フォワーディングプレーン(フォワーディングプレーン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
フォワーディングプレーン(フォワーディングプレーン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
フォワーディングプレーン (フォワーディングプレーン)
英語表記
forwarding plane (フォワーディングプレーン)
用語解説
フォワーディングプレーンとは、ネットワーク機器が実際にデータパケットを受信し、処理し、適切な宛先へ転送する役割を担う部分を指す。これはネットワーク機器の最も中核的な機能であり、データプレーンとも呼ばれる。フォワーディングプレーンの主な仕事は、受信したパケットを可能な限り高速かつ効率的に、次にたどるべき経路へ送り出すことにある。
詳細について説明する。ネットワーク機器は大きく分けて、制御を行うコントロールプレーンと、実際のデータ転送を行うフォワーディングプレーンの二つの論理的な層で構成されている。フォワーディングプレーンは、このうちデータ転送、つまりパケットの転送処理に特化している部分である。
フォワーディングプレーンにおける具体的な処理の流れは以下のようになる。まず、ネットワーク機器のいずれかのインターフェースからデータパケットが受信されると、フォワーディングプレーンがそのパケットを受け取る。次に、受信したパケットのヘッダ情報を解析する。このヘッダ情報には、宛先のIPアドレスやMACアドレス、ポート番号、プロトコル種別などの重要な情報が含まれている。フォワーディングプレーンは、解析した宛先情報に基づいて、機器内部に保持している転送テーブル(ルーティングテーブルやMACアドレステーブル、転送情報ベース(FIB)など)を参照する。このテーブルには、どの宛先アドレスに対してどのインターフェースからパケットを送信すべきか、あるいはどのような処理を施すべきかといった情報が記録されている。
テーブルの参照結果に基づき、フォワーディングプレーンはパケットをどの出力インターフェースから転送すべきかを決定する。同時に、パケット転送に必要な書き換え処理も行う。例えば、IPパケットであればTTL(Time To Live)値を1減算したり、イーサネットフレームであれば宛先MACアドレスや送信元MACアドレスを次のホップ(経由点)に応じたものに書き換えたりする。また、QoS(Quality of Service)のポリシーが設定されていれば、パケットの優先度付けや帯域制御を行う。さらに、ACL(Access Control List)が設定されていれば、定義されたルールに基づいてパケットの通過を許可または拒否するフィルタリング処理もフォワーディングプレーンで行われる。これらの処理を終えたパケットは、最終的に決定された出力インターフェースから次のネットワーク機器へと送信される。
このような一連の処理は、ネットワークの性能に直結するため、非常に高速に行われる必要がある。そのため、多くの高性能なネットワーク機器では、フォワーディングプレーンの処理を専用のハードウェア、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)といったチップで実現している。これにより、ソフトウェアによる処理と比較して、圧倒的な速度でパケット転送を行うことが可能となる。
フォワーディングプレーンとコントロールプレーンの関係も重要である。コントロールプレーンは、ルーティングプロトコル(OSPFやBGPなど)を実行してネットワーク全体のトポロジー情報を収集し、最適な経路を計算してルーティングテーブルを構築する役割を担っている。このルーティングテーブルは、最終的にフォワーディングプレーンが参照する転送情報ベース(FIB)に変換され、フォワーディングプレーンにダウンロードされる。つまり、コントロールプレーンが「どこへ送るべきか」という転送の論理を決定し、フォワーディングプレーンはその決定に基づいて「実際にどのように送るか」という物理的なデータ転送を実行するという役割分担になっている。この二つのプレーンが分離されていることで、ネットワーク機器はより柔軟に、かつ効率的に動作できる。例えば、コントロールプレーンに負荷がかかっても、フォワーディングプレーンのデータ転送性能には影響が出にくいといったメリットがある。
ルータやスイッチといった代表的なネットワーク機器において、フォワーディングプレーンは不可欠な存在である。ルータではIPパケットのルーティングを、スイッチではイーサネットフレームのスイッチングを、それぞれフォワーディングプレーンが担当している。他にも、ファイアウォールでのパケットフィルタリング、ロードバランサでのトラフィック分散など、あらゆるネットワーク機器におけるデータ処理の根幹をなすのがフォワーディングプレーンである。ネットワーク全体のパフォーマンス、つまりスループットや遅延は、フォワーディングプレーンの処理能力に大きく依存するため、ネットワークの設計や運用においてその重要性は極めて高い。