Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

【ITニュース解説】The AI You Use Is a Liar.

2025年09月09日に「Medium」が公開したITニュース「The AI You Use Is a Liar.」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

現在のAI(LLM)は、確率に基づき文章を作るため、事実と異なる情報を生成する課題を持つ。この限界を克服するため、機械学習と論理的推論を組み合わせた「ニューロシンボリックAI」というハイブリッドな手法が注目されている。

出典: The AI You Use Is a Liar. | Medium公開日:

ITニュース解説

現在、ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)は、人間が書いたかのような自然な文章を生成する能力で世界中を驚かせている。しかし、その裏側には重大な限界が存在する。これらのAIは、時として事実に基づかない情報を自信満々に生成することがあり、この現象は「ハルシネーション(幻覚)」と呼ばれる。この問題の根本原因は、現在のLLMが本質的に「洗練されたシミュレーター」であるという点にあり、その解決策としてニューロシンボリックAIというアプローチが注目されている。

まず、なぜLLMが事実と異なる情報を生成するのか、その仕組みを理解する必要がある。LLMは、インターネット上の膨大なテキストデータを学習することで、単語と単語のつながりの確率を統計的にモデル化している。つまり、「この単語の次には、どの単語が来る可能性が最も高いか」を予測し、それを連鎖させることで文章を生成する。この仕組みにより、文法的に正しく、文脈に沿った流暢な文章を作り出すことができる。しかし、LLMは人間のように世界の仕組み、論理、因果関係を「理解」しているわけではない。あくまでデータ上のパターンを模倣しているに過ぎず、生成している内容が真実か、論理的に正しいかを判断する能力を持っていない。そのため、学習データに含まれていた誤った情報や、文脈上もっともらしいというだけで論理的に破綻した内容を、あたかも事実であるかのように出力してしまうのである。これが、LLMが「嘘つき」と表現される所以である。

この根本的な課題を克服するために提唱されているのが、ニューロシンボリックAIというハイブリッドなアプローチである。これは、二つの異なるAI技術の長所を組み合わせたものである。一つは、LLMに代表される「ニューラルネットワーク」だ。これは人間の脳の神経回路網を模したモデルであり、大量のデータからパターンや特徴を学習することを得意とする。画像認識や音声認識、自然言語処理など、直感的で曖昧な情報を扱う分野で大きな成果を上げてきた。もう一つは「シンボリックAI(記号的人工知能)」である。これは、人間が定義した明確なルールや論理記号(シンボル)を用いて、演繹的な推論を行う古典的なAIアプローチだ。例えば、「AならばBである」というルールに基づき、厳密な論理展開を行うことが得意分野である。

ニューロシンボリックAIは、この二つを融合させる。具体的には、ニューラルネットワークが持つデータからの柔軟なパターン学習能力と、シンボリックAIが持つ厳密な論理推論能力を組み合わせるのだ。これにより、LLMの弱点を補い、より信頼性の高いAIを実現することが期待される。例えば、LLMが文章を生成する際に、シンボリックAIが持つ知識ベースや論理ルールと照合し、内容の矛盾や誤りを検知・修正することが可能になる。これにより、ハルシネーションの発生を大幅に抑制することができる。

さらに、このアプローチはAIの「説明可能性」を高める点でも重要である。現在のLLMは、なぜその出力をしたのかという判断根拠を人間が理解することが難しい「ブラックボックス」問題を抱えている。しかし、ニューロシンボリックAIでは、シンボリックAIが用いた論理ルールを辿ることで、AIの推論過程を明確に説明しやすくなる。これは、金融や医療、法務など、判断の透明性が厳しく求められる分野でAIを安全に活用する上で不可欠な要素となる。また、明確なルールを知識として組み込めるため、膨大なデータだけに依存せず、より効率的に学習を進められる可能性も秘めている。

システムエンジニアを目指す者にとって、この動向は極めて重要である。AIをシステムに組み込む際、その技術の長所だけでなく、限界やリスクを正確に理解しておく必要があるからだ。現在のLLMは強力なツールだが、その出力を無条件に信頼することは危険である。ニューロシンボリックAIのような次世代の技術は、AIをより安全で信頼できるパートナーへと進化させる可能性を秘めている。AI技術は単に文章を生成するだけでなく、論理的な思考や推論能力をいかにして獲得していくのかという、より本質的な知能の実現に向けた段階に進みつつある。この流れを理解することは、将来、より高度で信頼性の高いシステムを構築する上で大きな力となるだろう。

関連コンテンツ

関連ITニュース