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【ITニュース解説】NATゲートウェイとVPCエンドポイントのコストによる使い分けに関する備忘録

2025年09月19日に「Qiita」が公開したITニュース「NATゲートウェイとVPCエンドポイントのコストによる使い分けに関する備忘録」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

クラウド環境でコストを抑えるには、ネットワークの使い分けが重要だ。既存のNATゲートウェイがある場合、データ転送量が多い通信にはコストの安いVPCエンドポイントを使い、少ない通信はNATゲートウェイに集約すると、効率的に利用料金を最適化できる。

ITニュース解説

クラウドコンピューティングの世界では、仮想的なネットワーク環境を構築することが日常的に行われる。特にAmazon Web Services (AWS) のようなパブリッククラウドを利用する際、そのネットワーク構成はセキュリティとコストに直結する重要な要素となる。システムエンジニアを目指す上では、こうしたネットワークサービスとその料金体系を理解することは必須だ。この記事では、NATゲートウェイとVPCエンドポイントという二つの重要なネットワークサービスについて、その機能と、コストを意識した賢い使い分け方を解説する。

まず、AWSのネットワークの基本単位である「VPC(Virtual Private Cloud)」について簡単に触れておく。VPCは、AWSクラウド内に自分専用の隔離された仮想ネットワーク空間を作成できるサービスである。このVPCの中に、さらに「サブネット」と呼ばれる小区分を作り、サーバーなどのリソースを配置する。サブネットには、インターネットから直接アクセスできる「パブリックサブネット」と、直接アクセスできない「プライベートサブネット」がある。セキュリティの観点から、データベースサーバーやアプリケーションサーバーなど、重要なリソースは通常プライベートサブネットに配置される。

ここで問題となるのが、プライベートサブネット内のリソースがインターネットに接続する必要がある場合だ。例えば、OSのアップデートファイルをダウンロードしたり、外部のWeb APIを利用したりする場合、インターネットへの経路が必要になる。しかし、プライベートサブネットからは直接インターネットに出ることができない。この問題を解決するのが「NATゲートウェイ」である。NATゲートウェイは、プライベートサブネット内のリソースがインターネットへ出ていく際の「出口」の役割を果たす。プライベートIPアドレスをパブリックIPアドレスに変換(NAT: Network Address Translation)することで、インターネット上のサービスと通信できるようにする。しかし、NATゲートウェイの利用にはコストがかかる。具体的には、NATゲートウェイ自体を実行するための時間料金と、NATゲートウェイを通過するデータの処理量に応じた料金が発生する。特に、NATゲートウェイを通過するデータ量が増えれば増えるほど、そのコストは上昇する傾向にある。

一方、「VPCエンドポイント」は、AWSの特定のサービス(例えば、オブジェクトストレージサービスのAmazon S3や、ログ収集サービスのAmazon CloudWatch Logsなど)に、インターネットを経由せずにプライベートに接続するためのサービスである。VPCエンドポイントを利用すると、VPC内からAWSサービスへ直接、かつセキュアにアクセスできるようになる。この接続は、VPCの内部ネットワークを通じて行われるため、インターネットへのデータ転送は発生しない。VPCエンドポイントにも時間料金とデータ処理量に応じた料金が発生するが、インターネットゲートウェイやNATゲートウェイを介したデータ転送コストが原則としてかからない点が大きな特徴である。これにより、大量のデータをAWSサービス間でやり取りする際のデータ転送コストを大幅に削減できる可能性がある。

ここで提示されているコスト最適化の考え方は、NATゲートウェイを作成する要件がすでに存在する場合、という前提に基づいている。つまり、何らかの理由でプライベートサブネットからインターネットに接続する必要があり、すでにNATゲートウェイを設置している状態を想定する。この状況で、プライベートサブネット内のリソースが、AWSの他のサービスにアクセスする際の経路をどのように選択すれば、全体として最もコストを抑えられるかを考える。

一つのパターンは、「ログなどの転送量の多い経路」である。例えば、アプリケーションのログをAmazon S3に保存したり、メトリクスデータをAmazon CloudWatchに送信したりする場合、これらのデータは非常に大量になることがある。このような「VPC内のリソースから、AWSの他のサービスへの大量のデータ転送」をNATゲートウェイ経由で行うと、NATゲートウェイのデータ処理量料金が非常に高額になってしまう。そこで、このような転送量の多い経路には「VPCエンドポイント」をそれぞれ作成することが推奨される。VPCエンドポイントを経由すれば、データはVPC内部のネットワークを流れるため、NATゲートウェイのデータ処理量料金は発生せず、大幅なコスト削減につながる。VPCエンドポイント自体の料金は発生するが、大量のデータ転送におけるコストメリットの方がはるかに大きい場合が多い。

もう一つのパターンは、「転送量の少ない経路」である。例えば、月に数回程度の小規模な外部API呼び出しや、ごく少量の設定ファイルのダウンロードなど、一時的かつデータ量が少ないインターネット接続を指す。このようなわずかなデータ転送のために、個別にVPCエンドポイントを設定することは、VPCエンドポイント自体の時間料金を考えると、かえってコストが高くなる可能性がある。VPCエンドポイントは特定のAWSサービスへの接続に特化しているため、インターネット上のあらゆるサービスに接続できるわけではない。インターネットへの接続はやはりNATゲートウェイが必要となる。そのため、転送量がごく少ないインターネットへの接続については、すでに設置されているNATゲートウェイを共用する方が、追加でVPCエンドポイントを設置するよりも総コストを抑えられる場合がある。

結論として、システムエンジニアがクラウド環境のネットワークを設計する際には、トラフィックの性質(インターネット向けか、AWSサービス向けか)とデータ量(多いか、少ないか)を正確に把握することが極めて重要になる。インターネットへの接続が必須でNATゲートウェイが存在する環境では、AWSサービスへの大量のデータ転送にはVPCエンドポイントを使い、それ以外の少量で一般的なインターネットへの接続には既存のNATゲートウェイを利用するという戦略が、コスト最適化の鍵となる。これは、セキュリティと利便性を保ちつつ、無駄なコストを削減するための賢い設計判断と言える。

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