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【ITニュース解説】We Put Java, Go, Rust, and Zig in a Race. The Results Weren’t Pretty.

2025年09月13日に「Medium」が公開したITニュース「We Put Java, Go, Rust, and Zig in a Race. The Results Weren’t Pretty.」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Java、Go、Rust、Zigの4つのプログラミング言語の実行速度を比較した。結果は単純な優劣では語れない複雑なものであり、開発者の予想を覆す可能性を示唆した。

ITニュース解説

この記事では、Java、Go、Rust、そしてZigという四つの異なるプログラミング言語を比較し、それぞれの性能を詳細に検証した興味深い実験について解説する。システム開発においてプログラミング言語の選択はシステムのパフォーマンスや開発効率に大きく影響するため、システムエンジニアを目指す上で、各言語の特性を理解することは非常に重要である。

この実験の主な目的は、Webアプリケーションで広く使われるHTTPサーバーとしての性能を評価することだった。具体的には、それぞれの言語で同じ機能を持つシンプルなHTTPサーバーを実装し、大量のHTTPリクエストを処理させた際の「スループット」(単位時間あたりに処理できるリクエストの数)と「メモリ使用量」(プログラムが動作するために消費するコンピュータの記憶領域)を測定した。テストは高性能なM1 MacBook Proという環境で行われ、各言語が実際の環境でどの程度の能力を発揮するのかを客観的に比較しようとしたのである。

まず、比較対象となった四つの言語の基本的な特徴について簡単に触れておく。Javaは、長年にわたりエンタープライズシステムなどで広く利用されている言語だ。JVM(Java Virtual Machine)という仮想マシン上で動作するため、一度書いたコードが異なるOS環境でも動作するという高い移植性を持つ。メモリ管理にはガベージコレクション(GC)が採用されており、開発者が直接メモリを解放する手間を省ける一方で、GCが動作する際に一時的な処理の遅延や余分なメモリ消費が発生することもある。

次にGoは、Googleが開発した言語で、高速なコンパイル時間とシンプルな文法が特徴だ。複数の処理を同時に効率よく実行する「並行処理」の機能が強力で、特にWebサービスやネットワークプログラミングの分野で急速に普及している。GoもJavaと同様にガベージコレクションを利用しており、開発のしやすさを重視した設計である。

Rustは、近年特に注目されている言語の一つで、プログラムの「安全性」と「パフォーマンス」の両立を強く意識して設計されている。コンパイル時にメモリの安全性を厳しくチェックすることで、実行時に起こりうるメモリ関連のエラーやセキュリティ上の脆弱性を未然に防ぐ。ガベージコレクションを持たないため、開発者がメモリを直接的かつ効率的に管理でき、非常に高速な動作が可能だ。システムプログラミングや組み込み開発など、極限まで性能を追求する分野で活用されている。

最後にZigは、C言語に近い低レベルの制御能力を持ちながら、よりモダンな構文と開発ツールを提供する新しい言語である。Rustと同様にガベージコレクションがなく、開発者がメモリを細かく制御できるため、非常に高いパフォーマンスを発揮する。まだ発展途上の言語ではあるが、その性能と柔軟性から将来性が期待されている。

実験の結果は、それぞれの言語の特性を明確に示していた。スループットとメモリ使用量の両方で、Rustが最も優れた性能を発揮したのである。Rustで実装されたHTTPサーバーは、他のどの言語よりも多くのリクエストを短時間で処理し、かつ最も少ないメモリで動作した。これは、Rustが提供するゼロコスト抽象化(開発者が高レベルなコードを書いても、実行時のオーバーヘッドがほとんど発生しない設計)と、ガベージコレクションなしで効率的なメモリ管理を可能にする仕組みが大きく寄与していると考えられる。

ZigもRustに非常に近い高性能を示した。スループットではRustとほぼ同等であり、メモリ使用量に至ってはRustよりもわずかに少ないという結果だった。これはZigがC言語に近い低レベル制御能力を持ち、コンパイル時に徹底的な最適化が可能である点、そしてガベージコレクションを持たない設計が、そのまま高いパフォーマンスに直結していることを示している。

Goは、RustとZigには及ばないものの、比較的良好な性能を示した。スループットはJavaよりも高く、メモリ使用量もJavaよりはるかに少ない結果だった。Goの軽量な並行処理機能であるGoroutineと、効率的なネットワーク処理能力が、Webサーバーとしての優れた性能に貢献していることがわかる。開発のしやすさと実行速度のバランスが良いため、多くのWebサービスやスタートアップ企業で採用されている理由がここにあると言える。

一方で、JavaはスループットでGoに近い値を示したものの、メモリ使用量においては他の三つの言語と比べて圧倒的に多く、大きな差がついた。これは、Javaが動作するために必要なJVM自体が多くのメモリを消費すること、そしてガベージコレクションがメモリを解放する際に一定のオーバーヘッドを持つことが主な理由だ。Javaの堅牢性や豊富なライブラリは魅力的だが、限られたリソース環境や、極限までメモリを節約したいアプリケーションにはあまり適さない可能性を示唆している。

この実験から得られる最も重要な結論は、プログラミング言語にはそれぞれ得意な領域があり、万能な言語は存在しないということだ。最高の性能やリソース効率を追求するならば、RustやZigが非常に有力な選択肢となるだろう。これらの言語は、システムプログラミング、組み込みシステム、あるいはゲーム開発など、ハードウェアに近いレベルでリソースを最大限に活用したい場合に特に強みを発揮する。

一方、開発速度や並行処理の容易さを重視しつつ、ある程度の性能も確保したいWebサービス開発などではGoが優れた選択肢となる。Javaは、その堅牢性、成熟したエコシステム、そして安定性から、エンタープライズシステムや大規模なバックエンド開発で依然として広く利用されている。メモリ使用量が多いという課題はあるものの、現代のサーバー環境では多くのメモリが利用可能であるため、開発の生産性やシステムの安定性を優先する場面では依然として強力な選択肢となるだろう。

システムエンジニアとして、それぞれの言語が持つ技術的な特徴や、それが実際のアプリケーションの性能にどのように影響するかを理解することは非常に重要である。この実験結果は、単に「どの言語が速いか」というシンプルな問いへの答えだけではなく、それぞれの言語設計の哲学、実行環境の特性、そしてそれが開発するシステムに与える影響について深く考えるきっかけとなる。将来、自分がどのようなシステムを構築したいのか、どのような制約があるのかを考慮し、最適なプログラミング言語を選択する能力を磨くことが求められる。

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