Webエンジニア向けプログラミング解説動画をYouTubeで配信中!
▶ チャンネル登録はこちら

ICANN(アイキャン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ICANN(アイキャン)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

インターネット名称・番号管理機構 (インターネットメイショウバンゴウカンリキコウ)

英語表記

ICANN (アイキャン)

用語解説

ICANN(The Internet Corporation for Assigned Names and Numbers)は、インターネットで利用されるドメイン名やIPアドレスといった、インターネットの根幹を支える識別子の割り当てや管理を世界的に調整する役割を担う非営利法人である。カリフォルニア州に本部を置き、インターネットが国境を越えて安定的に機能するために不可欠な、調整機関としての中核的な役割を果たしている。インターネットを利用する際、我々はウェブサイトのアドレスであるドメイン名を入力したり、意識せずともIPアドレスを介して通信を行ったりしている。これらの名前や番号が世界中で重複することなく、一意に定まっているからこそ、インターネットは正しく機能する。ICANNは、この「一意性」を保証するためのルール作りと管理を行う、いわばインターネットの住所管理における最高機関である。その活動は、特定の国や企業の利益のためではなく、グローバルなインターネットコミュニティ全体の利益のために行われる。

ICANNの設立は1998年であり、それ以前はこれらの管理業務、特にIANA(Internet Assigned Numbers Authority)と呼ばれる機能は、米国政府の監督下にある組織が担っていた。しかし、インターネットが世界的に普及し、商用利用が拡大するにつれて、単一国家の管理下にある状態から、よりグローバルで中立的な民間組織による管理体制へと移行する必要性が高まった。この背景から、米国政府との契約に基づき、ICANNが設立され、インターネット資源の管理機能が段階的に移管された。この移管は、インターネットのガバナンスが特定の政府から、世界中の多様な関係者が参加する「マルチステークホルダーモデル」へと移行する象徴的な出来事であった。

ICANNの具体的な役割は多岐にわたるが、主に三つの領域に大別される。第一に、ドメイン名システム(DNS)の管理である。DNSは、「example.com」のような人間が覚えやすいドメイン名を、「192.0.2.1」のようなコンピュータが理解できるIPアドレスに変換する仕組みであり、インターネットの電話帳に例えられる。ICANNはこのシステムの頂点に位置し、「.com」や「.org」、「.jp」といったトップレベルドメイン(TLD)の管理と調整を行う。具体的には、どの組織が各TLDを管理する「レジストリ」となるかを認定し、レジストリがドメイン名を販売する「レジストラ」を認定するための基準やポリシーを策定する。また、新しいジェネリックトップレベルドメイン(gTLD)の導入プロセスを主導し、インターネットの名前空間の拡大にも貢献している。

第二の役割は、IPアドレスとAS番号の管理である。IPアドレスは、インターネットに接続されたコンピュータやサーバーを識別するための固有の番号である。ICANNは、IPアドレスのグローバルな在庫を管理し、世界を5つの地域に分けて活動する地域インターネットレジストリ(RIR)へ大きなブロック単位で割り振る。各RIRは、それぞれの地域内の国別インターネットレジストリ(NIR)やローカルインターネットレジストリ(LIR)を通じて、最終的にプロバイダや企業、エンドユーザーへとIPアドレスを割り当てる。この階層的な管理体制によって、限りあるIPアドレス資源が効率的かつ公平に分配される。特に、IPv4アドレスの枯渇問題に対応し、次世代のプロトコルであるIPv6への移行を促進することもICANNの重要な使命である。また、インターネット上の独立したネットワーク(自律システム)を識別するためのAS番号の割り当ても同様に管理している。

第三の役割は、プロトコルパラメータの管理である。これはIANA機能として知られ、インターネットの通信プロトコルが円滑に動作するために必要な、ポート番号やメディアタイプといった各種パラメータの登録・管理を行う。これにより、世界中の開発者が共通の基準に基づいてアプリケーションやサービスを開発でき、相互運用性が確保される。

ICANNの運営は、前述のマルチステークホルダーモデルに基づいている。その意思決定プロセスには、世界各国の政府、技術者コミュニティ、学術機関、民間企業、そして一般のインターネットユーザーまで、多種多様な利害関係者が参加する。理事会を最高意思決定機関とし、ドメイン名を扱う支持組織(SO)や、技術的な問題、セキュリティ、政府間の問題を扱う諮問委員会(AC)などが設置されており、これらの組織を通じてボトムアップでポリシーが策定される。この開かれたプロセスにより、透明性と公平性が担保され、特定の組織や国家がインターネットを支配することを防いでいる。

システムエンジニアを目指す者にとって、ICANNの存在と役割を理解することは極めて重要である。日常業務で直接ICANNとやり取りをすることは少ないかもしれないが、担当するシステムのネットワーク設定、サーバー構築、DNSのトラブルシューティングなど、あらゆる場面でICANNが管理する資源やルールが関係してくる。ドメイン名の取得や更新の裏にはレジストリ・レジストラ制度があり、サーバーにIPアドレスを割り当てる際にはRIRから階層的に分配されたアドレス空間を利用している。これらの仕組みの頂点にICANNが存在することを理解することで、インターネットの全体像をより深く把握し、技術的な問題解決やシステム設計において、より的確な判断を下すことができるようになる。

関連コンテンツ

ICANN(アイキャン)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説 | いっしー@Webエンジニア