【ITニュース解説】What Is Next.js?
2025年09月06日に「Dev.to」が公開したITニュース「What Is Next.js?」について初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
ITニュース概要
Next.jsはReactを基盤としたWebアプリ開発フレームワークだ。SSRやSSGといった機能で、高性能かつスケーラブルなサイトを効率的に構築できる。ルーティング、画像最適化などを自動化し、SEO強化や高速表示、開発効率向上といった多くのメリットがあり、現代的なWebアプリ開発に適している。
ITニュース解説
Next.jsは、ウェブアプリケーション開発を大幅に簡素化するオープンソースのReactフレームワークである。高性能でスケーラブルなアプリケーションを構築するための強力な機能群を提供し、特にウェブページの表示速度や検索エンジン最適化(SEO)において優れたメリットをもたらす。
このフレームワークは、ReactとNode.jsを基盤として構築されており、ウェブ開発における複雑な課題、例えばページの切り替え(ルーティング)、外部サービスとの連携(API統合)、そしてページの表示に必要なコードを効率的に分割する機能などを、開発者が最小限の設定で利用できるように設計されている。Next.jsの最大の特長は、サーバーサイドレンダリング(SSR)と静的サイト生成(SSG)という二つの強力なレンダリング方式をサポートしている点にある。SSRは、ユーザーがページをリクエストするたびにサーバー側でHTMLを生成して返す方法であり、常に最新の情報を表示できる。一方、SSGは、ウェブサイトを事前に構築して静的なHTMLファイルを生成しておく方法で、非常に高速な表示が可能になる。Next.jsはこれらの技術を組み合わせることで、ウェブアプリケーションのパフォーマンスと拡張性を飛躍的に向上させるのだ。開発とメンテナンスはVercelという企業によって行われており、常に最新のウェブ技術に対応している。さらに、CSSやstyled componentsといった多様なスタイリングオプションをサポートし、一貫性のあるスケーラブルなデザインの維持を助ける。
Next.jsが提供する主要な機能は多岐にわたる。まず、「インクリメンタル・スタティック・リジェネレーション(ISR)」は、SSGの利点とSSRの動的なコンテンツ更新能力を融合させた画期的な機能である。ウェブサイトの一部を静的に生成しておきながら、特定のコンテンツが変更された場合にのみ、その部分のページだけを再生成する。これにより、サイト全体の再構築が不要になり、常に高速な表示を保ちつつ、動的なコンテンツ更新にも対応できる。例えば、ニュースサイトでは、記事を事前に生成しておきながら、新しい記事が追加されたり既存記事が更新されたりした場合に、該当するページだけを効率的に最新の状態に保つことが可能になる。
次に、「カスタムヘッドタグ(next/head)」は、ウェブページの<head>セクションをページごとに柔軟に管理できる機能である。これにより、ページのタイトル、説明文、ソーシャルメディアで共有された際の表示内容(OGPタグなど)といったメタ情報を動的に設定できる。これは検索エンジン最適化(SEO)において非常に重要であり、ユーザーが検索結果やSNSでより魅力的かつ正確な情報を目にすることで、ユーザー体験の向上にもつながる。
さらに、「カスタマイズ可能なデータ取得関数(getInitialPropsやgetServerSidePropsなど)」は、SSRやSSGを行う際に、どのようにデータを取得するかを細かく制御できる機能である。例えば、リアルタイムな情報が必要な天気予報アプリでは、ユーザーがページをリクエストするたびにgetServerSidePropsを使って最新の天気データをサーバー側で取得し、それを元にHTMLを生成するといった使い方ができる。これにより、常に最新の情報に基づいたウェブページを提供することが可能になる。
「画像最適化(next/image)」も重要な機能の一つだ。ウェブサイトの表示速度を低下させる主な原因の一つが、最適化されていない画像である。Next.jsのこの機能は、異なるデバイスや画面サイズに合わせて画像を自動的に最適化し、さらに必要になったときに画像を読み込む「遅延読み込み」や、リクエストに応じて画像を最適化する「オンザフライ最適化」をサポートする。これにより、ユーザーの環境に最適な形で画像が表示され、ウェブサイト全体のパフォーマンスが劇的に向上する。
最後に、「ファストリフレッシュ」は、開発中のコード変更を即座にウェブアプリケーションに反映させる機能である。開発者がコードを修正すると、アプリケーションの状態(例えば、入力フォームに入力中の内容など)を失うことなく、変更箇所がすぐにプレビューされる。これは、フォームのような複雑なコンポーネントを開発する際に、その都度状態を再入力する手間を省き、開発の効率を大きく高める。
Next.jsを利用することで得られるメリットは多岐にわたる。上述したSSRやSSGの利用により、ウェブサイトのSEOが大幅に強化される。検索エンジンはサーバー側でレンダリングされたページをより容易にインデックスできるため、検索結果での表示が有利になる。また、自動コード分割や画像最適化といった機能により、ウェブサイトの読み込み速度と全体的なパフォーマンスが向上し、ユーザーは快適な閲覧体験を得られる。
Next.jsはモジュール型のアーキテクチャを採用しているため、プロジェクトの規模に関わらず柔軟に対応でき、将来的な拡張性も高い。開発者にとっても、ホットモジュールリプレースメント(HMR)などの機能によるシームレスな開発体験や、ファイルベースのシンプルなルーティングシステムは、開発効率を大いに高める要素となる。CSSやSassのサポートも組み込まれており、追加設定なしにスタイリングを統合できるのも利点である。
セキュリティ面では、SSRや静的サイトの利用はクライアントサイドでの脆弱性を低減させ、より安全なウェブアプリケーションの構築に寄与する。Next.jsはReactのエコシステムの上に構築されているため、豊富なコミュニティとサードパーティライブラリを利用でき、既存のReactコンポーネントを容易に統合できる。これは開発者の生産性を向上させ、繰り返し作業を減らすことにもつながる。さらに、TypeScriptのサポートや最新のWeb標準への対応により、将来にわたって陳腐化しにくい、モダンなウェブアプリケーションを構築できるフレームワークである。
Next.jsは様々な種類のウェブアプリケーションに適している。コンテンツ管理システム(CMS)との連携は得意分野の一つであり、ContentfulやStrapiのようなヘッドレスCMSと組み合わせることで、高速でSEOに優れたブログや情報サイトを構築できる。企業ウェブサイトでは、ブログ記事やプレスリリース、製品ページなど、静的コンテンツと動的コンテンツを組み合わせた幅広い情報を効率的に提供可能だ。また、eコマースプラットフォームの構築にも最適である。高速なページロード、SEOフレンドリーな特性、動的なルーティング機能、ショッピングカートや商品カタログのためのAPI統合の容易さなど、オンラインストアに求められる多くの要件を満たすことができる。
Reactは、主にユーザーインターフェース(UI)のコンポーネントを構築することに焦点を当てたJavaScriptライブラリである。一方、Next.jsは、そのReactを基盤としつつ、SSRやSSG、ファイルベースのルーティングなどの機能を追加することで、UIコンポーネントの集合体から完全なウェブアプリケーション全体を構築できるように拡張したフレームワークである。Reactだけでは開発者が自力で設定する必要がある多くの側面を、Next.jsが標準で提供することで、開発者はよりアプリケーションのビジネスロジックに集中できるようになる。既存のReactプロジェクトもNext.jsに容易に移行できるため、もし既存のアプリケーションにSSRやSSG、画像最適化などの機能を導入したい場合、コンポーネントをそのまま活かしながらNext.jsの恩恵を受けることが可能だ。
総じて、Next.jsは強力で柔軟性があり、開発者にとって非常に使いやすいフレームワークである。現代のウェブアプリケーションに求められる高速なパフォーマンス、優れたSEO、高いスケーラビリティ、そして優れた開発者体験をすべて兼ね備えているため、新しいウェブアプリケーションの構築や既存アプリケーションのモダナイズにおいて、理想的な選択肢となるだろう。