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【ITニュース解説】Performance-focused forks of styled-components

2025年09月12日に「Hacker News」が公開したITニュース「Performance-focused forks of styled-components」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

Webデザインを効率化する「styled-components」という技術がある。開発者はこの技術の動作速度に課題を感じ、最終手段として元のコードを分割・改造し、性能重視の派生版を生み出した。Webサイトをより速く快適に表示させるための工夫だ。

ITニュース解説

ウェブサイトの見た目を美しく、そして機能的にするために、私たちシステムエンジニアは様々な技術を使っている。その中でも、ページの見た目(デザイン)を定義する「CSS」と、ページの動きや機能を制御する「JavaScript」は非常に重要な役割を担っている。これら二つの技術を組み合わせることで、ユーザーにとって魅力的で使いやすいウェブサイトが作られるのだ。

しかし、これらの技術をどう組み合わせるかは、開発の歴史の中で常に進化を続けている。特に、JavaScriptを多用するモダンなウェブ開発では、「コンポーネント指向」という考え方が主流になっている。これは、ウェブサイトをボタンやメニュー、カードなどの小さな部品(コンポーネント)に分けて開発するアプローチだ。このコンポーネントごとに見た目も機能も管理できれば、開発効率が大きく向上する。そこで登場したのが、「CSS-in-JS」と呼ばれる技術だ。これは、JavaScriptのコードの中に直接CSSのスタイルを記述できるようにするもので、その代表的なライブラリの一つが「styled-components」だ。

styled-componentsは、コンポーネントごとにスタイルを定義できるため、従来のCSSが抱えていた「スタイルが意図せず他の部分に影響を与えてしまう(グローバル汚染)」という問題を解決し、開発者がスタイルをより直感的に、かつ安全に管理できるようになるという大きなメリットがあった。ReactのようなJavaScriptフレームワークと組み合わせることで、ウェブサイトの見た目と機能を一体的に管理できるようになり、多くの開発者に支持され、広く使われるようになった。

しかし、どんなに便利な技術にも、その特性上、特定の状況で課題が生じる可能性がある。styled-componentsも例外ではなかった。styled-componentsは、ウェブページがブラウザで表示される際に、JavaScriptのコードを実行して、必要なCSSスタイルをその場で生成し、HTMLに適用する仕組みを持っている。この「動的にスタイルを生成する」という処理は非常に柔軟で強力だが、ウェブサイトが非常に大規模になったり、多数の多様なデザイン要素を頻繁に更新したりする場合、この動的な生成処理がブラウザに大きな負担をかけることがあった。具体的には、ページの読み込み速度が遅くなったり、ユーザーがウェブサイトを操作する際の反応が鈍くなったりといった、いわゆる「パフォーマンスの低下」という問題が生じやすくなったのだ。特に、開発中に何度もスタイルを更新しては確認するような場合、その都度スタイル生成のコストがかかるため、開発体験自体も損なわれることがあった。

このようなパフォーマンスの問題は、特に大規模なサービスを提供している企業にとって致命的となる可能性がある。なぜなら、ユーザーは速くて快適なウェブサイトを求め、少しでも表示が遅いとサイトから離れてしまう傾向があるからだ。ウェブサイトの速度は、そのままユーザー体験やビジネスの成果に直結するため、開発チームはstyled-componentsのパフォーマンス課題に対して真剣に向き合う必要があった。

開発チームは、styled-componentsの持つこれらのパフォーマンス課題に対し、最初はライブラリの提供元に改善提案を送ったり、styled-componentsの設定を工夫したり、コードの書き方を見直したりといった一般的なアプローチを試みたはずだ。しかし、それらの方法では根本的な解決には至らず、最終的に「フォーク」という手段を取ることを決断した。

「フォーク」とは、オープンソースソフトウェアの世界で用いられる言葉で、既存のソフトウェアのソースコードをコピーし、それを元に自分たちで独立した新しいソフトウェア開発を進めることを指す。これは、元のライブラリの更新やバグ修正の恩恵を直接受けられなくなること、そして自分たちでその維持管理の責任を負うことになるという大きなデメリットを伴うため、通常は開発者が最も避けたい選択肢の一つだ。それでもこの手段を選んだということは、それだけ元のstyled-componentsでは解決できない深刻なパフォーマンス問題に直面しており、自分たちのサービスにとって不可欠な改善のために、もはや元のライブラリに頼るだけでは限界があるという切迫した状況であったことを示している。

さらに開発チームは、ライブラリを「分解する」、つまりstyled-componentsの機能の中から、自分たちに必要な部分だけを切り出し、不要な機能を排除することで、より軽量で高速なシステムを目指したと考えられる。これは、まるで複雑な機械の中から、特定の部品だけを取り出して最適化するような作業であり、自分たちの目的に特化した形でカスタマイズするアプローチだ。

こうした「フォーク」や「分解」という選択の背景には、styled-componentsがウェブページが表示される際にスタイルを「動的に生成する」という仕組み自体に起因する負荷があった。この問題に対処するため、開発チームは、スタイルを動的に生成するのではなく、ウェブサイトを公開する前にあらかじめ静的なCSSファイルとして生成しておく、いわゆる「ビルド時生成」や「静的抽出」といったアプローチを検討したと考えられる。これにより、ウェブページが表示される際のJavaScriptによる処理負荷を大幅に減らし、高速化を図れるというわけだ。

このニュースは、システムエンジニアを目指す私たちにとって、単に便利なツールを使うだけでなく、そのツールの内部的な仕組みやパフォーマンス特性を深く理解することの重要性を示している。どんなに優れたライブラリでも、特定の状況下では課題が生じる可能性があり、その際には、既存のライブラリの改善に協力したり、場合によっては自ら深く介入して根本的な解決策を模索する能力が求められるのだ。パフォーマンスはウェブサイトの成功に直結する非常に重要な要素であり、常に意識すべき私たちの使命の一つである。

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