LiDAR(ライダー)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

LiDAR(ライダー)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

ライダー (ライダー)

英語表記

LiDAR (ライダー)

用語解説

LiDARは「Light Detection and Ranging」の略称であり、光を用いて対象物までの距離やその性質を検知、計測するリモートセンシング技術の一つである。日本語では「ライダー」と発音され、光による検出と測距を意味する。その基本的な原理は、レーザー光をパルス状に対象物へ照射し、その光が対象物の表面で反射してセンサーに戻ってくるまでの時間を計測することにある。光の速度は一定であるため、往復時間と光速を基に、センサーから対象物までの正確な距離を算出できる。この測距方式はToF(Time of Flight、飛行時間)方式と呼ばれる。LiDARはこの高精度な測距を、レーザー光を高速で広範囲に走査しながら毎秒数十万回から数百万回も繰り返す。これにより、周囲の環境を無数の点の集合として捉えることが可能となる。この三次元座標(X, Y, Z)を持つ点の集合は「点群(Point Cloud)」データと呼ばれ、対象物の形状、大きさ、位置関係を極めて詳細にデジタルデータとして表現できる。LiDAR技術は、自動運転車の周辺環境認識、地形測量、インフラ点検、考古学調査、ロボットの自己位置推定、さらには近年のスマートフォンに搭載されAR(拡張現実)体験の向上やカメラのオートフォーカス性能向上にも活用されるなど、その応用範囲は多岐にわたる。

LiDARシステムの主要な構成要素は、レーザーを発振する光源、レーザー光を射出・走査するスキャナー、対象物から反射した光を受信する光検出器、そして受信した信号を処理して距離や座標を計算するデータ処理装置である。移動体に搭載される場合は、センサー自体の正確な位置と姿勢を把握するために、GPS(Global Positioning System)やIMU(Inertial Measurement Unit、慣性計測装置)が組み合わされることが一般的である。LiDARが生成する点群データは、各点に三次元座標だけでなく、反射してきたレーザー光の強さを示す「反射強度(Intensity)」の情報を含むことが多い。反射強度は対象物の材質や表面の状態によって変化するため、例えばアスファルトと白線、植生と地面などを区別する手がかりとなり、データ解析の精度を向上させる。さらに、カメラを併用することで、点群の各点にRGBの色彩情報を付与し、より現実に近い三次元カラーモデルを生成することも可能である。このような複数のセンサーからの情報を統合して利用する技術はセンサーフュージョンと呼ばれ、特に自動運転やロボティクスの分野で極めて重要となる。LiDARは、スキャン方式によって機械式とソリッドステート式に大別される。機械式は、モーターを使ってセンサーユニットや内部のミラーを物理的に回転させることで全方位をスキャンする。高い性能を持つが、可動部があるため大型で高価、耐久性に課題があった。一方、ソリッドステートLiDARは、MEMSミラーや光学素子などを用いて機械的な可動部なしにレーザーを走査する技術であり、小型化、低コスト化、高信頼性を実現できるため、車載用や民生機器への普及を後押ししている。システムエンジニアは、LiDARから出力される膨大な点群データを効率的に処理し、ノイズ除去、物体検出、形状認識、環境地図作成(SLAM技術など)といったタスクを実行するためのアルゴリズムやソフトウェアを開発する役割を担う。点群データの解析には、幾何学、統計学、機械学習などの知識が求められ、LiDARは現代の多くの先進的システムにおいて、現実世界をデジタル情報に変換するための「眼」として不可欠な技術となっている。

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