UHS-I(ユーエイチエスワン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
UHS-I(ユーエイチエスワン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユーエイチエス・ワン (ユーエイチエス・ワン)
英語表記
UHS-I (ユーエイチエスワン)
用語解説
UHS-Iは、SDカードのデータ転送速度を大幅に向上させるために策定された高速インターフェース規格の一つである。UHSは「Ultra High Speed」(ウルトラハイスピード)の略で、Iはその第一世代を示す。この規格は、デジタルカメラの高画素化や高フレームレート化、スマートフォンの高画質動画撮影、ゲーム機のデータ大容量化といった、より高速なデータ処理が求められる現代のデジタル機器の進化に対応するために導入された。従来のSDカードのバスインターフェースでは対応しきれないデータ転送速度の限界を打破し、特にフルHDや4K動画の連続撮影、RAW形式での高速連写など、大容量データを短時間で効率良く処理する必要がある場面でその真価を発揮する。UHS-Iに対応したSDカードと、同じくUHS-Iに対応したホストデバイス(デジタルカメラ、スマートフォン、PCカードリーダーなど)を組み合わせて使用することで、従来のSDカードに比べて飛躍的に高速なデータ転送が可能となる。
詳細を説明する。UHS-Iは、SDカードの物理的な形状やピン配置は従来のSDカードと互換性を保ちながら、内部の電気信号伝送方式とクロック周波数を改良することで高速化を実現している。従来のSDバスインターフェースは最大クロック周波数が50MHzで、理論上の最大転送速度は25MB/s(メガバイト毎秒)であった。これに対し、UHS-Iでは、最大クロック周波数を208MHzまで引き上げ、さらにデータ転送の効率を高める新しい信号伝送方式を採用することで、理論上の最大転送速度を104MB/sへと大幅に向上させた。この速度向上は、従来のパラレルデータ転送方式に加え、より高速で効率的なシングルエンド信号伝送方式を導入することによって達成されている。これにより、一度に転送できるデータ量が増加し、転送にかかる時間が短縮されるため、デジタルカメラでの高速連写時のバッファクリア時間の短縮や、高ビットレートの動画撮影時におけるフレーム落ちの防止に大きく貢献する。
UHS-I規格には、カードの性能を保証するための「UHSスピードクラス」と「ビデオスピードクラス」という概念が導入されている。UHSスピードクラス1(U1)は、最低書き込み速度10MB/sを保証するもので、これはフルHD動画の安定した記録を可能にするレベルを示す。また、ビデオスピードクラス10(V10)も同じく最低書き込み速度10MB/sを保証し、主に動画撮影における安定した性能を保証する。これらのマークは、UHS-I対応SDカードの表面に印刷されており、ユーザーが自分の使用目的やホストデバイスの要求する性能に合致するカードを選択する際の重要な目安となる。SDカードを選定する際には、ホストデバイスが要求する最低速度クラスと、カード側の対応速度クラスが一致しているか、またはそれを上回っているかを確認することが肝要である。
UHS-Iは優れた下位互換性を持つ点も特徴である。UHS-I対応のSDカードを、UHS-Iに非対応のデバイスに挿入した場合でも、そのカードは従来のSDHCまたはSDXCカードとして認識され、問題なく動作する。ただし、この場合、転送速度はホストデバイスが対応する最も速い従来のSDバスインターフェースの速度に制限されるため、UHS-I本来の高速性能は発揮されない。例えば、UHS-I対応カードを従来の最大転送速度25MB/sのデバイスで使用すると、その速度が上限となる。逆に、UHS-Iに対応したデバイスに従来のSDカードを挿入した場合も、同様にカード側の最大速度で動作し、UHS-Iの恩恵を受けることはできない。UHS-Iの最大性能を享受するためには、SDカードとホストデバイスの両方がUHS-Iインターフェースに対応している必要がある。
UHS-Iの登場は、それまでのSDカードの性能の限界を大きく押し広げ、大容量かつ高速なデータ処理が求められる現代のデジタル機器の進化を強力に支える基盤となった。しかし、デジタル技術のさらなる進歩、例えば4Kや8Kの超高精細動画撮影、VR/ARといった次世代のアプリケーションにおいては、104MB/sというUHS-Iの理論上の最大速度も限界が見え始めている。そのため、UHS-Iの後にUHS-II、UHS-IIIといった、さらに高速なインターフェース規格が開発されている。これらの新しい規格は、従来のピン配置に加えて追加のデータピンを使用することで、それぞれ理論上312MB/s、624MB/sといったさらなる高速化を実現している。UHS-Iは、これらの超高速規格の礎を築いた、技術的な進化における重要なステップであると言える。システムエンジニアを目指す上では、UHS-IがSDカードの性能向上においてどのような役割を果たし、その技術的背景と互換性がどのように設計されているかを理解することは、データストレージや組み込みシステムの設計を考える上で基本的な知識として非常に重要である。実際の製品においては、SDカードのコントローラーの性能やNANDフラッシュメモリの品質、ホストデバイス側の実装、ファイルシステムの種類など、様々な要因によって実際の転送速度が理論値よりも低くなる場合があることも考慮しておくべきだ。