LAN間接続装置(ランカンセツゾウチ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LAN間接続装置(ランカンセツゾウチ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

LAN間接続装置 (ランカンセツゾウチ)

英語表記

LAN interconnection device (ランインターコネクションデバイス)

用語解説

LAN間接続装置は、複数のローカルエリアネットワーク(LAN)を物理的、論理的に接続し、それらの間でデータ通信を可能にするための機器の総称である。主に、異なるネットワークセグメントに属するデバイスが相互に通信できるようにする役割を担い、今日の大規模な企業ネットワークやインターネット接続において不可欠な存在となっている。この装置は、ネットワークの規模拡大やセキュリティ要件、管理のしやすさといった様々な側面から利用され、ネットワークインフラの基盤を形成している。

LAN間接続装置が必要とされる背景には、一つの大きなLANでは管理が困難になる、ネットワークのパフォーマンスが低下する、セキュリティ上のリスクが増大するといった課題がある。例えば、すべてのデバイスが一つのブロードキャストドメインに属していると、ブロードキャスト通信がネットワーク全体に広がり、無駄なトラフィックが増加し、通信帯域を圧迫する可能性がある。また、セキュリティ上の理由から、特定の部門や機能ごとにネットワークを分割し、その間のアクセスを制御したい場合も、LAN間接続装置が用いられる。これにより、ネットワークを効率的かつ安全に運用することが可能となる。

代表的なLAN間接続装置には、ルータやレイヤ3スイッチなどがある。これらはOSI参照モデルのネットワーク層(レイヤ3)で動作し、IPアドレスを基にパケットの転送経路を決定する。

ルータは、異なるIPネットワーク(異なるサブネット)に属する複数のLAN同士を接続し、IPパケットを最適な経路で転送する機能を持つ装置である。ルータの最も重要な役割はルーティングであり、自身の持つルーティングテーブルを参照して、宛先IPアドレスに基づいてパケットをどのネットワークインターフェースから送り出すかを判断する。例えば、社内の異なる部署のLAN間や、社内LANとインターネット(WAN)との接続にルータが用いられる。ルータはブロードキャストドメインを分割するため、一方のLANで発生したブロードキャストトラフィックが、もう一方のLANに直接到達することはない。これにより、ネットワーク全体のトラフィックを抑制し、パフォーマンスを向上させる。また、ルーティングプロトコルを使用して、他のルータと経路情報を交換し、ネットワークの構成変更にも柔軟に対応できる。多くのルータは、アクセス制御リスト(ACL)やファイアウォール機能も備え、セキュリティポリシーに基づいたパケットフィルタリングを行うことで、不正アクセスからの保護や、特定の通信の制限を実現する。

レイヤ3スイッチは、その名の通りスイッチの機能に加えて、ルータのようなルーティング機能を持つ装置である。一般的なレイヤ2スイッチはMACアドレスに基づいて同一LANセグメント内のフレーム転送を行うが、レイヤ3スイッチはIPアドレスに基づくルーティングもハードウェアレベルで高速に処理できる特徴がある。そのため、大規模な企業ネットワークやデータセンターにおいて、異なるVLAN(Virtual LAN)間のルーティングを高速に行う際に利用されることが多い。VLANは物理的な構成にとらわれず、論理的にネットワークを分割する技術であり、異なるVLANに属するデバイスが通信するためにはレイヤ3スイッチやルータが必要となる。レイヤ3スイッチは、同一VLAN内の通信はスイッチングとして処理し、異なるVLAN間の通信はルーティングとして処理することで、高性能と効率的なネットワーク運用を両立させる。特に、多数のVLANが存在する環境で、VLAN間ルーティングのパフォーマンスが求められる場合に有効である。

これらの装置は、パケットの転送時に様々な処理を行う。例えば、パケットがルータを通過する際、IPヘッダに含まれるTTL(Time To Live)フィールドの値が1つ減らされる。TTLはパケットがネットワーク上を永久に循環することを防ぐための仕組みであり、TTLが0になるとパケットは破棄される。また、異なるセグメントへパケットを転送する際には、宛先MACアドレスを次の中継点(ネクストホップ)のMACアドレスに書き換える必要があり、ARP(Address Resolution Protocol)などを用いてその情報を取得する。

LAN間接続装置の選定にあたっては、接続するLANの規模、必要な通信速度、予算、将来的な拡張性、そして求められるセキュリティ機能などを考慮する必要がある。例えば、小規模なオフィスであればシンプルなルータで十分な場合が多いが、大規模な組織やデータセンターでは、より高性能なレイヤ3スイッチや複数のルータを連携させた複雑なルーティング構成が求められる。これらの装置を適切に配置し、設定することで、堅牢で効率的、かつセキュアなネットワークインフラを構築することが可能となる。現代のネットワーク環境において、LAN間接続装置は、情報が円滑に流れ、組織がその機能を最大限に発揮するための不可欠な要素と言える。

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