Redis(リディス)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
Redis(リディス)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
リディス (リディス)
英語表記
Redis (リディス)
用語解説
Redisは、Remote Dictionary Serverの略で、オープンソースのインメモリデータ構造ストアである。これは、データをコンピュータのメインメモリ上に保持することで、非常に高速なデータアクセスを実現する特徴を持つ。単なるキャッシュシステムとしてだけでなく、多様なデータ構造(文字列、リスト、ハッシュ、セットなど)をサポートするため、「NoSQLデータベース」の一種、あるいはより正確には「データ構造サーバー」と呼ばれることもある。その高速性と多機能性から、Webアプリケーションのキャッシュ、セッション管理、リアルタイム分析、メッセージキューなど、多岐にわたる用途で利用されている。
Redisがその高性能を発揮する最大の理由は、データをディスクではなくメインメモリ上に保持することにある。ディスクへのアクセスはメモリへのアクセスと比較して格段に遅いため、データがメモリ上にあれば読み書きの速度は飛躍的に向上する。この特性により、ミリ秒単位、あるいはマイクロ秒単位での応答速度が求められるシステムにおいて特に有効である。しかし、メモリは揮発性であるため、コンピュータの電源が落ちるとデータが失われる可能性がある。Redisはこの問題に対応するため、後述する永続化の仕組みを提供している。また、利用可能なメモリ容量がデータサイズの上限となるため、非常に大規模なデータを全てRedisで管理することは通常行われない。
Redisは、キーと値のペアでデータを格納する基本的なKVS(Key-Value Store)だが、値として単純な文字列だけでなく、複数の複雑なデータ構造をサポートすることが大きな特徴である。 まず、**Strings(文字列)**は最も基本的なデータ型で、文字列、整数、浮動小数点数などを格納できる。カウンターの実装によく用いられる。 次に、**Lists(リスト)**は順番に並んだ文字列のコレクションで、メッセージキューの実装や、時系列データの保存に適している。リストの両端から高速に要素を追加・削除できる。 **Sets(セット)**は重複しない文字列のコレクションで、集合演算(和集合、積集合、差集合など)を高速に実行できるため、共通のタグを持つアイテムの検索や、ユニークユーザーのカウントなどに活用される。 **Hashes(ハッシュ)**はフィールドと値のペアのコレクションであり、オブジェクト(例:ユーザー情報)を表現するのに適しており、多数のフィールドを持つデータを効率的に格納できる。 そして、**Sorted Sets(ソート済みセット)**はセットにスコアという数値が追加されたデータ型で、スコアに基づいて要素が自動的にソートされるため、ランキングシステムや優先度キューの実装に利用される。 これらの多様なデータ構造と、それぞれの構造に特化した豊富なコマンド群により、Redisは開発者が様々なデータ操作をシンプルかつ効率的に行えるよう支援する。
Redisはインメモリデータベースだが、データの永続性を確保するためのオプションを提供している。これにより、サーバーが再起動してもデータが失われないように設定できる。主な永続化方法は二つある。一つは**RDB (Redis Database)で、特定の間隔でメモリ上のデータをディスクにスナップショットとして保存する方法である。データが失われる可能性のある期間は長くなるが、ファイルサイズが小さく、復旧が速いという利点がある。もう一つはAOF (Append Only File)**で、Redisサーバーが受け取った書き込みコマンドをログとしてファイルに追記していく方法である。RDBよりも細かくデータを保存できるため、データ損失のリスクを最小限に抑えられるが、ファイルサイズは大きくなる傾向がある。これらの永続化機能は、Redisを単なる一時的なキャッシュとしてではなく、ある程度の永続性を要求されるシステムのデータストアとしても利用可能にする。
Redisの主な用途としては、Webアプリケーションのキャッシュが挙げられる。頻繁にアクセスされるデータをRedisに保存することで、バックエンドデータベースへの負荷を大幅に軽減し、アプリケーションの応答速度を向上させる。また、セッション管理においても活用され、Webアプリケーションのユーザーセッション情報をRedisに保存することで、複数のアプリケーションサーバー間でセッション情報を共有でき、スケーラビリティが向上する。リアルタイム処理、例えばリーダーボード(スコアランキング)、リアルタイム分析、ストリーミングデータ処理など、高速なデータの読み書きと集計が求められる場面でも非常に有効である。さらに、リストデータ型やPub/Sub機能を利用したメッセージキュー/PUB/SUBとして、異なるサービス間の非同期通信やイベント駆動型アーキテクチャを実現し、マイクロサービス間の疎結合化にも貢献する。
Redisは、単一インスタンスでの利用に加えて、大規模なシステムに対応するためのスケーラビリティと高可用性を提供する機能も備えている。レプリケーションでは、マスターインスタンスとスレーブインスタンスを構成することで、マスターのデータをスレーブに複製できる。これにより、読み込み処理をスレーブに分散させ、マスターの負荷を軽減できるほか、マスターに障害が発生した際にスレーブが代替として機能することで、可用性を高める。Redis Sentinelは、マスターインスタンスの監視、障害検知、自動フェイルオーバー、そしてスレーブインスタンスへのマスター情報の自動提供を行うシステムである。これにより、人手を介さずにシステム障害からの復旧を可能にし、高可用性を実現する。さらに、Redis Clusterは、データを複数のRedisインスタンスに分散(シャーディング)させることで、メモリ容量や処理能力の限界を突破し、水平スケーリングを実現する。Redis Clusterは、データの分散管理、レプリケーション、フェイルオーバーを自動的に行い、大規模なデータセットと高負荷なワークロードに対応する。
Redisサーバーは、基本的に単一のイベントループを持つシングルスレッドで動作する。これは、複数のスレッドがデータにアクセスする際の同期処理によるオーバーヘッドや複雑なロック機構を避けることで、シンプルかつ高速な処理を実現するためである。ただし、時間がかかる特定のコマンド(例:大きなキーの削除)が実行されると、その間は他のコマンドの処理がブロックされる可能性があるため、利用する際は注意が必要である。Redis 4.0以降では、一部のバックグラウンド処理にマルチスレッドが導入されているが、主要なコマンド処理は依然としてシングルスレッドである。
Redisは、その高速性、多様なデータ構造、豊富な機能、そして柔軟なスケーラビリティによって、現代のWebサービスやエンタープライズシステムにおいて、不可欠なツールの一つとなっている。システムエンジニアを目指す上では、その特性と活用方法を理解することが非常に重要である。