【ITニュース解説】🎯 The Heart of a Proxmox Cluster: Understanding Corosync for a Stable Homelab
2025年09月16日に「Dev.to」が公開したITニュース「🎯 The Heart of a Proxmox Cluster: Understanding Corosync for a Stable Homelab」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Proxmoxクラスタの安定稼働にはCorosyncが不可欠だ。Corosyncはノード間の協調を管理し、「クォーラム」という多数決原理でクラスタの分裂やデータ破損を防ぐ。安定した運用には、安定したネットワーク環境と奇数ノード構成が推奨される。
ITニュース解説
Proxmoxクラスタは、複数のサーバーを連携させて一元的に管理し、仮想マシンのライブマイグレーションや高可用性を実現する強力な仮想化環境を提供する。このシステムが安定して機能するために不可欠な基盤技術の一つがCorosyncである。Corosyncはオープンソースのクラスタ通信レイヤーソフトウェアであり、クラスタ内の各サーバー(ノード)間の状態を監視し、重要な情報を交換することで全体の整合性を保つ役割を担う。
Corosyncの主な機能は三つある。一つ目は「メンバーシップ管理」であり、現在どのノードがクラスタに接続し、正常に動作しているかを常に把握する。これにより、クラスタは活動中のノードの正確なリストを維持できる。二つ目は「メッセージング」で、クラスタ内のノード間で命令や状態変更などの重要な情報を効率的に伝達する。例えば、特定の仮想マシンを別のノードで起動するといった指示を全ての関連ノードに確実に届ける。そして三つ目は、最も重要な「クォーラム管理」である。
クォーラムとは、クラスタが正常な意思決定を行うために必要な「合意形成」の仕組みである。具体的には、クラスタ内の過半数のノードが通信可能で、互いに合意している状態を指す。この多数決の原則に従って、クラスタは運用上の判断を下す。クォーラムの概念が特に重要になるのは、ネットワーク障害などによってクラスタが物理的に分断される可能性があるためである。
クォーラムがない場合に発生しうる最も深刻な問題は「スプリットブレイン」と呼ばれる状態である。これは、クラスタが複数の独立したグループに分かれ、それぞれのグループが自身を「正しいクラスタ」だと認識して、同じ仮想マシンを同時に起動したり、同じストレージに書き込みを行ったりする状況を指す。結果として、データが破損したり、サービスが停止したりする深刻な問題を引き起こす可能性がある。クォーラムはこのようなスプリットブレインを防ぐための仕組みである。クラスタが分断された場合、過半数のノードを含むグループだけが動作を継続し、過半数を満たさないグループは全てのクラスタ操作を停止する「セーフモード」に入る。この動作は「フェンシング」と呼ばれ、一時的なサービス停止を伴うものの、データ破損を防ぐ上で極めて重要である。Proxmoxの管理画面でノードに赤い警告が表示されるのは、そのノードがクォーラムを失い、安全モードに移行していることを示している。クォーラムを失ったノードは、一定時間クラスタと通信が途絶えると、安全のために自身を再起動するなどの積極的な動作に出る場合もある。
クォーラムを安定して維持するためには、クラスタを構成するノードの数に注意が必要である。一般的に、クラスタのノード数は奇数にすることが推奨される。これは、奇数ノードの場合、たとえ一部のノードが停止しても残りのノードで過半数を維持しやすいためである。例えば、3ノードクラスタであれば1ノードが故障しても2ノードが残るためクォーラムを維持できる。しかし、4ノードのような偶数ノードクラスタの場合、ネットワーク障害などでクラスタが2ノードずつの二つのグループに分断されると、どちらのグループも過半数を満たさなくなるため、クラスタ全体がクォーラムを失い、全てのクラスタ操作が停止してしまうリスクがある。そのため、安定したクラスタ運用には3、5、7といった奇数ノード構成が望ましい。
Corosyncの安定稼働には、ネットワークの信頼性が非常に重要である。エンタープライズ環境では、Corosync専用の冗長なネットワークや、各ノードに複数のネットワークインターフェースカード(NIC)を搭載し、別々の物理スイッチに接続するといった厳重な構成が推奨される。しかし、ホームラボのような個人利用環境では、単一のNICで管理、仮想マシン通信、Corosyncトラフィックを全て処理する構成も一般的であり、多くの場合問題なく機能する。ただし、ネットワークが過度に混雑したり、安価で信頼性の低いスイッチを使用したりすると、Corosyncの通信に遅延やパケットロスが発生し、クラスタの不安定化につながる可能性があるため注意が必要である。
2ノードクラスタは高可用性の観点からは理想的ではない。なぜなら、2ノードのうち1ノードが停止するだけで、残りのノードが過半数を満たせなくなり、クラスタ全体がクォーラムを失ってしまうためである。しかし、管理の容易さなどを目的として2ノードクラスタが利用されることもある。このような状況で片方のノードが停止しクォーラムを失った場合、残りのノードでpvecm expected 1というコマンドを実行することで、そのノードが単独でクラスタとして動作することを明示し、一時的にクォーラムを回復させることが可能である。また、QDeviceという仕組みを利用すると、軽量な外部デバイス(例えばRaspberry Piなど)を仮想的な第三の投票者として追加することで、2ノードクラスタでもクォーラムの判定に役立て、より安定した運用を目指すことができる。
結論として、CorosyncはProxmoxクラスタの安定稼働を支える中核的なコンポーネントであり、その中心にあるクォーラムの概念は、クラスタの健全性を維持するために不可欠である。クォーラムの重要性を理解し、ネットワークの安定性を確保し、可能な限り奇数ノードでクラスタを構築することが、安定したProxmoxクラスタ運用への鍵となる。自身の環境や予算に合わせて、これらの原則を適用することが重要である。