【ITニュース解説】Traceroute Command: Diagnose Network Issues Fast
2025年09月12日に「Dev.to」が公開したITニュース「Traceroute Command: Diagnose Network Issues Fast」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
tracerouteコマンドは、インターネット上のデータが目的地へ届くまでの経路にあるルーターと、各ルーターへの到達時間を表示する。これにより、ネットワークの遅延など、どこに問題があるか特定し、解決に役立つ。
ITニュース解説
インターネットを利用していると、ウェブサイトの読み込みが異常に遅くなったり、ビデオ通話が突然途切れてしまったりする経験は少なくないだろう。このようなネットワーク上の問題が発生した際、その原因を特定し、解決するためには、適切な診断ツールが必要となる。Tracerouteコマンドは、まさにそうしたネットワークのトラブルシューティングにおいて、非常に強力なツールとしてシステムエンジニアにとって不可欠な存在である。このコマンドは、データがネットワーク上を移動する際にどのような経路をたどり、どこで時間がかかっているのかを詳細に把握することを可能にする。
Tracerouteコマンドは、データがあなたのコンピュータからインターネット上の特定の目的地(例えば、ウェブサーバー)に到達するまでのすべての経由地点(ルーター)を表示するツールである。加えて、それぞれの経由地点に到達するまでの時間も計測し、表示する。これにより、データがどのルーターで停滞しているのか、あるいはどの経路に問題があるのかを視覚的に、かつ時間的な情報とともに把握できる。これは、ネットワークのパフォーマンス低下の原因を特定する上で、非常に重要な情報となる。Tracerouteはネットワーク上のデータの「旅の記録」とその「所要時間」を同時に明らかにする機能を持つ。
Tracerouteコマンドがどのように機能するのかを理解するためには、その基本的な仕組みを知る必要がある。Tracerouteは、目的地に向けて「Time-To-Live(TTL)」と呼ばれる数値が設定された特別なパケット(データのかたまり)を送信する。このTTLは、パケットが通過できるルーターの数を制限するための値である。パケットが1つのルーターを通過するたびに、そのTTLの値は1ずつ減少する。そして、TTLがゼロになったルーターは、そのパケットをそれ以上転送せず、代わりに「ICMP Time Exceeded」というエラーメッセージを元の送信元(Tracerouteを実行したコンピュータ)に返送する。このエラーメッセージには、そのルーターのIPアドレスが含まれている。
Tracerouteコマンドは、このTTLの仕組みを段階的に利用する。まず、TTLが1に設定されたパケットを送信する。このパケットは最初のルーターでTTLがゼロになり、そのルーターからエラーメッセージが返送される。Tracerouteはこのエラーメッセージから最初のルーターのIPアドレスと、そこまでの到達時間を記録する。次に、TracerouteはTTLを2に設定したパケットを送信する。このパケットは2番目のルーターでTTLがゼロになり、2番目のルーターからエラーメッセージが返送される。Tracerouteはこの情報を記録し、このプロセスを繰り返す。つまり、TTLの値を1ずつ増やしながらパケットを送信し続けることで、データが経由するルーターを一つずつ特定し、それぞれのルーターまでの到達時間を計測していくのである。この処理は、パケットが最終的な目的地に到達するか、またはTracerouteコマンドにあらかじめ設定された最大ホップ数(経由できるルーターの数)に達するまで続けられる。最終的に、Tracerouteは経路上のすべてのルーターのIPアドレスと、それぞれのルーターまでの往復時間(RTT: Round Trip Time)を表示する。この表示を見ることで、どこかのルーターで応答時間が著しく長くなっている場合、そこがネットワークの問題の原因である可能性が高いと判断できる。
ネットワーク診断ツールとして、Tracerouteと並んでよく知られているのがPingコマンドである。これら二つのコマンドはどちらもネットワークの接続性を確認するために用いられるが、その目的と機能には明確な違いがある。Pingコマンドは、特定のIPアドレスまたはホスト名を持つデバイスがネットワーク上で利用可能であるか(到達性があるか)を確認し、そのデバイスからの応答が返ってくるまでの時間を測定するシンプルなツールである。具体的には、特定のデバイスからの応答の有無とその応答時間を測る機能を持つ。
一方、Tracerouteコマンドは、単に目的地への到達性を確認するだけでなく、データが目的地に到達するまでの「経路」全体を詳細に表示する。Pingが「目的地に到達できるか」だけを問うのに対し、Tracerouteは「目的地にどうやって到達したか、そしてその途中でどのルーターを経由したか」を教えてくれる。つまり、ネットワークのパフォーマンスが低下している際に、Pingは目的地が応答していないことや、応答が遅いことしか示せないが、Tracerouteは、その遅延が経路上のどのルーターで発生しているのかを特定できるのである。例えば、ウェブサイトへの接続が遅い場合、Pingはウェブサイトのサーバーが応答するまでの時間を示すが、Tracerouteはそのサーバーまでの経路にある複数のルーターのうち、どのルーターでデータが詰まっているのかを明確に示してくれるため、問題の切り分けにおいてTracerouteがより強力な情報を提供する。ネットワーク全体でボトルネックとなっている箇所を発見し、解決策を検討する上で、Tracerouteコマンドはシステムエンジニアにとって不可欠な診断ツールである。
このように、Tracerouteコマンドは、インターネットにおけるデータの経路を可視化し、各経由地点での遅延を測定することで、ネットワークの問題診断を迅速かつ効率的に行うための基本的ながら強力なツールである。システムエンジニアを目指す上で、このコマンドの理解と活用は、ネットワークのトラブルシューティング能力を大きく向上させる一歩となるだろう。