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CWDM(シーダブルディーエム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

CWDM(シーダブルディーエム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

搬送波長分割多重 (はんそうちょうぶんかつたじゅう)

英語表記

CWDM (シーダブリューディーエム)

用語解説

CWDM(Coarse Wavelength Division Multiplexing、粗密波長分割多重)は、光ファイバー通信において複数の異なる波長の光信号を一本の光ファイバーに多重化して伝送する技術の一つである。増加し続けるネットワークのデータ需要に対応するため、既存の光ファイバーインフラを最大限に活用し、通信容量を拡張する目的で利用される。特に、短距離から中距離のネットワークにおいて、コスト効率の良いソリューションとして広く導入されている。

この技術の基本的な考え方は、光ファイバーという限られた通信媒体の「帯域」を有効活用することにある。一本の光ファイバーは、物理的には非常に細いガラスの束であるが、その中に複数の「色」の異なる光を通すことで、それぞれ独立したデータチャネルとして機能させることが可能になる。CWDMは、この「色の違い」を利用して複数のデータを同時に送る波長分割多重(WDM)技術の一種であり、特に波長間隔が「粗い」(Coarse)という特徴を持つ。

CWDMの技術的な詳細について説明する。光ファイバー通信では、データは電気信号から光信号に変換され、レーザーダイオードによって生成された光パルスとして伝送される。CWDMでは、複数の異なる波長の光をそれぞれ異なるデータで変調し、これらを光合波器(Multiplexer)という装置で一本の光ファイバーに束ねて送り出す。受信側では、光分波器(Demultiplexer)という装置が、束ねられた光信号を元の異なる波長ごとに分離し、それぞれの波長からデータを取り出す。これにより、あたかも複数の光ファイバーがあるかのように、同時に多くのデータを伝送できるのである。

CWDMで利用される波長は、国際電気通信連合電気通信標準化部門(ITU-T)のG.694.2勧告によって標準化されている。一般的には、1271ナノメートル(nm)から1611nmまでの間で、20nm間隔の波長が用いられることが多い。この20nmという広い波長間隔が「粗い」と称される所以であり、DWDM(Dense Wavelength Division Multiplexing、高密度波長分割多重)が0.8nmや0.4nmといった非常に狭い間隔で多数の波長を用いるのと対照的である。CWDMでは通常、8波長から最大で18波長程度までを多重化することが可能である。

CWDMの大きなメリットは、その経済性とシステムのシンプルさにある。波長間隔が広いため、レーザーダイオードやフィルターなどの光学部品の製造精度に対する要求がDWDMに比べて低く、結果として部品コストを抑えられる。また、温度変化による波長変動の影響も受けにくいため、DWDMシステムで必要とされる厳密な温度制御や冷却装置が不要な「非冷却型レーザーダイオード」の使用が可能となり、システム全体の消費電力の削減と小型化、さらには運用コストの低減に貢献する。設置や保守も比較的容易であり、既存の光ファイバーインフラを有効活用できる点も大きな利点である。さらに、CWDMは伝送するデータのプロトコルに依存しない「プロトコル透過性」を持っているため、イーサネット、ファイバーチャネル、SDH/SONETなど、様々な種類のデータ信号を同じファイバー上で伝送できる。

しかし、CWDMにはいくつかのデメリットも存在する。最も顕著なのは、伝送距離の制限である。波長間隔が広いため、光ファイバーの分散特性(光が伝わる速度が波長によって異なる現象)や損失の影響を受けやすく、一般的に伝送可能距離は数十キロメートル程度に限定される。特に、1310nm付近の波長帯域では光ファイバーの損失が比較的大きく、また1400nm付近の帯域ではOHイオン(水酸基)による吸収損失が発生しやすいため、これらの波長を避けるか、伝送距離を短くするなどの考慮が必要になる場合もある。また、多重化できる波長数がDWDMに比べて少ないため、非常に大規模なネットワークや超高速・超大容量の伝送が必要な用途には向かない。DWDMで一般的に用いられる光増幅器(EDFA: Erbium Doped Fiber Amplifier)も、CWDMの広範な波長帯域全体を効率的に増幅することは難しく、CWDMシステムでの長距離伝送を困難にする一因となっている。

CWDMは、そのメリットとデメリットを考慮し、様々なネットワーク環境で利用されている。主な用途としては、都市圏ネットワーク(メトロポリタンエリアネットワーク:MAN)における事業所間接続や、キャンパスネットワーク、データセンター内の接続、ストレージエリアネットワーク(SAN)におけるデータ転送などが挙げられる。また、移動体通信の基地局間接続や、光ファイバーを各家庭まで引き込むFTTH(Fiber To The Home)サービスのバックボーン部分、監視カメラやビデオ会議システムといったビデオ伝送システムなど、幅広い分野で導入実績がある。これらの用途では、数十キロメートル程度の伝送距離で、かつコストを抑えながら比較的多くのチャネルを確保したいというニーズにCWDMが合致する。

CWDMは、光ファイバー通信におけるコスト効率と拡張性のバランスの取れたソリューションとして、今後も重要な役割を果たし続けるであろう。特に、10ギガビットイーサネット(10GbE)やそれ以上の高速なデータ通信の需要が高まる中で、既存の光ファイバー資産を有効活用しつつ、必要な帯域を経済的に提供する技術として、その価値はさらに高まると考えられる。

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