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10GBASE-SR(イチジーベースエスアール)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

10GBASE-SR(イチジーベースエスアール)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

テンギガベースエスアール (テンギガベースエスアール)

英語表記

10GBASE-SR (イチジーベースエスアール)

用語解説

10GBASE-SRは、主にデータセンターや企業内ネットワークにおいて、高速なデータ通信を実現するためのイーサネット規格の一つだ。その名前が示す通り、10ギガビット/秒(10Gbps)という非常に高い通信速度を提供する。この規格は、特に短距離での接続に特化しており、光ファイバーケーブルを利用する点が大きな特徴となっている。システムエンジニアを目指す上で、このような高速ネットワークの基盤技術を理解することは非常に重要だ。

この規格の名称を分解して考えると、まず「10G」は通信速度が10ギガビット/秒であることを意味する。これは、一般的なギガビットイーサネット(1Gbps)の10倍の速度にあたり、大量のデータを瞬時にやり取りする必要がある環境でその真価を発揮する。「BASE」は、信号の伝送方式がベースバンド伝送であることを示している。ベースバンド伝送とは、デジタル信号をそのままケーブルに流す方式で、イーサネットでは標準的に採用されている。そして最も特徴的な部分が「SR」であり、これはShort Reach(ショートリーチ、短距離)を意味する。SR規格はマルチモードファイバー(MMF)と呼ばれる種類の光ファイバーケーブルを使用することに特化しており、これにより一定の短距離内で非常に高いパフォーマンスを発揮できるよう設計されている。

詳細に入ると、10GBASE-SRがなぜ短距離向けとされるのか、その理由が明らかになる。マルチモードファイバーは、光信号を伝送するコア部分の直径が比較的太く、複数の光の経路(モード)を持つ。この複数の経路を光が異なるタイミングで伝播するため、長距離になるほど信号が分散し、波形が崩れる「モード分散」という現象が発生しやすくなる。これが伝送距離の制約となる要因だ。そのため、10GBASE-SRは、主に数百メートル以内の接続距離で利用される。具体的には、OM3やOM4といった高性能なマルチモードファイバーを使用した場合、OM3では最大300メートル、OM4では最大400メートルまでの伝送が可能となる。さらに、最新のOM5ファイバーでは、より長い距離やWDM(波長分割多重)技術の利用も視野に入れているが、現時点での主流はOM3やOM4だ。

10GBASE-SRで使用される光モジュール、一般的にはSFP+(Small Form-Factor Pluggable Plus)と呼ばれるトランシーバーは、850nm帯の波長のレーザー光を発するVCSEL(Vertical Cavity Surface Emitting Laser:面発光レーザー)を採用している。VCSELは比較的安価に製造でき、消費電力も低いため、データセンター内のような大量のポートが必要とされる環境に適している。このVCSELレーザーは、MMFの特性と組み合わされることで、コスト効率の良い高速通信を実現する。信号の符号化には、64ビットのデータを66ビットに変換して伝送する「64B/66B符号化」という方式が用いられる。これにより、データ信号の中にクロック情報も埋め込まれ、受信側での正確なデータ再生を可能にするとともに、伝送効率を高めている。

この規格の主な適用場面としては、データセンター内のサーバーとネットワークスイッチ間、特にToR(Top-of-Rack)スイッチとサーバー間の接続が挙げられる。ラック内のサーバー群からToRスイッチへ、またはToRスイッチからコアスイッチへと、限られた距離内で大量のデータを高速にやり取りする必要がある場合に、10GBASE-SRは非常に有効なソリューションとなる。また、企業のLAN環境において、部署内の高速ネットワークセグメント間接続や、ストレージ機器との接続などにも利用されることがある。

他の10ギガビットイーサネット規格と比較すると、例えば10GBASE-LR(Long Reach)はシングルモードファイバー(SMF)を使用し、10kmといった長距離伝送が可能だ。SMFはコアが細く、光の経路が一つであるためモード分散がほとんど発生せず、長距離伝送に適しているが、光モジュールが高価になる傾向がある。一方、10GBASE-SRはMMFを使用するため、SMFベースの規格に比べて光モジュールやケーブルのコストを抑えられるという利点がある。また、MMFケーブルはSMFに比べて光コネクタの接続許容誤差が大きく、取り扱いが比較的容易であるという運用上のメリットもある。既存のMMFケーブルインフラがある場合、それを活用して10Gbpsにアップグレードする際の選択肢としても有効だ。

しかし、その名の通り「短距離」に限定されるため、ビル間接続やキャンパスネットワークの幹線など、距離が数百メートルを超えるような用途には適さない。そのような場合は、10GBASE-LRや10GBASE-ER(Extended Reach)といったシングルモードファイバーを利用する規格が選ばれることになる。システムエンジニアとしては、ネットワークの要件(速度、距離、コスト、将来性など)に応じて、最適な10ギガビットイーサネット規格を選択する知識が求められる。10GBASE-SRは、高性能とコスト効率のバランスが取れた、データセンターやエンタープライズネットワークの短距離高速接続において欠かせない重要な規格の一つと言えるだろう。

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