【ITニュース解説】h2c (HTTP/2 平文) で通信してみた 【その2 〜 Webサーバ(Nginx/Apache/Caddy)編】
2025年09月16日に「Qiita」が公開したITニュース「h2c (HTTP/2 平文) で通信してみた 【その2 〜 Webサーバ(Nginx/Apache/Caddy)編】」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
暗号化されていないHTTP/2通信「h2c」を、Nginx、Apache、Caddyといった主要Webサーバで検証。これらのサーバでh2cがどのように機能するか、具体的な通信方法を解説した。
ITニュース解説
このニュース記事は、ウェブ通信の次世代標準であるHTTP/2の「平文通信」、つまり暗号化されていない状態でHTTP/2を利用する「h2c」という技術に焦点を当て、主要なウェブサーバであるNginx、Apache HTTP Server、そしてCaddyがこのh2cをどのようにサポートし、実際に通信が行えるかを検証した内容を解説している。システムエンジニアを目指す初心者にとって、ウェブ通信の仕組みとサーバの役割は基本的な知識であり、特にh2cは、システム内部の効率化やパフォーマンス向上において理解すべき重要な概念の一つだ。
まず、HTTP/2について説明する。現在、ウェブサイトにアクセスする際に、ブラウザとサーバ間で情報をやり取りするための基本的なルールがHTTP(Hypertext Transfer Protocol)である。HTTP/2は、このHTTPの最新バージョンの一つで、これまでのHTTP/1.1に比べて、一度に複数のデータを並行して送受信できる「多重化」や、不要なデータを削減する「ヘッダ圧縮」といった機能が追加されている。これにより、ウェブページの表示速度が格段に向上し、より快適なウェブ体験が実現される。通常、HTTP/2はセキュリティを確保するため、TLS/SSLという暗号化技術と組み合わせて「HTTPS」として利用されることがほとんどだ。
しかし、今回の記事の主題である「h2c」は、このHTTP/2をあえて暗号化せずに、平文の状態で利用する特殊な通信方式を指す。なぜ暗号化しないのかというと、h2cが利用される主なシナリオは、外部から直接アクセスされるインターネット上ではなく、社内ネットワークやデータセンター内のシステム間など、すでに信頼性が確保されている閉じられたネットワーク環境に限られる。このような環境では、通信の暗号化・復号化にかかる処理コストがオーバーヘッドとなる場合があるため、h2cを使うことで、HTTP/2が持つ高速性や効率性のメリットを享受しつつ、暗号化のオーバーヘッドを避けることができ、システム全体のパフォーマンスを最適化できるのだ。
記事では、このh2cをNginx、Apache、Caddyという三つの代表的なウェブサーバで検証している。これらのウェブサーバは、単にウェブコンテンツを配信するだけでなく、「リバースプロキシ」という非常に重要な役割を担うことが多い。リバースプロキシとは、クライアント(利用者のブラウザなど)からのリクエストを一度受け取り、そのリクエストをさらに別のサーバ(これを「オリジンサーバ」と呼ぶ)に転送し、オリジンサーバからの応答をクライアントに返す仲介役のサーバのことだ。リバースプロキシは、負荷分散による安定稼働、セキュリティの強化、コンテンツのキャッシュ、そして今回のように異なるプロトコルの変換といった多様な目的で利用される。
記事が特に注目しているのは、リバースプロキシとして機能するウェブサーバが、「下流」と「上流」のそれぞれでh2cをどのように扱うか、という点である。ここでいう「下流」とはクライアントとリバースプロキシ間の通信、「上流」とはリバースプロキシとオリジンサーバ間の通信を指す。例えば、クライアントからは通常のHTTPS(HTTP/2 over TLS)で安全にリクエストを受け取り、リバースプロキシがその暗号化を終端し、オリジンサーバへはh2c(HTTP/2平文)で効率的に通信を転送するといった使い方だ。これにより、外部との通信は安全に保ちつつ、内部ネットワークでの通信は高速化できるというメリットがある。このように、異なるプロトコルを変換して通信を仲介する能力は、リバースプロキシの大きな利点の一つである。
NginxとApacheは、長年にわたり多くのウェブサイトで利用されてきた実績のあるサーバだが、それぞれh2cをリバースプロキシとして利用するための設定方法や対応状況が異なる。記事では、これらのサーバでh2cを有効にするための具体的な設定や、プロトコル変換を行う際の設定、そして発生しうる問題点とその解決策を探っている。一般的に、Nginxでは特定のモジュールを有効にし、設定ファイル内でプロトコルを指定する必要がある。Apacheも同様に、モジュールやディレクティブの適切な設定が求められるだろう。これらのサーバは柔軟性が高い反面、設定が複雑になりがちだ。
一方、Caddyは比較的新しいウェブサーバで、自動でHTTPSを設定するなど、よりシンプルでモダンな設計が特徴だ。Caddyは、その設計思想から、h2cのような新しいプロトコルへの対応も比較的容易であると期待される。記事では、Caddyがリバースプロキシとして、下流または上流でh2cをどのように扱うか、その設定の簡潔さや挙動についても検証していると考えられる。Caddyの場合、シンプルな設定でh2cが利用できる可能性が高く、複雑な設定に手間をかけたくない開発者にとって魅力的な選択肢となるだろう。
これらの検証を通じて得られる知見は、システムエンジニアがウェブシステムを設計・構築する際に非常に役立つ。特に、マイクロサービスアーキテクチャやコンテナ環境など、内部ネットワークでのサービス間通信が頻繁に行われる現代のシステムでは、h2cのような高速かつ軽量な通信プロトコルを適切に利用することで、システム全体のパフォーマンスと応答性を大きく向上させることが可能となる。
ただし、h2cは平文通信であるため、利用する際には常にセキュリティ上の注意が必要だ。前述のとおり、インターネットのような信頼できないネットワーク上でh2cを直接利用することは絶対に避けるべきだ。h2cは、信頼できる内部ネットワークの範囲に限定して使用し、外部との通信は必ずHTTPSで暗号化するという原則を厳守することが非常に重要となる。
この記事の検証は、Nginx、Apache、Caddyという主要なウェブサーバがh2cをどのようにサポートし、リバースプロキシとして機能するかを具体的に示すことで、システムエンジニアがそれぞれのサーバの特性を理解し、自身のシステム要件に最適な選択をするための貴重な情報を提供している。ウェブ通信の基礎を学び、より効率的でセキュアなシステムを構築するための実践的な知識として、h2cの理解は極めて重要である。