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WORM(ワーム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

WORM(ワーム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

ワイオーアーム (ワイオーアーム)

英語表記

WORM (ワーム)

用語解説

WORMとは、"Write Once Read Many"の頭文字を取った略語であり、一度だけデータを書き込むことができ、その後は何度でも読み出すことが可能だが、書き込んだデータの修正や削除は一切行えないという特性を持つストレージ技術またはメディアのことである。この技術は、データが一度作成された後、意図的であるとないにかかわらず、その内容が変更されてしまうと困る場面、あるいは変更されてはならない場面において極めて重要な役割を果たす。システムエンジニアを目指す者にとって、データの信頼性、コンプライアンス、そして長期的なデータ管理の基礎を理解する上で、WORMの概念は不可欠な知識となる。

WORM技術の最大の目的は、データの完全性と不変性を保証することにある。つまり、データが記録された時点の内容が、その後も未来永劫にわたって保証され、改ざんや消失のリスクから保護されることを意味する。これは、紙の文書における改ざん防止のために一度書いたら消せないインクを使うことに似ているが、デジタルデータの世界では、より複雑な技術的仕組みによってこの不変性が実現されている。

WORMの仕組みは大きく分けて、物理的なWORMと論理的なWORMの二種類がある。物理的なWORMの代表例は、CD-RやDVD-R、BD-Rといった追記型光ディスクである。これらのメディアでは、記録層にレーザーを照射して物理的な変化を起こすことでデータを書き込む。一度書き込まれた部分の物理的構造は元に戻すことができないため、データの修正や削除は不可能となる。追記は可能だが、既存データは変更されない。これは「追記型」メディアとも呼ばれる所以である。記録されたデータは、メディアが物理的に損傷しない限り、永続的に読み出し可能である。しかし、光ディスクの容量は限られており、データの検索性や大規模なシステムへの統合は難しい場合が多い。

一方、現代のITシステムにおいて主流となっているのは、論理的なWORM機能を提供するストレージシステムである。これは、特定のストレージデバイスやファイルシステム、あるいはクラウドサービスが、ソフトウェア的な制御によってデータの不変性を保証するものである。例えば、NAS(Network Attached Storage)やSAN(Storage Area Network)といったストレージシステムの中には、WORMモードをサポートするものがある。これは、特定のファイルやディレクトリに対して「WORM属性」を設定することで、指定された期間内は管理者権限を持つユーザーであってもデータの変更や削除を禁止するという機能である。データ自体は一般的なハードディスクやフラッシュメモリに記録されるが、システムがその不変性を強制的に維持する。

クラウドサービスにおいてもWORM機能は広く提供されており、「オブジェクトロック」や「不変ストレージ(Immutable Storage)」といった名称で知られている。Amazon S3のObject Lock機能やAzure Blob StorageのImmutable Storageは、オブジェクト(ファイル)に対して一度書き込んだら指定された期間は変更・削除できないというルールを設定できる。これにより、クラウド上に保存されたデータも高いレベルで改ざんから保護される。これらの機能は、リーガルホールド(訴訟のためのデータ保全)やガバナンス要件への対応に不可欠である。さらに、データが作成された際のハッシュ値を記録し、後日そのハッシュ値と比較することでデータが改ざんされていないことを検証する技術や、複数の複製を作成してそれらを比較することで改ざんを検知する技術なども組み合わせて利用される場合がある。タイムスタンプの付与も、データの作成日時が改ざんされていないことを証明する上で重要な要素となる。

WORM技術が利用される具体的なシーンは多岐にわたる。最も一般的なのは、法的要件やコンプライアンスへの対応である。金融業界における取引記録、医療業界における電子カルテ、公的機関における公文書、企業の会計帳簿や監査証跡など、多くの業界でデータの長期保存と改ざん防止が法律や規制によって義務付けられている。これらのデータは、一度記録されたら内容が変更されてはならない「真実の記録」として扱われるため、WORMは必須の技術となる。

また、重要なシステムのバックアップやアーカイブにおいてもWORMは有効活用される。特に、ランサムウェアのようなサイバー攻撃からデータを保護する対策として、WORM機能を持つストレージは注目されている。攻撃者がシステム内のデータを暗号化したり削除したりしようとしても、WORMによって保護されたバックアップデータは変更されず、安全に復旧できる可能性が高まる。システムのログデータや監視カメラの映像データなど、証拠保全が求められる情報にもWORMが適用され、その信頼性を高めている。

WORMの導入にはメリットが多い一方で、いくつかの注意点も存在する。最大のデメリットは、一度書き込まれたデータを後から修正できないことである。もし誤ったデータや不完全なデータをWORM媒体に記録してしまった場合、そのデータを修正することは不可能であり、新たな正しいデータを別途書き込むか、システム的な対処が必要となる。また、論理的なWORM機能を利用する場合でも、設定ミスによってデータの不変性が適切に機能しないリスクや、保護期間が終了した後に誤ってデータを削除してしまうリスクなども考慮する必要がある。物理的なWORMメディアは、読み出し装置の互換性やメディア自体の物理的な劣化など、長期保存における課題も抱えている。

しかし、これらのデメリットを上回るメリットとして、データの完全性、信頼性の向上、法的要件への適合、そしてサイバー攻撃からのデータ保護といった点は、現代のデータ駆動型社会においてWORM技術を不可欠なものとしている。システムエンジニアとして、データのライフサイクル管理や情報ガバナンスを設計する際には、WORMの概念と具体的な実装方法を深く理解し、適切な場面で活用する能力が求められるのである。今後もデータ量の増加と規制の厳格化が進む中で、WORM技術はさまざまな形で進化し、その重要性はさらに高まっていくだろう。

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