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【ITニュース解説】Built a 40k Line AI Platform by Having Conversations

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Built a 40k Line AI Platform by Having Conversations」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

週20時間かかるコンテンツ作成の悩みを解決するため、AIシステム「Topicowl」を開発した。これは大量のコードを書かず、AI「Kiro」との会話で構築され、作業時間を2時間に短縮。ウェブサイトの検索クリック率を38%向上させた。AIエージェントが企画から公開までを自動化する。

ITニュース解説

IT業界で今注目されている、ある画期的なAIプラットフォーム「Topicowl」がどのようにして開発されたかを紹介する。これは、システムエンジニアを目指す皆さんにとって、今後の開発のあり方を考える上で非常に示唆に富む事例となるだろう。

このプラットフォームは、特にコンテンツマーケティングという分野が抱える大きな課題を解決するために作られた。多くの企業の創業者や担当者は、商品開発や顧客対応といった本業の傍ら、週に20時間以上もかけて記事を書き、検索エンジン最適化(SEO)を行い、SNS投稿を作成し、その効果を分析するといったコンテンツマーケティングに追われている。これは非常に時間と労力がかかり、多くの人が途中で諦めてしまったり、燃え尽きてしまったりする原因となっている。

既存のAIツールの中には、文章の「執筆」自体を速くするものは存在する。しかし、コンテンツマーケティングの本当の問題は、記事の企画立案、トピックのリサーチ、SEO戦略の策定、ブランドイメージの一貫性保持、そして実際にコンテンツを公開し、その成果を追跡するといった、執筆以外の80%の部分にある。この手間のかかる80%こそが、人々を苦しめていたのだ。

Topicowlは、この週20時間以上かかっていたコンテンツマーケティングの悪夢を、わずか2時間の戦略的な計画時間に短縮できると謳っている。そして最も驚くべき点は、この4万行にも及ぶ大規模なAIプラットフォームが、開発者が「Kiro」というAIと”会話する”だけで、コードをほとんど書かずに構築されたことである。

開発プロセスは非常にシンプルだった。まず、開発者がどんな機能が欲しいか、システムに何をさせたいかといった要件を、Markdown形式のテキストファイルに具体的に書き出す。これには、「ユーザーがどう使うか」というユーザー要件、「システムがどう動くべきか」という技術要件、外部サービスと連携するための「API(Application Programming Interface)」の指定、そしてデータをどのように保存するかを示す「データベース構造」などが含まれる。この要件をKiroのチャットに入力すると、Kiroはそれを基に詳細な仕様を生成し、さらに具体的な小さな開発タスクへと分解してくれる。もしKiroが、指示していない余計な機能を提案したり、意図しない方向に進みそうになったりした場合は、開発者がその場で修正指示を出すことで軌道修正できる仕組みだ。

この開発をさらに効率的かつ安全にしたのが、「フックシステム」と呼ばれる仕組みだ。これは、Kiroがコードを生成するたびに自動的に特定のチェック処理が実行されるように設定されたものだ。例えば、「セキュリティフック」は、新しく作られたAPIの通信経路に問題がないか、企業の機密情報やユーザーの個人情報が意図せず漏洩するようなコードが含まれていないかなどを自動でスキャンし、安全性を確保する。また、「ドキュメンテーションフック」は、外部のサービスやソフトウェアのAPIを利用する際に、常に最新の公式ドキュメントを自動で確認し、古い仕様に基づいた誤ったコードパターンが生成されるのを防ぐ。これにより、Kiroはまるでベテランのシステムエンジニアが開発プロセス全体をレビューしているかのように機能し、品質と信頼性の高いコード生成を可能にした。

実際にTopicowlの中には何が作られたのだろうか。まず、「AIエージェントシステム」がある。これは、まるで人間の担当者のように自律的に働くAIで、8つの異なるツールを使いこなす。具体的には、記事のトピック調査、記事の執筆、SEOに最適化するための調整、情報のファクトチェック(事実確認)、記事に合った画像の生成、そして適切なマークアップ(HTMLタグなど)の追加といった作業を行う。さらに、この記事が公開するに値する品質に達しているかどうかを、AI自身が判断する能力も持っている。

このAIエージェントは「3段階のワークフロー」に沿って機能する。最初の「計画フェーズ」では、どんな記事を書くべきかをAIが判断する。次に「生成フェーズ」で、実際に記事コンテンツの全てをAIが作成する。最後に「公開フェーズ」で、作成されたコンテンツをWebサイトに自動で配信・公開する。これら全ての工程がAIによって自動化されている。また、複数の企業や個人がそれぞれのプロジェクトでTopicowlを利用できるよう、「マルチテナントアーキテクチャ」という設計が採用されている。これは、一つのシステムを複数のユーザーが共有しながらも、各自のデータや設定が完全に分離され、互いに干渉しないように作られている高度なシステム構成だ。

Topicowlの機能の中でも特に印象的だったのは、「SEOクラスターマップ」という機能の開発だ。これは複数のAPIを呼び出し、大量のデータを処理するという非常に複雑な機能で、もし手作業で開発していれば数週間を要するようなものだった。しかしKiroは、この複雑なタスクを小さな parçalara( parçalaraはトルコ語で「ピース、かけら」を意味する言葉なので、ここでは「小さなピース」または「小さなタスク」が適切)に分解し、一つずつ着実に開発を進めた。開発者は、すでに完了したタスクに対して余計なAIリソース(トークン)を消費しないよう、更新ボタンを効果的に使い、少数の試行錯誤(イテレーション)でこの複雑な機能を完成させたという。

もちろん、この開発には技術的な困難も伴った。その一つが「状態管理」だ。複数のAIエージェントが同時に動き、それぞれがシステムの異なる部分をリアルタイムで更新していくため、どのエージェントがどのデータを、どのような状態に更新したのかを正確に把握し、全体として矛盾がないように維持する調整は非常に難しい課題だった。また、「品質管理」も大きな課題だ。AIが生成した記事が、本当に公開に値する「良い記事」なのかをどう判断するか。これを解決するために、SEOの観点、ファクトチェックの正確性、記事のフォーマットなど、様々な評価基準に基づいてスコアを算出するシステムが構築された。さらに、Google Gemini、Claude、OpenAIなど、それぞれ異なる特性や得意分野を持つ複数のAIモデルを、タスクに応じて適切に使い分け、それらを連携させる調整も大きな技術的ハードルだった。

これらの事例からわかることは、今後のシステム開発において、複雑な要件をAIに記述し、その解決をAIに委ねるというアプローチが現実のものになりつつあるということだ。システムエンジニアにとって、コードを「書く」だけでなく、AIと「会話」し、適切な指示を与え、生成された結果を評価し、必要に応じて修正・調整する能力が、ますます重要になっていく可能性がある。これは開発の生産性を飛躍的に高めるだけでなく、より創造的で戦略的な業務に集中できる未来を示唆している。

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