UPS(ユーピーエス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
UPS(ユーピーエス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
無停電電源装置 (ムテイデンデンゲンソウチ)
英語表記
UPS (ユーピーエス)
用語解説
UPSはUninterruptible Power Supplyの略称で、日本語では無停電電源装置と和訳される。その主な役割は、電力供給が途絶えたり、電圧が不安定になったりした場合に、接続されている機器へ安定した電力を供給し続けることだ。これにより、突然の停電によるシステムダウンやデータ損失を防ぎ、重要なITインフラの可用性を維持する。サーバー、ネットワーク機器、ストレージ、通信機器など、常時稼働が求められる機器において、その重要性は非常に高い。単に電力をバックアップするだけでなく、電源の品質を向上させ、電圧の変動やノイズからも機器を保護する機能も持つ。システムエンジニアにとって、信頼性の高いシステム設計と運用には不可欠な要素の一つである。
UPSには主に三つの動作方式がある。一つ目は常時商用給電方式(オフライン方式)だ。この方式は、通常時は商用電源を直接接続機器に供給し、UPSは待機状態にある。停電や著しい電圧変動を検出した場合に、内蔵バッテリーとインバータを経由した電力供給へ自動で切り替わる。構造がシンプルで製造コストが低い点が大きな特徴だが、電源切り替え時に数ミリ秒から十数ミリ秒程度のわずかな瞬断が発生する可能性があり、厳密な無停電給電が求められる環境には不向きだ。また、通常時の電源品質は商用電源に依存するため、雷サージやノイズに対する保護機能も限定的である。主に個人利用のPCや、停電時に瞬時の停止が許容される小規模なオフィス機器での利用に適している。
二つ目はラインインタラクティブ方式だ。この方式は、常時商用給電方式を改良したもので、通常時は商用電源を供給しつつも、内蔵された自動電圧調整(AVR: Automatic Voltage Regulator)機能により、入力電圧の変動(高電圧や低電圧)をインバータを介さずに安定させる能力を持つ。停電時にはバッテリーとインバータによる給電に切り替わる点は常時商用給電方式と同様だが、切り替え時間はより短縮されている。常時商用給電方式よりも高い電源品質を提供し、コストと性能のバランスが優れているため、中小規模のサーバーやネットワーク機器、PCワークステーションなど、比較的高い電源信頼性が求められる環境で広く採用されている。
三つ目は常時インバータ給電方式(オンライン方式)だ。この方式は、UPSが常に稼働状態にあり、商用電源をまず交流から直流へ変換し(この回路を整流器またはコンバータと呼ぶ)、その直流電力でバッテリーを充電しながら、同時にインバータで直流を安定した交流電力に再変換して接続機器に供給する。つまり、商用電源が接続機器に直接供給されることは一切なく、常にUPS内部の回路を通って、品質が安定化されたクリーンな電力が供給される。停電時でも、バッテリーからの直流電力が直接インバータに供給されるため、電力の瞬断が全く発生せず、完全に無瞬断での給電が可能となる。最も高価ではあるが、最高の電源品質と高い信頼性を提供するため、大規模なデータセンターや基幹業務を支えるサーバー、医療機器、精密測定機器など、電源の安定性と可用性が極めて重要視される環境で採用される最上位の方式だ。
UPSは主に、バッテリー、充電回路、インバータ、コンバータ/整流器、自動切替スイッチ(ATS)、そして監視・制御回路で構成される。バッテリーは電力を蓄える最も重要な要素で、停電時に機器へ電力を供給する。一般的には安価で信頼性の高い鉛蓄電池が広く用いられるが、長寿命で小型軽量、高出力が可能なリチウムイオンバッテリーの採用も近年増加している。充電回路は、商用電源からバッテリーを常に最適な状態に充電し続ける。インバータはバッテリーに蓄えられた直流電力を、機器が利用できる安定した交流電力に変換する役割を担う。コンバータまたは整流器は、商用電源の交流をUPS内部で利用する直流に変換するために用いられる。ATSは停電時に商用電源からバッテリー給電へ、あるいはその逆へ、電力供給源を自動的に切り替える回路だ。監視・制御回路は、UPSの動作状態や電力品質、バッテリーの状態を常に監視し、異常を検知した際には管理者へ通知したり、接続機器へ安全なシャットダウンコマンドを発行したりする役割を持つ。
UPSを選定する際には、まず接続する機器の合計消費電力(単位はVAまたはW)を正確に把握し、それに加えて将来の拡張性も考慮し、十分に余裕を持った容量を選ぶことが極めて重要だ。一般的には、接続機器の消費電力の1.2倍から1.5倍程度の容量を持つUPSが推奨される。次に、停電時にシステムをどのくらいの時間稼働させ続けたいか(運転時間)を明確にする必要がある。これは、システムの安全なシャットダウンに必要な時間や、電力復旧までの見込み時間に基づいて決定される。UPSの動作方式は、前述の常時商用給電方式、ラインインタラクティブ方式、常時インバータ給電方式の中から、接続機器の重要度や必要な電源品質、予算に応じて慎重に選択する。さらに、ネットワーク経由での監視・管理機能(SNMPサポートやWebブラウザ管理など)や、接続機器へ自動的にシャットダウンコマンドを発行する機能の有無も、運用効率を考慮する上で重要な確認点だ。設置場所に合わせて、タワー型かラックマウント型かといった筐体の形状も選定のポイントとなる。
UPSの導入後も、適切な管理と保守が不可欠だ。特に、バッテリーは消耗品であり、その寿命は一般的に3年から5年程度とされている。バッテリーの劣化は、停電時の給電能力低下に直結し、いざという時に機能しないリスクを高めるため、定期的な点検と交換が必要不可欠だ。また、UPSの状態を監視する専用ソフトウェアを導入し、バッテリーの状態、入力・出力の電力品質、負荷状況などを常に把握することも強く推奨される。これにより、予期せぬトラブルを未然に防ぎ、システムの安定稼働を長期にわたって維持することができる。適切なUPSの選択、導入、そして継続的な管理は、現代のITインフラを運用する上で、システムエンジニアが果たすべき非常に重要な役割の一つと言える。