムこそが、高品質で安定したシステムと言える。システム開発の企画段階から運用・保守に至るまで、あらゆるフェーズでこのRASISの視点を持つことは、ユーザーに価値あるシステムを提供する上で不可欠となる。
ここからは、それぞれの要素について詳細に解説する。
まず、Reliability(信頼性)は、システムが故障せず、期待通りに動作し続ける度合いを示す。具体的には、システムが一度稼働を開始したら、途中で停止したりエラーを発生させたりすることなく、連続して稼働できる時間の長さや、その安定性を指す。例えば、サーバーが1年間ダウンタイムなしで稼働し続けた場合、その信頼性は非常に高いと言える。信頼性を高めるためには、堅牢なハードウェアの選定、十分なテストによるバグの排除、冗長化設計(二重化や多重化)など、様々な対策が講じられる。ユーザーがいつでも安心してシステムを利用できるかどうかに直結する、最も基本的な品質要素の一つである。
次に、Availability(可用性)は、システムが必要な時に利用できる状態にある度合いを示す。信頼性が「故障しないこと」に重きを置くのに対し、可用性は「故障したとしても、いかに早く復旧して利用可能になるか」「そもそも故障が起きてもサービスを継続できるか」という視点も含む。システムの稼働時間と停止時間の割合で表されることが多く、例えば「99.999%の可用性」は「ファイブナイン」と呼ばれ、非常に高い水準を意味する。可用性を確保するためには、冗長化はもちろんのこと、バックアップとリカバリの体制、障害発生時の自動切り替え(フェイルオーバー)、災害対策(DR)などが重要になる。システムが止まってしまっては業務に大きな支障が出るため、現代のシステムにおいて極めて重視される要素である。
Serviceability(保守性)は、システムに障害が発生した場合や、機能変更・拡張が必要な場合に、いかに迅速かつ容易に修復、変更、維持できるかを示す度合いである。システムの運用・保守フェーズにおいてその真価が問われる。例えば、障害発生時に原因を特定しやすいようにログが適切に出力されているか、システム構成がドキュメント化されているか、特定のモジュールだけを独立して修正できるような設計になっているかなどが保守性の良し悪しを左右する。また、監視ツールとの連携やリモートからの操作のしやすさなども含まれる。保守性が低いシステムは、障害対応に時間がかかり、運用コストも高くなる傾向にあるため、開発段階から意識した設計が求められる。
Integrity(完全性)は、データが正確で、矛盾がなく、意図しない改ざんや破壊から保護されている度合いを示す。システムが扱う情報が常に正しい状態であることが保証されているか、という点に焦点を当てる。例えば、データベース上の顧客情報が、誤った操作や不正アクセスによって書き換えられていないか、あるいは計算結果が常に正しいかなどが完全性の問題となる。データの完全性を確保するためには、データの入力チェック、トランザクション管理(ACID特性)、アクセス権限の適切な設定、データのバックアップとリストア、エラー訂正機能などが挙げられる。データの信頼性を担保する上で非常に重要な要素であり、特に金融システムや医療システムなど、データの正確性が生命線となるシステムでは厳格な対策が必須となる。
最後に、Security(安全性)は、システムやデータが、不正アクセス、情報漏洩、破壊などの脅威から保護されている度合いを示す。外部からの攻撃や内部からの不正な利用に対して、どれだけ堅牢であるか、機密情報が守られているか、といった側面を扱う。具体的には、認証(ユーザーが本人であることを確認)、認可(ユーザーに許可された操作のみを許可)、暗号化(データの盗聴防止)、ファイアウォールや侵入検知システムによるネットワーク保護、脆弱性診断とパッチ適用などが含まれる。近年、サイバー攻撃の脅威は増大しており、システムの安全性を確保することは企業の信頼性や存続に直結する。
これらRASISの5つの要素は、それぞれが独立しているように見えて、実際には密接に関連し合っている。例えば、信頼性が低いシステムは可用性も低くなりがちであり、安全性が確保されていないシステムではデータの完全性も危うくなる。システムエンジニアとして高品質なシステムを構築するためには、これら全ての要素のバランスを考慮し、設計、実装、テスト、運用といったシステムのライフサイクル全体を通じて、常にRASISの視点を持って取り組むことが求められる。初心者のシステムエンジニアは、これらの概念を体系的に理解し、自身の設計や開発、運用業務に活かしていくことで、より良いシステム構築に貢献できるだろう。