UPoE(ユーピーオーイー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
UPoE(ユーピーオーイー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ユニバーサルポートパワーオーバーイーサネット (ユニバーサルポートパワーオーバーイーサネット)
英語表記
UPoE (ユーピーオーイー)
用語解説
UPoEは、Power over Ethernet(PoE)技術の一種であり、イーサネットケーブルを通じてデータ通信と同時に、より高い電力をネットワークデバイスに供給するための技術である。一般的なPoEやPoE+(PoE Plus)では供給しきれない、より多くの電力を必要とするデバイスの普及に伴い、シスコシステムズ社が独自に開発した。これにより、高機能な無線LANアクセスポイント、PTZ(パン・チルト・ズーム)カメラ、LED照明、シンクライアント端末といった、従来ではAC電源アダプタが別途必要であったデバイスも、イーサネットケーブル一本で動作させることが可能となり、ネットワークインフラの構築における柔軟性と効率性を大幅に向上させる。
詳細を説明すると、まずPoEは、IEEE 802.3af規格によって標準化された技術であり、イーサネットケーブルの4対(8本)の線路のうち、2対(4本)をデータ通信に、残りの2対(4本)を電力供給に利用するか、あるいはデータ通信に使用する2対の線路と電力を重畳させて供給する。これにより、最大15.4ワットの電力を給電側機器(PSE: Power Sourcing Equipment)から受電側機器(PD: Powered Device)に供給することができ、PD側では最大12.95ワットの電力を利用できる。その後、より高電力なデバイスに対応するため、IEEE 802.3at規格としてPoE+が登場した。PoE+は同様に2対の線路を使用して、最大30ワットの電力をPSEから供給し、PDでは最大25.5ワットを利用可能とした。しかし、高性能な無線LANアクセスポイントや、ヒーター内蔵の屋外用監視カメラ、小型のPCやディスプレイなどを駆動させるためには、PoE+の電力供給能力でも不足する場合があった。
そこでシスコシステムズ社が開発したのがUPoE(Universal Power over Ethernet)である。UPoEは、従来のPoEやPoE+がイーサネットケーブルの8本ある線路のうち4本しか電力供給に利用していなかった点に着目し、残りの4本の線路も電力供給に活用する。つまり、UPoEではイーサネットケーブルのすべての4対(8本)の線路を電力供給とデータ通信の両方に使用することで、単一のケーブルで最大60ワットの電力をPSEから供給し、PDでは最大51ワットの電力を利用できるようにした。これは、PoE+の約2倍の電力供給能力に相当する。この全8本の線路を使った電力供給は、給電効率の向上だけでなく、ケーブル一本あたりの電力供給能力を飛躍的に高めることで、電力供給のための新たな配線工事や電源コンセントの設置を不要にするという大きなメリットをもたらした。
UPoEの導入により、例えば大規模なオフィス環境や工場、学校などにおいて、多数の無線LANアクセスポイントやIP監視カメラを設置する際に、AC電源の確保を気にすることなく、ネットワークスイッチから直接電源を供給できるようになる。これにより、デバイスの設置場所の自由度が高まり、レイアウト変更も容易になる。また、電源ケーブルが不要になることで、配線がシンプルになり、見た目の美観が向上するだけでなく、ケーブルの管理コストも削減できる。さらに、UPS(無停電電源装置)と連携することで、停電時にもネットワークデバイスへの電力供給を継続させることが可能となり、システムの可用性を高めることができる点も大きな利点である。
ただし、UPoEを利用するためには、給電側であるネットワークスイッチ(PSE)と、受電側であるデバイス(PD)の両方がUPoEに対応している必要がある。また、高い電力効率を維持するためには、使用するイーサネットケーブルもカテゴリ5e(Cat5e)以上の品質を持つケーブルが推奨される。PSEは、接続されたPDが要求する電力をネゴシエーションによって確認し、必要な電力を供給する。このため、PSEが持つ総電力供給能力(電力バジェット)を適切に管理することが重要になる。IEEE標準化団体でも、UPoEと同様に4対の線路をすべて利用して高電力を供給するIEEE 802.3bt規格(PoE++または4PPoEと呼ばれる)が策定されており、UPoEはシスコ独自の技術であるが、このIEEE 802.3btのType 3(最大60W供給)とほぼ同等の電力供給能力を持つ。しかし、規格が異なるため、互換性については機器の仕様を確認することが求められる。UPoEは、高性能なネットワークデバイスの普及を後押しし、現代のネットワークインフラにおいて電源配線の課題を解決する重要な技術の一つであると言える。