【ITニュース解説】New emojis will include Bigfoot, orca whale, treasure chest, and more

2025年09月10日に「TechCrunch」が公開したITニュース「New emojis will include Bigfoot, orca whale, treasure chest, and more」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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ITニュース概要

文字コードの国際標準を定めるユニコードコンソーシアムが、新たな絵文字を承認した。ビッグフットやシャチ、宝箱などが追加され、来年以降スマートフォンやPCで利用可能となる見込みだ。

ITニュース解説

スマートフォンやSNSで日常的に使われる絵文字に、ビッグフットやシャチ、宝箱といった新しいデザインが追加されることが発表された。このニュースは、単に新しい絵文字が増えるというだけでなく、システムエンジニアを目指す上で知っておくべき重要な技術的背景を含んでいる。普段何気なく使っている絵文字が、どのような仕組みで表示され、どのようにして世界共通で利用可能になるのかを、その根幹にある「文字コード」という概念から解説する。

私たちがメッセージアプリなどで送信する絵文字は、実は単なる画像データではない。これらはテキストメッセージに含まれる「文字」の一種として扱われている。コンピュータは、人間が認識する文字や記号を直接理解するのではなく、それぞれに割り当てられた数値に変換して処理している。この「文字と数値の対応表」のことを「文字コード」と呼ぶ。かつては、日本語にはShift_JIS、欧米ではASCIIなど、言語や地域ごとに異なる文字コードが存在し、異なる環境間でデータをやり取りすると文字が正しく表示されない「文字化け」が頻繁に発生していた。この問題を解決するために登場したのが「Unicode(ユニコード)」という国際的な標準規格である。Unicodeは、世界中のあらゆる文字や記号に、重複しない一意の番号、すなわち「コードポイント」を割り当てることを目的としている。これにより、どの国のコンピュータでも、同じコードポイントであれば同じ文字として認識できるようになり、文字化けの問題は劇的に減少した。

絵文字も、このUnicodeの仕組みの上で成り立っている。「笑顔」の絵文字には「U+1F600」、「猫の顔」の絵文字には「U+1F431」といったように、一つ一つの絵文字に固有のコードポイントが割り当てられている。ユーザーが絵文字を入力すると、デバイスはその絵文字に対応するコードポイントをデータとして送信する。受信側のデバイスは、そのコードポイントを受け取ると、自身のシステムに内蔵されているフォントの中から対応する絵文字の画像を探し出して画面に表示する。この仕組みがあるからこそ、異なるスマートフォンやPCの間でも、意図した通りの絵文字を送り合うことができる。しかし、ここで注意すべき点がある。Unicodeが定めているのは「このコードポイントはこの意味の絵文字である」という定義までであり、具体的なデザインは規定していない。そのため、同じ「U+1F600」のコードポイントであっても、Apple社のiOSで表示される笑顔と、Google社のAndroidで表示される笑顔のデザインは異なる。これは、各プラットフォームのベンダーが、Unicodeの仕様に準拠しつつ、自社のブランドイメージに合わせた独自の絵文字フォントをデザインして搭載しているためである。

今回のニュースで報じられている新しい絵文字の追加は、このUnicodeの規格が更新されることを意味する。新しい絵文字は、誰かが勝手に作って追加できるわけではない。「ユニコードコンソーシアム(Unicode Consortium)」という非営利団体が、その採否を決定している。世界中の個人や団体から新しい絵文字の提案を受け付け、その絵文字が世界的に広く使われる可能性があるか、既存の絵文字と重複しないか、文化的に適切かといった複数の基準に基づいて厳格な審査が行われる。審査を通過した候補だけが、新しいバージョンのUnicode標準に正式に採用される。ビッグフットやシャチといった絵文字も、このようなプロセスを経て、次のUnicodeのバージョンに含まれることが決定した候補である。

ユニコードコンソーシアムによって新しい絵文字が承認されても、すぐに私たちが使えるようになるわけではない。まず、Unicodeの新しいバージョンが正式にリリースされるのを待つ必要がある。その後、Apple、Google、MicrosoftといったOSやプラットフォームを開発する企業が、その新しいUnicodeの仕様に対応するための開発を行う。具体的には、新しく追加されたコードポイントに対応する絵文字のデザインを自社で作成し、それをフォントファイルに組み込み、OSのアップデートとして提供する。ユーザーがそのOSアップデートを自身のスマートフォンやPCに適用して初めて、新しい絵文字を入力したり、正しく表示したりできるようになる。ニュース記事で「来年に利用可能になる」といった表現が使われるのは、Unicode標準の策定から、各社の開発、そしてユーザーへの提供までに一定の時間が必要となるためである。

この一連の仕組みは、システムエンジニアにとって非常に重要である。Webアプリケーションやモバイルアプリを開発する際、ユーザーが入力するテキストデータには絵文字が含まれることを想定しなければならない。特にデータベースの設計においては、絵文字を正しく保存できる文字コード設定を選択することが不可欠である。例えば、MySQLというデータベースでは、古くから使われている「utf8」という文字コード設定では一部の絵文字が保存できず、より広い範囲のUnicode文字を扱える「utf8mb4」を使用する必要がある。このような知識がなければ、ユーザーが絵文字を入力した際にデータが欠損したり、システムエラーが発生したりする原因となる。絵文字が単なる画像ではなく、Unicodeという文字コード体系の一部であることを理解しておくことは、国際的に通用する堅牢なシステムを構築するための基礎知識となる。今回のニュースは、日常的な話題の裏にある、グローバルな情報技術の標準化と、その上で動くソフトウェア開発の現実を学ぶ良い機会と言えるだろう。

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