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【ITニュース解説】Design Principles of Software Applied: Practical Example in Python

2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「Design Principles of Software Applied: Practical Example in Python」について初心者にもわかりやすく解説しています。

作成日: 更新日:

ITニュース概要

SOLID等の主要な設計原則をPythonの通知サービス開発で適用する具体例を解説。抽象化や責務分離により、拡張・テストしやすく、保守性の高いコードを書く方法を学べる。

ITニュース解説

システムエンジニアを目指す初心者にとって、ただプログラムを書くだけでなく、良いソフトウェアを設計する考え方を学ぶことは非常に重要だ。この解説では、ソフトウェアの設計原則がなぜ大切なのか、そしてPythonの具体的な例を通してそれらをどう適用するのかを説明する。これらの原則を理解することは、将来、保守しやすく、拡張性があり、信頼性の高いシステムを開発するための土台となる。

今日のソフトウェア開発では、ユーザーへの通知をメールやSMSなど様々な方法で行うことが一般的だ。もしこれらの通知機能を一つにまとめて実装しようとすると、複数のチャネルが増えるたびにコードが複雑になり、新しいチャネルを追加するたびに既存のコードを大きく変更する必要が出てくるかもしれない。また、実際にメールを送ったりSMSを送信したりする部分は、テスト時に毎回外部サービスと通信することになるため、テストが遅くなったり不安定になったりする問題も考えられる。これらの課題を解決し、拡張しやすく、テストしやすい通知システムを構築することが求められる。

このような課題を解決するために、いくつかの重要な設計原則が役立つ。

SOLID原則は、オブジェクト指向プログラミングにおける設計指針の頭文字を取ったもので、特に大規模なシステム開発でコードの保守性、拡張性、理解しやすさを高めるために重要だ。

SRP(単一責任の原則): これは「一つのクラスは一つの責任だけを持つべきだ」という考え方だ。例えば、メール送信のロジックとSMS送信のロジックを同じクラスに含めると、メールの仕様変更がSMSのロジックに影響を与えたり、その逆が起こったりする可能性がある。それぞれの責任を独立したクラスに分けることで、コードの変更による影響範囲を限定し、理解しやすくする。これにより、一つのクラスが変更される理由が一つだけになる。

DIP(依存性逆転の原則): これは「具体的な実装ではなく、抽象的な定義に依存すべきだ」という原則だ。例えば、ある機能がメール送信という具体的な手段に直接依存していると、後でプッシュ通知に変更したい場合に、その機能自体を大きく修正する必要が生じる。DIPでは、上位のモジュール(通知をまとめるサービスなど)も下位のモジュール(メール送信、SMS送信など)も、両方ともNotifierのような抽象的な「契約」に依存する。これにより、具体的な実装が変更されても、上位モジュールはその影響を受けにくくなる。この原則は、システム全体の結合度を低く保ち、柔軟性を高める。テスト時には、本物の実装の代わりにテスト用の「モック」や「スタブ」を容易に差し込めるようになるため、テストが格段に簡単になる。

OCP(開放/閉鎖の原則): 「ソフトウェアのエンティティは、拡張に対しては開かれており、修正に対しては閉じているべきである」という考え方だ。つまり、新しい機能を追加する際に、既存の安定したコードを修正することなく、新しいコードを追加するだけで対応できるように設計する。Notifierのような抽象化を利用することで、この原則を実現できる。

LSP(リスコフの置換原則)とISP(インターフェース分離の原則): これらは、抽象クラスやインターフェースを扱う際の具体的な指針だ。LSPは、親クラスのオブジェクトを子クラスのオブジェクトで置き換えても、プログラムの正しさが損なわれないことを保証する。ISPは、クライアントが必要としないインターフェースに依存するべきではない、つまり大きすぎるインターフェースを避け、小さなインターフェースに分割することで不要な依存を避けるというものだ。これらは、Notifierがシンプルなsendメソッドだけを持つことで自然に適用されている。

DRY(Don't Repeat Yourself - 繰り返しを避ける): 同じロジックやデータを複数の場所に書くことを避ける原則だ。重複するコードは、修正時にすべての箇所を更新する必要があるため、バグの原因になりやすい。共通の機能を関数やクラスとしてまとめることで、保守性を高める。

KISS(Keep It Simple, Stupid - シンプルに保て): 複雑な設計や実装を避け、常に最もシンプルで直接的な解決策を追求する原則だ。シンプルであるほど、コードは理解しやすく、保守しやすく、バグも入りにくい。

YAGNI(You Aren't Gonna Need It - 多分それ必要ないよ): 現時点で必要とされていない機能や複雑な抽象化は、実装すべきではないという原則だ。将来の必要性を予測して多すぎる機能を先回りして実装すると、不必要な複雑さや余分な作業を生み出す可能性がある。まずは現在の要件を満たす最小限の機能から始めることが重要だ。

これらの原則を具体的なPythonコードで見てみよう。

まず、Notifierという抽象クラスが定義されている。これは、どんな通知方法であっても「メッセージを送信する」という共通の契約を定めている。sendという抽象メソッドを持つことで、このクラスを継承するすべてのクラスは必ずsendメソッドを実装しなければならない。これは、NotificationServiceが様々な通知手段を統一的に扱えるようにするための基盤となる。

次に、具体的な通知手段であるEmailNotifierSMSNotifierクラスがある。これらはNotifier抽象クラスを継承し、それぞれメール送信とSMS送信の責任だけを負う。これはSRPの適用例だ。各Notifierは、コンストラクタで実際の送信ロジックを持つ外部クライアント(smtp_clientsms_client)を受け取る。これにより、実際の外部サービスとの通信に関する詳細がクラス内にカプセル化される。

NotificationServiceクラスは、通知のオーケストレーション(複数の通知処理をまとめる)を担当する。このクラスは具体的なEmailNotifierSMSNotifierに直接依存するのではなく、Notifierという抽象クラスのリストを受け取るように設計されている。これがDIPの適用例だ。NotificationServiceは、受け取ったNotifierオブジェクトのsendメソッドを呼び出すだけで、具体的な通知手段がメールなのかSMSなのかを知る必要がない。この設計により、将来プッシュ通知やWebhookなどの新しい通知チャネルを追加したい場合でも、NotificationServiceのコードを一切変更することなく、新しいNotifierの実装を追加して、それをNotificationServiceに渡すだけで対応できる。これはOCPの原則にも従っている。

テストの容易性もこの設計の大きな利点だ。EmailNotifierSMSNotifierが依存する外部クライアント(SMTPサーバーやSMSプロバイダ)は、テスト時にはMockSMTPClientMockSMSClientのようなダミーのオブジェクトに置き換えることができる。これらのモックオブジェクトは、実際に外部サービスに接続する代わりに、単にメッセージをコンソールに出力したり、送信フラグを立てたりするだけのシンプルな動作をする。これにより、ネットワークの遅延や外部サービスの利用料金を気にすることなく、高速かつ安定した単体テストを実行できる。

提供されているテストコードは、この設計がテストしやすいことを示している。DummyNotifierというシンプルなテスト専用クラスを作成し、NotificationServiceに渡している。これにより、NotificationServiceが正しくNotifiersendメソッドを呼び出しているか、そしてその結果を正しく処理しているかだけを検証できる。実際の外部システムとの連携テストは別途行うにしても、コアなロジックのテストは、このように依存性を分離し、モックを用いることで非常に効率的に行える。これは、ソフトウェアの品質と信頼性を保つ上で極めて重要だ。

このPythonの通知サービスの例は、SRP、DIP、OCP、DRY、KISS、YAGNIといった主要なソフトウェア設計原則をどのように実世界の問題に応用できるかを示している。抽象化と依存性の注入を適切に利用することで、コードは特定の技術や実装に強く結合することなく、柔軟で拡張しやすくなる。また、各クラスが明確な単一の責任を持つことで、コードは理解しやすく、変更による影響が予測しやすくなる。シンプルさを保ち、必要なものだけを実装するという考え方は、不必要な複雑さを避け、開発効率を高める。システムエンジニアを目指す上では、このような「どのようにコードを書くか」だけでなく、「どのように良いコードを設計するか」という視点が、長期的に見て大きな価値をもたらすだろう。これらの原則を学び、実践することで、より堅牢で保守しやすいソフトウェアを構築する能力を身につけられる。

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