【ITニュース解説】Conversations That Mattered: My Journey Mentoring a Senior into Leadership
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「Conversations That Mattered: My Journey Mentoring a Senior into Leadership」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
シニア開発者がテックリードやプリンシパルエンジニアを目指すメンタリング体験談。自信構築、チーム内の信頼、組織への影響力、技術力向上、意思決定など、リーダーに不可欠なスキルを磨く過程を紹介する。メンタリングは成長を促し、キャリアパスを拓く重要な機会だ。
ITニュース解説
システムエンジニアを目指す皆さんにとって、キャリアの道のりは時に複雑に感じるかもしれません。技術力を高めることはもちろん重要ですが、それと同じくらい、人間関係やリーダーシップ、自己成長といったスキルも将来の成功には不可欠です。今回は、IT企業におけるメンタリングプログラムの事例を通じて、システムエンジニアとして成長するために必要な多角的な視点を紹介する。
この記事の筆者は、とあるIT企業のエンジニアリングマネージャーとして、社内のメンタリングプログラムに参加した。メンタリングとは、経験豊富な「メンター」が、成長を望む「メンティー」に対して、知識や経験を共有し、個人の成長を支援する取り組みである。筆者はメンターとして、将来的に「テックリード」や「プリンシパルエンジニア」といった技術リーダーの役割を目指すシニアバックエンド開発者のメンティーをサポートすることになった。
メンティーは、次の一歩としてどの道を選ぶべきか明確ではなく、専門的な成長のための指導を求めていた。テックリードやプリンシパルエンジニアは、単に技術的な能力が高いだけでなく、優れたコミュニケーション能力、組織全体への影響力、そして難しい決断を下す自信が求められる職種である。この漠然とした目標が、メンタリングの方向性を決定づけた。
メンタリングは、まずお互いを知ることから始まった。最初の面談では、メンターとメンティーの相性を確認し、達成したい目標と、それぞれがプロセスに貢献できることについて話し合った。結果的に二人は素晴らしい相性だと判明し、週に一度、30分間のセッションを行うことに合意した。
メンティーの具体的な目標は二つあった。一つはテックリードとプリンシパルエンジニアという二つのキャリアパスを深く探求すること。もう一つは、将来これらの役割を担う可能性を見据え、また純粋に信頼を築くことの重要性から、コミュニケーションスキルを向上させ、組織における信頼と影響力を築くことであった。
メンターは、メンティーが読書を通して学ぶことを好むと知り、毎週、関連する資料を共有し、それを元に1対1のセッションで議論する形式を取った。メンティーが資料を読み、内容について深く考える十分な時間を確保できるよう、資料共有は常に適切なタイミングで行われた。
メンタリングの過程で取り組んだ主な成長領域は多岐にわたる。
まず、「自分自身の能力に対する自信の構築」が重要視された。日々の業務の基盤となる自信は、多くのエンジニアが経験する「インポスター症候群」(自分の能力を過小評価してしまう心理)を克服するためにも不可欠である。このテーマはセッション中、何度も繰り返し話し合われた。
次に、「チーム全体での信頼の構築」である。自信は自分一人で完結するものではなく、同僚、マネージャー、他部署のパートナーからの信頼も含まれる。他者との良好な関係がなければ、真の自信を持つことは難しく、個人の影響力も限定される。良い関係を築き、信頼を得るためには、率直な対話を通じて適切な期待値を設定し、個人としてだけでなくチームとして機能することが重要だと議論された。
そして、「組織への影響力とコミュニケーション」へと視野が広がる。自分とチームを信頼できるようになったら、次は組織全体に良い影響を与えることを目指す。これは常にスポットライトを浴びる「ロックスター」になることではない。他のエンジニアの模範となり、インスピレーションを与える貢献者になることを意味する。例えば、シニアエンジニアとしてチーム横断のアーキテクチャレビューを主導したり、再利用可能な社内ライブラリを開発したり、定期的に技術的な勉強会を開催したりするなど、具体的で目に見える行動を通じて、ベストプラクティスを広め、技術的な取り組みと製品への影響を連携させることが、組織全体を成長させることに繋がる。
また、「物事がうまくいかない時のモチベーション維持」も重要なテーマであった。常に100%のモチベーションを保つことは人間として不可能であり、困難な時にこそモチベーションを良い状態に保つための戦略が求められる。小さな成功を祝い、気分をリセットし、大局を見て、自分を責めないことなどが助けになると話し合われた。
「コンフリクト(対立)の対処法」は、メンター自身も多くの学びを得た領域であった。メンティーが直面した対立状況に対する視点を聞くことで、メンター自身のコミュニケーションと意思決定能力が向上したと述べている。対立の際には、コミュニケーションと意思決定が極めて重要であり、両者の意見をよく聞き、それぞれの立場を理解する時間を持ち、状況に対処するための具体的な手法を適用することが勧められた。もしそうした手法を持っていなければ、自分なりの「コンフリクト管理ツールセット」を構築することが、将来的に役立つだろう。
「自己成長と自己認識」のプロセスは、メンタリング全体を通して行われた。自分自身や他者へのフィードバックの与え方、他者からのフィードバックの受け止め方、そしてそれらを実際に行動に移す方法について深く議論した。フィードバックは、上司からだけでなく、日々一緒に働く人々からも得られる貴重な情報であり、それを行動に繋げなければ成長の機会を逃してしまうと強調された。
キャリアパスを考える上で欠かせないのが「エンジニアリングラダー」である。これは、エンジニアがキャリアアップしていく上で求められる具体的な基準や能力を示したフレームワークである。昇進の基準は高位になるほど不明瞭になりがちだが、このラダーを参照することで、開発者、テックリード、エンジニアリングマネージャーといった各役割に求められる技術スキルだけでなく、コミュニケーションや影響力といった多面的な要素が明確になる。これはキャリアパスを構築するための有効なツールの一つである。
もちろん、「技術スキル」の向上も重要である。メンティーはすでに技術力に自信を持っていたが、それでもさらにスキルを磨き、前述の組織への影響力を高める活動を支えるために取り組んだ。具体的には、担当製品の知識、アーキテクチャ、テストアプローチ、システムの耐障害性(レジリエンス)などについて深く掘り下げ、アプリケーションの全体像をレビューし、より強固にするための改善計画を作成した。
最後に、「技術的な意思決定」についても議論された。技術的な解決策が明確な場合でも、「手早く(quick and dirty)」進めるか「完璧に(perfect)」仕上げるかといったトレードオフは、テックリードやプリンシパルエンジニアにとって日常的な現実である。これらの意思決定の多くは実務を通して学ばれるが、困難な状況での会話を円滑に進めるための確固たる戦略を持つことは、その場での意思決定を格段に容易にする。例えば、最初に自分の意見を言うべきか、他の人の意見を先に聞くべきか、あるいは沈黙を利用して貴重なインプットを引き出すべきかなど、具体的なコミュニケーション戦略についても検討された。
メンタリングプロセスの締めくくりとして、メンターとメンティーは最初から最後まで行ったプロセスの自己評価を行った。この評価とメンティーの関心に基づき、いくつかの次のステップが決定された。それは、担当アプリケーションのハイレベルなアーキテクチャを作成しチームと共有すること、自身がメンターとなって影響力とコミュニケーションスキルをさらに高めること、そして特定の技術的弱点を深く掘り下げ、その知識をチームや部署全体で共有することである。
筆者は、このメンタリング関係はまだ終わっておらず、これからも続くと感じている。この経験を通じて、メンター自身も多くのことを学び、理論上は素晴らしいと思えたことが、実際にやってみるといかに難しいかを実感したと述べている。そして、メンティーからのポジティブなフィードバックは、筆者にとって大きな喜びとなり、自身の取り組みが報われたことを意味した。
この記事の筆者は、もし誰かのメンターになることに躊躇している人がいれば、ぜひ挑戦することを強く勧めている。たとえ期待通りの結果が得られなかったとしても、メンタリングは常にメンターとメンティー双方に学びをもたらす。過去にうまくいかなかったメンタリングの経験でさえ、今日でも役立つ重要な教訓を与えてくれたと、筆者は自身の経験から語っている。
この事例は、システムエンジニアとして技術力を磨くだけでなく、人間関係、コミュニケーション、リーダーシップ、自己管理、そして他者への貢献といった幅広いスキルが、キャリアを次の段階に進めるためにいかに重要であるかを示している。皆さんも、日々の業務の中でこれらのスキルを意識し、将来のリーダーシップへと繋がる土台を築いていくことをお勧めする。