SFTP(エスエフティーピー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
SFTP(エスエフティーピー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
セキュアファイル転送プロトコル (セキュアファイルテンソウプロトコル)
英語表記
SFTP (エスエフティーピー)
用語解説
SFTPとは、Secure File Transfer Protocol(セキュア ファイル トランスファー プロトコル)の略称であり、ネットワークを介してファイルを安全に転送するためのプロトコルである。従来のファイル転送プロトコルであるFTP(File Transfer Protocol)のセキュリティ上の問題を解決するために開発された。SFTPは、SSH(Secure Shell)というセキュアな通信プロトコルを利用して、その上でファイルの転送を行う。このため、転送されるファイルデータだけでなく、認証情報(ユーザー名やパスワード)も含めてすべての通信内容が暗号化される点が最大の特徴である。これにより、悪意のある第三者によるデータの盗聴や改ざん、なりすましといったリスクから情報を保護しながらファイルをやり取りできる。企業システム間での機密データの交換や、Webサイトのコンテンツ更新、重要なバックアップファイルの転送など、セキュリティが重視されるあらゆるファイル転送の場面で広く利用されている。
SFTPは、その名の通り「Secure(安全な)」ファイル転送を実現するために、SSHプロトコルを基盤として動作する。SSHは、リモートコンピュータに安全に接続し、コマンドを実行するためのプロトコルであり、通信経路全体を強力な暗号化によって保護する機能を持つ。SFTPはこのSSHの機能を活用し、ファイル転送を暗号化されたチャネル上で行う。
具体的な仕組みとしては、SFTPクライアント(ユーザーが利用するソフトウェア)がSFTPサーバー(ファイルが保管されているコンピュータ)に接続する際、まずSSHセッションを確立する。このセッション確立の段階で、クライアントとサーバー間で暗号化に必要な鍵の交換が行われ、以降のすべての通信がこの鍵を用いて暗号化される。ファイルデータが送信される際も、認証情報が送信される際も、すべて暗号化された状態でネットワーク上を流れるため、もし通信経路の途中でデータが傍受されたとしても、その内容を容易に解読することは不可能である。
SFTPの認証方式には、主にパスワード認証と公開鍵認証の二種類がある。パスワード認証は、ユーザー名とパスワードの組み合わせで本人確認を行う一般的な方法だが、SFTPではこのパスワードもSSHによって暗号化されて送信されるため、従来のFTPのように平文でパスワードが流れる危険性はない。一方、公開鍵認証は、パスワード認証よりもさらに強固なセキュリティを提供する。これは、クライアント側が秘密鍵を持ち、サーバー側がその秘密鍵に対応する公開鍵を持つことで認証を行う方式である。秘密鍵はクライアントのコンピュータ上に厳重に保管され、サーバーにはパスワードを送信する必要がないため、より高いセキュリティレベルを確保できる。
SFTPが利用するポート番号は、一般的にSSHと同じTCPポート22番である。これは、SFTPがSSHの上に構築されているためである。この単一のポートで制御(接続要求、認証、コマンド実行など)とデータ転送の両方を行うため、ファイアウォールの設定が比較的シンプルになるという利点もある。従来のFTPでは、制御用に1つのポート(21番)と、データ転送用に複数の動的なポートを使用するアクティブモードや、クライアント側から接続するパッシブモードなどがあり、ファイアウォールの設定が複雑になりがちだった。SFTPではそのような複雑さが解消され、企業ネットワーク内での導入や管理が容易になっている。
従来のFTPとSFTPの最も大きな違いは、やはりセキュリティ機能の有無である。FTPはデータを平文で転送するため、悪意のある第三者に通信を傍受された場合、ファイルの内容やユーザー名、パスワードなどの認証情報がそのまま漏洩するリスクがあった。これに対しSFTPは、前述の通りSSHによる強力な暗号化と認証機能によって、これらのリスクを根本的に排除する。
類似のセキュアなファイル転送プロトコルにFTPS(FTP Secure)があるが、SFTPとFTPSは異なる技術基盤に基づいている。SFTPはSSHプロトコルを利用するのに対し、FTPSはSSL/TLSプロトコルを利用してFTPの通信を暗号化する。どちらも安全なファイル転送を実現するが、基盤となるプロトコルが異なるため、内部的な動作やファイアウォールでの扱いなどに違いがある。SFTPはSSHの安定した機能群を利用し、単一のポートで完結するため、多くの場合で導入・運用が容易とされる。
SFTPの利点をまとめると、まず第一に、データおよび認証情報の高い安全性が挙げられる。データの盗聴や改ざん、認証情報の漏洩を効果的に防ぐことができ、機密性の高い情報を安心して転送できる。第二に、ファイアウォール設定の簡素化である。単一のポートを使用するため、ネットワーク管理者はセキュリティポリシーの適用が容易になる。第三に、SSHが提供する堅牢な認証メカニズムを利用できるため、未承認のアクセスを防ぐ能力が高い。
これらの利点から、SFTPは以下のような多様なシーンで活用されている。例えば、企業が顧客の個人情報や取引データを安全にやり取りする場合、Webサイトの運営者がサーバーにコンテンツファイルをアップロード・更新する場合、定期的なシステムバックアップをリモートサーバーに転送する場合、あるいは複数のシステム間でファイルを自動的に連携させる場合など、データ転送の安全性が必須となる状況でSFTPは最適な選択肢となる。
SFTPを利用するためには、クライアント側にはSFTPクライアントソフトウェア(例: WinSCP, FileZilla, Cyberduckなど)、サーバー側にはSFTPサーバーソフトウェア(例: LinuxなどのOSに標準で含まれるOpenSSHサーバーなど)が必要となる。これらのソフトウェアを通じて、ユーザーは直感的な操作でセキュアなファイル転送を行うことが可能である。システムエンジニアを目指す初心者にとって、SFTPは現代のIT環境において必須とも言える知識であり、その仕組みと利点を理解することは、安全なシステム設計・構築・運用を行う上で非常に重要である。