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PD(ピーディー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

PD(ピーディー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

パーソナル・デジタル (パーソナル・デジタル)

英語表記

PD (ピーディー)

用語解説

PDとは、システム開発の工程において「Physical Design(物理設計)」を指す言葉である。これは、システムが「何を」実現するかを定義する要件定義や基本設計(論理設計)を受けて、「どのように」そのシステムを構築するかを具体的に定める設計フェーズを意味する。システムエンジニアを目指す者にとって、システムがどのように動くのか、どのような構成で成り立っているのかを理解するために、物理設計は重要な概念となる。

物理設計の目的は、論理設計で定められた機能やデータ構造を、実際に稼働するハードウェア、ソフトウェア、ネットワークなどの物理的なリソース上に展開するための具体的な計画を立てることにある。この段階では、使用するデータベースの種類、サーバーのスペック、ネットワークの構成、プログラミング言語、ミドルウェア、開発フレームワークなど、システムの具体的な構成要素が詳細に決定される。物理設計の成果物は、後続の実装フェーズにおける開発作業の指針となり、システム構築の品質と効率を大きく左右する。

詳細に入ると、物理設計は論理設計と密接な関係を持ちながらも、その性質は大きく異なる。論理設計がビジネス要件や利用者視点に基づき、システムの機能やデータの流れを抽象的に定義するのに対し、物理設計は技術的な視点から、それらを現実世界でどのように具現化するかを具体的に落とし込む作業となる。例えば、論理設計で「顧客情報」という概念が定義された場合、物理設計ではその「顧客情報」を格納するためのデータベースのテーブル名、カラム名、データ型、インデックスの有無、ストレージの割り当てといった具体的な情報を決定する。

物理設計の主な要素は、システムの構成に応じて多岐にわたるが、一般的には以下の項目が含まれる。まず、データベース物理設計では、論理設計で定義されたエンティティやリレーションシップを基に、具体的なデータベース管理システム(DBMS)の種類を選定し、テーブル構造、インデックスの設計、ビューの定義、データ型、ストレージ配置、パーティショニング戦略などを決定する。この際、データの整合性、検索性能、更新性能、バックアップ・リカバリの容易さなどを考慮することが不可欠である。特に、膨大なデータを扱うシステムでは、インデックスの有無やその設計がシステムのパフォーマンスに直結するため、慎重な検討が求められる。また、論理設計での正規化を、性能要件を満たすためにあえて非正規化する(デノーマライズ)といった判断も、この段階で行われることがある。

次に、ネットワーク物理設計では、サーバー、クライアント端末、各種ネットワーク機器(ルーター、スイッチ、ファイアウォールなど)の配置、物理的な接続方法、IPアドレスの割り当て、VLAN(仮想LAN)の設計、ネットワーク帯域の確保、セキュリティゾーンの分割などを行う。システムの利用規模やセキュリティ要件に応じて、冗長化構成や負荷分散の仕組みも検討される。ネットワークはシステム全体の通信基盤となるため、可用性、性能、セキュリティのバランスを考慮した設計が重要である。

さらに、ハードウェア物理設計では、システムを構成するサーバーのCPU、メモリ、ストレージのスペック、オペレーティングシステム(OS)、ミドルウェア(Webサーバー、アプリケーションサーバーなど)の選定と構成、仮想化技術の適用、冗長化構成(クラスタリングなど)、災害対策(DR)、バックアップ・リカバリ戦略などを具体的に計画する。これにより、システムの安定稼働と性能維持に必要な基盤が構築される。クラウド環境を利用する場合は、IaaSやPaaSのサービス選定と具体的なリソース設定がこれに該当する。

そして、プログラム物理設計では、画面レイアウト、帳票フォーマット、バッチ処理の詳細、システム間のインターフェース仕様、共通部品の設計、エラー処理の方式、セキュリティ実装の方針などを具体的に定義する。プログラミング言語や開発フレームワークの選定もこの段階で確定し、コーディング規約や単体テストの計画も考慮されることがある。ユーザーインターフェース(UI)の使いやすさや、処理効率、保守性などがこの設計に影響する。

物理設計を進める上で、考慮すべき点は多岐にわたる。最も重要なのは、性能要件(応答速度、処理能力)を満たせるかという点である。設計段階でボトルネックを特定し、解消策を講じなければ、完成後のシステムが期待通りの性能を発揮できない可能性がある。また、信頼性と可用性も不可欠な要素であり、システムが停止しないための冗長化構成や、万一の障害発生時に迅速に復旧するためのバックアップ・リカバリ戦略が求められる。

さらに、将来の機能追加や変更に柔軟に対応できる保守性、情報漏洩や不正アクセスからシステムを保護するセキュリティ、ハードウェアやソフトウェアの導入費用および運用費用を最適化するコスト、そしてシステムが稼働し始めてからの監視や障害対応を容易にする運用性も、物理設計の重要な検討項目となる。特定の技術スタックを使用する場合、その技術の特性や制約も十分に理解した上で設計を進める必要がある。

物理設計は、システム開発の最終的な品質を決定づけると言っても過言ではない。このフェーズで詳細かつ適切な設計が行われることで、実装フェーズでの手戻りが減り、開発コストや期間の削減にも貢献する。また、構築されたシステムが長期にわたって安定稼働し、ビジネス要件を満たし続けるための基盤となる。物理設計を深く理解することで、抽象的な概念を具体的な形にするスキルが養われ、技術的な課題解決能力が向上するだろう。

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