【ITニュース解説】zkAGI: Trustless Trading Agents Powered by Oasis
2025年09月14日に「Dev.to」が公開したITニュース「zkAGI: Trustless Trading Agents Powered by Oasis」について初心者にもわかりやすく解説しています。
ITニュース概要
Oasisは、戦略や資産情報を秘密にしたまま自動で暗号資産取引を行う「PawPad」を開発した。このプラットフォームは、取引内容やポートフォリオを暗号化し、複数のブロックチェーンで安全に動作する。自分の取引手法を明かさずに自動化できるため、新しいプライベートなサービス開発に貢献する技術だ。
ITニュース解説
Web3の世界で、取引を自動化し、しかもその戦略や資産情報を誰にも知られずに実行できる革新的な技術が注目を集めている。これがOasis Networkが提供する「zkAGI」の「PawPad」というプラットフォームだ。システムエンジニアを目指す皆さんにとって、この技術は未来の分散型アプリケーション(dApps)開発において非常に重要な要素となるだろう。
PawPadは「信頼不要な取引エージェント」を実現する。これは、特定の個人や中央集権的な機関を信頼することなく、システム自体が正しく動作することを保証する仕組みのことだ。従来の取引自動化ツールでは、自分の資金や戦略をそのツールの運営会社に預ける必要があったり、情報が漏洩するリスクがあったりしたが、PawPadではそのような心配がない。さらに「プライベートエージェント」という特徴がある。これは、あなたの取引戦略、ポートフォリオの状態、そしてウォレットの操作など、機密性の高い情報を完全に秘匿したまま、エージェントが自動で取引を実行できることを意味する。例えば、あなたがどのような取引手法を使っているか、どの銘柄をどれだけ保有しているかといった情報は、すべて暗号化され、誰にも覗き見られることなく保護される。このエージェントは「クロスチェーン」で動作する。つまり、SolanaやEthereumのような異なるブロックチェーン間、さらには中央集権型取引所のAPI(Application Programming Interface)を介して、複数のプラットフォームで同時に取引やアクションを実行できるということだ。通常、複数のブロックチェーンをまたぐ操作は非常に複雑だが、PawPadはこの複雑さを解消し、シームレスな自動取引を可能にする。
このプライバシーと信頼性を実現する鍵の一つが、Oasis Networkが提供する「Oasis Sapphire」という技術だ。Oasis Sapphireは、エージェントの処理を行うインフラストラクチャ自体を暗号化された環境で動作させる。これは「Trusted Execution Environment(TEE)」と呼ばれる、プログラムが実行されている間もその内部データが外部から不正にアクセスされたり、改ざんされたりするのを防ぐ技術を活用しており、エージェントの取引戦略やポートフォリオ情報が常に安全に保たれる。また、「ROFL」というセキュアな署名および鍵導出の技術もPawPadの核となる要素だ。ROFLは、様々な種類の暗号化方式に対応しており、これによりSolanaやEVM互換のブロックチェーン、さらには一般的な取引所APIといった多種多様な環境で、安全に認証と署名を行うことができる。特筆すべきは、異なるブロックチェーン間での「ブリッジ」と呼ばれる仕組みを必要としない点だ。通常、チェーン間で資産を移動させる際にはブリッジが使われるが、その安全性には常に懸念がある。ROFLはブリッジなしでクロスチェーン対応を実現することで、セキュリティリスクを大幅に低減している。PawPadでは、取引戦略の保存、ポートフォリオデータの管理、そして取引履歴の記録といったすべての情報が暗号化される。これにより、高いプライバシーが保証されるが、同時に「透明性を犠牲にしない」という重要な特徴も持つ。これは、暗号化された情報が、必要な場合には正当な手続きに基づいて検証可能であることを意味し、システム全体の信頼性をさらに高めている。
この技術は、トレーダーにとって大きな変革をもたらす。これまでは、自動取引を行う際に自分の取引戦略を公開したり、第三者に預けたりすることで、競争上の優位性(エッジ)を失うリスクがあった。しかしPawPadを使えば、その「エッジ」を誰にも知られることなく、完全に自動で取引を実行できる。これにより、トレーダーはより安心して高度な戦略を展開できるようになるだろう。さらに、PawPadは新しい種類のエージェントを活用したユースケースを可能にする。例えば、他人に気づかれずに秘密裏に資産を運用する「ステルスポートフォリオマネージャー」や、特定の規制やコンプライアンス要件に厳密に従って自動で資産を管理するシステム、そして複数のブロックチェーンをまたいで複雑なロジックを実行するエージェントなどが考えられる。また、zkAGIは「エージェントレジストリ」や「暗号化されたステート管理」、そして「監査済みのスマートコントラクト」といった、自動エージェントシステムを構築するためのコアとなるインフラストラクチャを整備している。これは、他の開発者がPawPadのような信頼性の高いエージェントシステムを安心して構築するための基盤を提供するものであり、Web3エコシステム全体の発展に貢献する。
zkAGIは、PawPadのコンセプトを実証するために、SolanaのフォークであるGorbagana上でOasisのTEEスタックを活用したTelegramミニアプリを開発している。これは、実際の動作を確認できる具体的なデモンストレーションとなる。さらに、zkAGIは主要なコンポーネントをオープンソース化する計画だ。これにより、システムエンジニアや開発者はPawPadの内部構造を詳細に検査し、自身のプロジェクトでそのコンポーネントを再利用できるようになる。オープンソース化は、技術の透明性を高め、コミュニティ主導のイノベーションを促進する上で非常に重要だ。プライバシー、自動化、そして信頼性は、Web3の世界において今後ますます重要なテーマとなる。zkAGIがOasis Network上で実現しようとしているPawPadは、これらの要素を高いレベルで組み合わせた革新的なプラットフォームであり、未来の分散型システム開発において大きな注目を集めることとなるだろう。