【ITニュース解説】Cloud-Native Security in 2025: Why Runtime Visibility Must Take Center Stage
2025年09月12日に「The Hacker News」が公開したITニュース「Cloud-Native Security in 2025: Why Runtime Visibility Must Take Center Stage」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
コンテナやKubernetesなどクラウドネイティブ技術の普及で、アプリ開発は加速したが、攻撃対象が広がりセキュリティは複雑化。従来の対策では追いつかず、新たなセキュリティモデルが急務だ。
ITニュース解説
現代の企業におけるアプリケーション開発は、急速な変化のただ中にある。かつては一つの大きなシステムとして作られていたアプリケーションが、今では小さな部品に分割され、それぞれが独立して連携しながら動くように設計されることが一般的になった。この新しい考え方を「クラウドネイティブ」と呼ぶ。具体的には、アプリケーションを動かすための最小単位である「コンテナ」、そのコンテナの展開や管理を自動で行う「Kubernetes」、そしてサーバーの管理を意識せずにコードを実行できる「サーバーレス」といった技術が、現代のアプリケーション開発の主流となっている。これらの技術を活用することで、企業は新しいサービスをこれまで以上に迅速に開発し、ユーザーに提供できるようになり、開発とデリバリーのスピードが飛躍的に向上した。
しかし、このクラウドネイティブなアプローチは、セキュリティの面で大きな転換点をもたらしている。従来のアプリケーションは、比較的固定された環境で動作し、セキュリティ対策もその固定された環境を前提として設計されてきた。しかし、クラウドネイティブ環境では、コンテナが頻繁に起動したり停止したり、Kubernetesがそれらを自動的に配置し直したりするため、アプリケーションの構成や状態が常に変動する。サーバーレス環境では、コードが実行されるたびに新たな環境が一時的に構築され、終了すれば消滅するといった動的な動きが特徴だ。このような流動性の高い環境では、従来の静的なセキュリティモデルでは対応しきれない部分が多く、新たな課題が浮上している。
まず、クラウドネイティブ環境は「攻撃対象領域」を拡大させる。攻撃対象領域とは、悪意のある第三者によって攻撃される可能性のあるシステムやアプリケーションの範囲を指す。コンテナやサーバーレス関数の一つ一つが、外部と通信する可能性を持つことで、攻撃者が侵入を試みる入口が以前よりも増えることになる。また、多数のマイクロサービスが複雑に連携し合うため、一つのサービスに脆弱性が見つかると、それが他のサービスに波及し、システム全体に影響を与えるリスクも高まる。さらに、様々なクラウドサービスやオンプレミスのシステムが混在する「ハイブリッド環境」が一般的になったことで、セキュリティチームは非常に広範囲にわたるシステム全体を監視し、保護しなければならなくなった。この複雑さの増大は、セキュリティ対策の設計、実装、運用を極めて困難にしている。
このような状況において、特に重要性が高まっているのが「ランタイム可視性」である。ランタイム可視性とは、アプリケーションが実際に稼働している「ランタイム(実行時)」に何が起きているのかを、リアルタイムで詳細に把握する能力を指す。従来のセキュリティ対策では、アプリケーションのコードが書かれている段階や、システムにデプロイされる前の段階で脆弱性がないか、設定に誤りがないかといった点を重点的にチェックすることが多かった。しかし、クラウドネイティブ環境では、事前チェックだけでは見逃されてしまうようなリスクや、アプリケーションが動いている最中に発生する予期せぬ挙動、例えば、設定ミスによる意図しない通信、認証情報の不正な利用、あるいは未知の脆弱性を突く攻撃などが起こり得る。
ランタイム可視性は、アプリケーションのプロセスがどのような挙動をしているか、どのネットワークと通信しているか、どのようなデータにアクセスしているかなど、実行中の詳細な振る舞いを継続的に監視する。これにより、たとえ事前に検知できなかった脅威であっても、実際に不正な活動が始まった瞬間にそれを察知し、迅速に対処することが可能になる。例えば、通常とは異なるファイルへのアクセス、異常なネットワーク接続、予期せぬAPI呼び出しなど、アプリケーションの「通常の振る舞い」から逸脱する動きを検知することで、攻撃が進行している可能性を早期に発見できる。
このランタイム可視性は、特に動的で変化の激しいクラウドネイティブ環境において、これまで以上に中心的な役割を果たすことになる。従来の境界型セキュリティ、つまりシステムの入り口を守るだけでは、内部で発生する脅威に対応することは難しい。クラウドネイティブのセキュリティでは、個々のコンテナやサーバーレス関数、APIといった最小単位に至るまで、その実行時の挙動を監視し、継続的にセキュリティの状態を評価し続ける必要がある。ランタイム可視性こそが、拡大し続ける攻撃対象領域と複雑化した環境における、現代のセキュリティ対策の要となる。システムエンジニアを目指す上で、このランタイムにおけるアプリケーションの挙動を深く理解し、それらの監視・分析能力を高めることが、将来のセキュリティを守る上で極めて重要となるだろう。