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ISA(アイエスエー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

ISA(アイエスエー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

標準演算子アーキテクチャ (ヒョウジュンエンザンシアーキテクチャ)

英語表記

ISA (アイエスエー)

用語解説

ISAとは、Instruction Set Architectureの略称であり、日本語では命令セットアーキテクチャと訳される。これは、コンピュータの中核を担うプロセッサ(CPU)が、ソフトウェアから指示された命令をどのように解釈し、実行するかを定めた規約の集まりである。言い換えれば、CPUが理解できる命令の種類、命令の形式、そして命令がデータをどのように扱うかといった、ハードウェアとソフトウェアの間のインターフェース仕様そのものを指す。システムエンジニアを目指す上で、コンピュータがどのように動作するかの根幹を理解するために非常に重要な概念である。

ソフトウェア開発者がプログラミング言語で記述したソースコードは、そのままではCPUに理解されない。コンパイラやインタプリタと呼ばれるプログラムが、ソースコードをCPUが直接実行できる機械語に翻訳する。この機械語こそが、ISAによって定められた命令の集まりである。したがって、ISAはソフトウェア開発者とCPUの設計者の双方にとっての共通言語であり、設計図の役割を果たす。ISAが定義する主な内容には、CPUが実行できる演算の種類(加算、減算などの算術演算、AND、ORなどの論理演算)、メモリとCPUの間でデータを移動させる方法、プログラムの流れを制御する分岐やジャンプ命令などが含まれる。さらに、命令自体のビット列の形式、CPU内部に存在する高速な記憶領域であるレジスタの種類と数、メモリ上のデータにアクセスするためのアドレッシングモードなども厳密に規定されている。

ISAの最大の重要性は、ソフトウェアとハードウェアを分離する点にある。同じISAに準拠してさえいれば、異なるメーカーが設計・製造したCPUであっても、同じソフトウェアを実行することが可能となる。例えば、Intel社のCPUとAMD社のCPUは、どちらも「x86」や「x64」と呼ばれるISAを採用しているため、Microsoft Windowsのような同じオペレーティングシステムやアプリケーションを動作させることができる。これにより、ユーザーはハードウェアの選択肢を持ちながら、膨大なソフトウェア資産を利用できる。また、ISAには後方互換性という概念も重要である。新しい世代のCPUが開発される際、過去のISAを包含するように設計することで、古いソフトウェアも問題なく実行できるようになっている。

ISAの設計思想は、大きく二つの系統に分類される。一つはCISC(Complex Instruction Set Computer)、もう一つはRISC(Reduced Instruction Set Computer)である。CISCは「複雑命令セットコンピュータ」を意味し、その名の通り、一つの命令で複雑かつ多機能な処理を実行できることを特徴とする。例えば、メモリからデータを二つ読み込み、それらを加算し、結果をメモリに書き戻す、といった一連の処理を単一の命令で実現できる。これは、プログラミングがアセンブリ言語で行われていた時代に、プログラマの負担を軽減し、コンパイルされたプログラムのサイズを小さくする目的で発展した。代表的なCISCアーキテクチャには、パーソナルコンピュータで広く採用されているIntelのx86ファミリーがある。

一方、RISCは「縮小命令セットコンピュータ」を意味し、CISCとは対照的に、命令の種類を基本的で単純なものに限定する設計思想を持つ。各命令は単純な処理しか行わないが、その代わりに命令の長さが固定され、ほとんどの命令を1クロックサイクルという非常に短い時間で実行できるように設計されている。複雑な処理は、これらの単純な命令を複数組み合わせることで実現する。この単純化により、CPU内部の命令解読回路が簡素化され、パイプライン処理と呼ばれる高速化技術を効率的に適用できるため、全体として高いパフォーマンスを発揮できる。コンパイラの最適化技術の進歩も、RISCの普及を後押しした。代表的なRISCアーキテクチャには、スマートフォンやタブレットで圧倒的なシェアを誇るArmや、オープンソースのISAとして注目されるRISC-Vなどがある。

近年では、CISCとRISCの境界は曖昧になりつつある。現代のCISCプロセッサは、内部で複雑な命令をRISCのような単純な命令(マイクロオペレーション)に分解してから実行する、といったRISC的なアプローチを取り入れている。一方で、RISCプロセッサも特定の処理を高速化するための複雑な命令を追加することがある。ISAは、コンピュータシステムの性能、消費電力、コストを決定づける根源的な要素であり、その設計思想の進化は、IT業界全体のトレンドにも大きな影響を与えている。システムエンジニアはISAを直接コーディングすることは稀だが、この基盤技術を理解することは、システムの性能評価やアーキテクチャ選定において深い洞察をもたらすだろう。

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