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SIMM(シム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

SIMM(シム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

シム (シム)

英語表記

SIMM (シム)

用語解説

SIMM(シム)とは、Single In-line Memory Moduleの略であり、初期のパーソナルコンピュータ(PC)においてメインメモリとして広く利用されたメモリモジュールの一種である。CPUがプログラムを実行したりデータを処理したりする際に一時的に情報を格納する役割を担い、コンピュータの性能を左右する重要な部品であった。その名の通り、基板の片面または両面に複数のメモリチップが実装され、基板の長辺の一方に接続端子が並ぶ「インライン」の形状が特徴である。

SIMMが登場した背景には、メモリチップを個別にマザーボードにはんだ付けする従来の方式では、メモリ容量の増設や交換が困難であったという課題があった。SIMMは複数のメモリチップを一つのモジュールとしてまとめることで、メモリの取り扱いを容易にし、ユーザーがメモリを交換・増設できる道を拓いた。これは、PCの自作やアップグレードが普及する上で大きな貢献を果たした。

SIMMには主に2種類の物理的な形状とピン数を持つものが存在した。一つは30本の接続端子を持つ「30ピンSIMM」であり、主として1980年代後半から1990年代初頭にかけてのIBM PC/AT互換機やApple MacintoshなどのPCに採用された。この30ピンSIMMは、1枚あたり8ビットまたは、エラー検出用のパリティビットを含めて9ビットのデータバス幅を持っていた。当時のIntel 80286や80386といったCPUのデータバス幅は16ビットや32ビットであったため、CPUのデータバス幅に合わせて、通常は2枚または4枚の30ピンSIMMをセットで使用する必要があった。例えば、32ビット幅のCPUであれば、4枚の30ピンSIMMを同時にマザーボードのメモリスロットに挿入することで、合計で32ビットのデータ幅を確保した。

もう一つは72本の接続端子を持つ「72ピンSIMM」であり、1990年代中盤のIntel 80486搭載PCや、初期のPentium搭載PCで主流となった。この72ピンSIMMは、1枚あたり32ビットまたは、パリティビットを含む36ビットのデータバス幅を持っていた。Pentiumプロセッサのデータバス幅は64ビットであったため、72ピンSIMMを単独で使用することはできず、必ず2枚をセット(ペア)でマザーボードのメモリスロットに挿入する必要があった。この「ペア挿し」の要件は、72ピンSIMMを利用する際の重要な注意点であり、ユーザーがメモリを増設する際にしばしば直面する課題の一つであった。この複数枚のSIMMを同時に利用する方式は「インターリーブ」と呼ばれ、メモリコントローラが異なるモジュールに同時にアクセスすることで、CPUの待ち時間を短縮し、実効的なデータ転送速度を向上させる効果も期待された。

SIMMには、DRAM(Dynamic Random Access Memory)チップが実装されていたが、その中でも特にFast Page Mode (FPM) DRAMやExtended Data Out (EDO) DRAMといった種類が普及した。FPM DRAMは、特定のメモリアドレス範囲(ページ)内であれば高速にデータにアクセスできる特徴を持ち、続くEDO DRAMは、データの読み出し完了前に次のデータ要求を開始できることで、FPM DRAMよりもわずかに高速なアクセスを実現した。しかし、これらの技術も、より高速なCPUの要求に応えきれなくなり、次の世代のメモリ技術であるSDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)へと移行するきっかけとなった。

SIMMの物理的な設計には、スロットへの誤挿入を防ぐための切り欠き(ノッチ)が設けられていた。これにより、正しい向きでのみ挿入が可能となり、取り付け時の破損リスクを低減していた。マザーボード上のSIMMスロットは、通常はプラスチック製のガイドと金属製のクリップで構成され、SIMMを斜めに挿入して垂直に起こす、または真っ直ぐ挿入してクリップで固定するといった方式で取り付けられた。

現在のPCにおいては、SIMMはほとんど使用されていない。その後、データバス幅の拡大や動作周波数の向上、電力効率の改善などを目的として、DIMM(Dual In-line Memory Module)が主流となり、さらにDDR SDRAM(Double Data Rate SDRAM)やその進化形であるDDR2、DDR3、DDR4、DDR5といった技術へと発展していった。SIMMは、今日のコンピュータメモリの基礎を築いた歴史的な部品であり、メモリ技術の進化の一端を示す重要な存在である。その機能や特性を理解することは、過去のPCアーキテクチャを理解し、現在のメモリ技術の発展をより深く洞察する上で役立つ。

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