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memcached(メモリキャッシュド)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

memcached(メモリキャッシュド)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

作成日: 更新日:

読み方

日本語表記

メモリキャッシュ (メモリキャッシュ)

英語表記

memcached (メモリキャッシュド)

用語解説

memcachedは、高速な分散型インメモリキーバリュー型データストアである。主にWebアプリケーションのパフォーマンス向上とデータベースの負荷軽減を目的として利用されるオープンソースソフトウェアだ。データを一時的にメモリ上に保存するキャッシュシステムとして機能し、データベースへのアクセス頻度を減らすことで、アプリケーション全体の応答速度を高める役割を担う。保存されるデータは揮発性であり、サーバーの再起動やメモリ不足時には失われる特性を持つ。

memcachedの詳細な動作原理は、その名の通り「メモリ内(インメモリ)」にデータを保持する点にある。従来のデータベースがデータをハードディスクなどの永続ストレージに保存するのに対し、memcachedはメインメモリに直接データを格納するため、ディスクI/Oが発生せず、非常に高速な読み書きを実現する。データは「キー」と「バリュー」というシンプルなペアで管理される。例えば、「ユーザーID:123」というキーに対して、「ユーザー名:太郎, メール:taro@example.com」といったバリューを関連付けて保存する。アプリケーションは必要なデータを取得する際、このキーを指定してmemcachedに問い合わせる。データがあれば直接取得し、なければデータベースから取得してmemcachedに保存するという流れで利用する。メモリが不足した場合、memcachedはLeast Recently Used(LRU)アルゴリズムに基づいて、最も長い間アクセスされていないデータを自動的に削除し、新しいデータを保存するためのスペースを確保する。このため、常に最新のよく使われるデータがキャッシュされる傾向がある。

memcachedは分散型システムとしても機能する。複数のmemcachedサーバーを連携させることで、キャッシュデータを複数のサーバーに分散して保存できる。これにより、単一のサーバーでは扱いきれない大量のデータや、非常に高いアクセス負荷にも対応できるようになる。アプリケーション側には、データがどのサーバーに保存されているかを管理するためのクライアントライブラリが存在し、キーに基づいたハッシュ計算などによって、適切なmemcachedサーバーへアクセスする仕組みが構築される。この分散機能によって、水平方向へのスケーラビリティ(処理能力の拡張性)が確保され、システム全体の柔軟性が向上する。

具体的な利用シーンとしては、Webアプリケーションにおけるデータベースのクエリ結果のキャッシュが挙げられる。頻繁にアクセスされる商品情報やニュース記事など、更新頻度が比較的低いデータをデータベースから毎回取得するのではなく、一度取得したものをmemcachedに保存しておくことで、以降のリクエストでは高速にデータを返せる。また、ユーザーのセッション情報、APIのレスポンス結果、ページのHTMLフラグメントなどを一時的に保存する用途にも用いられる。これにより、データベースサーバーへの過度なアクセス集中を防ぎ、サーバーの負荷を均一化し、アプリケーションの安定稼働にも寄与する。

memcachedの最大のメリットは、その圧倒的な高速性にある。ディスクアクセスと比較して、メモリからのデータ読み書きは桁違いに速いため、アプリケーションの応答時間を大幅に短縮できる。これにより、ユーザーエクスペリエンスの向上にも直結する。また、データベースの負荷が軽減されることで、データベースサーバー自体のリソースを他の重要な処理に割り当てられるようになり、システム全体の効率が向上する。実装が比較的シンプルであり、多くのプログラミング言語向けにクライアントライブラリが提供されているため、既存のシステムに導入しやすい点も利点だ。

一方で、いくつかのデメリットと注意点も存在する。最も重要なのは、データが永続的ではない、つまり揮発性であるという特性だ。memcachedサーバーが再起動したり、メモリが不足したりすると、キャッシュされているデータは全て失われる。そのため、memcachedはあくまで「一時的なキャッシュ」として利用し、永続的に保存すべき重要なデータ(例えば、ユーザーの登録情報や取引履歴など)は必ずデータベースなどの永続ストレージに保存しておく必要がある。また、memcachedは複雑なデータ構造や高度なクエリ処理には対応していない。あくまでキーとバリューのシンプルな組み合わせでデータを扱うため、より複雑なデータ処理が必要な場合は、データベース側で処理を行う必要がある。セキュリティ面では、memcached自体に認証機能が組み込まれていないため、信頼できるネットワーク内部での利用が推奨される。インターネットに直接公開するような設定は避けるべきだ。

類似の技術としてRedisが存在するが、memcachedはよりシンプルで高速なキャッシュに特化している点が特徴だ。Redisは永続化オプションを持ち、リストやハッシュ、セットなどより多様なデータ構造をサポートし、メッセージキュー機能なども提供する多機能なデータストアであるのに対し、memcachedは純粋なインメモリキャッシュとしての役割に徹することで、高いパフォーマンスと低レイテンシを実現している。システム設計においては、これらの特性を理解し、目的と要件に合わせて適切なキャッシュシステムを選択することが重要となる。