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【ITニュース解説】SQL Server Ledger Tables: Complete Guide with Banking Example

2025年09月17日に「Dev.to」が公開したITニュース「SQL Server Ledger Tables: Complete Guide with Banking Example」について初心者にもわかりやすく解説しています。

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ITニュース概要

SQL Server 2022で導入されたLedger Tablesは、ブロックチェーンのようにデータの改ざんを防止し、変更履歴を暗号的に記録・検証できる機能だ。金融など重要システムでデータの信頼性を確保し、監査証明に役立つ。記事では、銀行取引の具体例を通してLedger Tablesの作成と活用方法を解説した。

ITニュース解説

SQL Server Ledger Tablesは、SQL Server 2022から導入された画期的な機能であり、データの信頼性と完全性を保証するために設計されている。特に金融機関、医療機関、政府機関といった、データ改ざんが許されない分野でその真価を発揮する。この機能は、ブロックチェーン技術が持つ「一度記録されたデータは改ざんできない」という特性をリレーショナルデータベースにもたらすもので、全てのデータ変更が暗号学的に追跡可能となり、不正な変更を確実に防ぐことができる。

Ledger Tablesには大きく分けて二つの種類がある。一つ目は「更新可能なレジャーテーブル(Updatable Ledger Tables)」であり、これは通常のテーブルと同じようにデータの挿入、更新、削除が行える。しかし、データの変更があるたびに、その変更前の状態が隠された履歴テーブルに自動的に記録される。この履歴テーブルはシステムによって管理され、過去のすべてのバージョンを改ざん不可能な形で保持する。銀行の口座残高のように、頻繁に更新されるが、過去のすべての状態を監査可能にする必要があるデータに適している。二つ目は「追記専用レジャーテーブル(Append-only Ledger Tables)」であり、この種類のテーブルではデータの挿入のみが許可され、一度挿入されたデータは更新も削除もできない。これは、取引ログや監査ログのように、完全に不変であるべきデータを記録するのに最適である。

レジャーテーブルの内部では、データ整合性を保証するためのいくつかの仕組みが連携して動作する。まず「履歴テーブル」は、各レジャーテーブルの背後で動作する隠しシステムテーブルで、データの各行がいつ、どのように変更されたかを行バージョンとトランザクションIDとともに詳細に記録する。次に、「データベースレジャー」は、データベース全体で行われたすべてのレジャーテーブルへの変更を追跡し、定期的にその「ダイジェスト」と呼ばれる暗号学的ハッシュを生成する。この「ダイジェスト」は、データベースの状態を指紋のように表すものであり、エクスポートして外部に保存することで、後になってデータが改ざんされていないことを独立して検証するための強力な証拠となる。

具体的な銀行業務を例に、Ledger Tablesの利用方法を説明しよう。まず、新しいデータベースを作成し、その中にAccounts(口座)テーブルとTransactions(取引)テーブルを作成する。Accountsテーブルは口座残高が変動するため、更新可能なレジャーテーブルとして定義する。これはCREATE TABLE Accounts (...) WITH (LEDGER = ON (APPEND_ONLY = OFF));というSQL文で指定する。一方、Transactionsテーブルは一度発生した取引記録は変更されないため、追記専用レジャーテーブルとして定義する。これはCREATE TABLE Transactions (...) WITH (LEDGER = ON (APPEND_ONLY = ON));と記述する。

次に、新規口座を作成し、いくつかの銀行操作を実行する。例えば、口座に300を「入金」する際には、Accountsテーブルの対象口座の残高を300増やし、同時にTransactionsテーブルに入金記録を挿入する。200を「出金」する場合も同様に、残高を減らし、出金記録を挿入する。「送金」では、送金元口座の残高を減らし、送金先口座の残高を増やす二つの更新を行い、送金記録を挿入する。これらの操作は全てトランザクションとして実行され、一貫性が保たれる。

これらの操作が完了した後、現在の口座残高や取引記録は通常のSELECT文で確認できる。しかし、Ledger Tablesの真価は、過去の変更履歴を追跡できる点にある。Accountsテーブルのような更新可能なレジャーテーブルでは、システムによって自動生成された隠し履歴テーブルが存在する。この履歴テーブルは、通常のSELECT文では直接見えないが、sys.tablesシステムビューからその名前を特定できる。履歴テーブルをクエリすると、口座ID、保有者名、残高といった情報だけでなく、ledger_start_transaction_idledger_end_transaction_idという特別な列も表示される。これらの列は、それぞれの行バージョンがどのトランザクションで開始され、どのトランザクションで終了したか、つまりその状態がいつからいつまで有効であったかを示す。例えば、口座残高が1000から1300になり、その後1100になった履歴は、履歴テーブル内でそれぞれの状態が異なる行として記録され、各行の有効期間がトランザクションIDによって明確に示される。これにより、ある時点での口座残高がどうであったか、どのように変化したかを正確に把握できる。

さらに、履歴テーブルと現在のテーブルを結合することで、過去のある時点での値と現在の値を比較することも可能になる。これは監査時などに、特定のデータが過去にどのように変化してきたかを確認する際に非常に有用である。

そして、最も重要な機能の一つが「ダイジェストの生成」である。EXEC sp_generate_database_ledger_digest;というコマンドを実行すると、データベース内のすべてのレジャーテーブルの状態を暗号学的にハッシュ化したダイジェストが生成される。このダイジェストは、データベースの状態を証明する「デジタル署名」のようなものと考えることができる。このダイジェストを定期的に生成し、データベースとは独立した安全な外部ストレージ(例えば、別のブロックチェーンネットワークや公証サービス)に保存しておくことで、万が一データベースのデータが不正に改ざんされた場合でも、保存されたダイジェストと現在のデータベースから計算されるダイジェストを比較することで、改ざんの有無を検出できる。これにより、監査人や規制当局、裁判所などに対して、データが真に改ざんされていないことを客観的かつ暗号学的に証明する強力な証拠を提示することが可能となる。

SQL Server Ledger Tablesは、従来のデータベースが持つ柔軟性と、ブロックチェーンが持つ高い信頼性・改ざん防止能力を融合させる。これにより、機密性の高いデータを扱うシステムにおいて、データの完全性と信頼性を極めて高いレベルで保証できるようになる。SQL Server 2022以降を使用しているシステムエンジニアにとって、データの信頼性が最優先されるアプリケーション開発において、レジャーテーブルは必須の機能として検討すべきである。

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