MVVM(エムブイブイエム)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説

MVVM(エムブイブイエム)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。

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読み方

日本語表記

モデル・ビュー・ビューモデル (モデル・ビュー・ビューモデル)

英語表記

MVVM (エムブイブイエム)

用語解説

MVVM(Model-View-ViewModel)は、ユーザーインターフェースを持つアプリケーションを開発する際に利用される、ソフトウェアデザインパターンの一つである。主に、UIとビジネスロジック、データ層を明確に分離し、開発の効率化、テストの容易性、保守性の向上を図ることを目的としている。特にWPF、Silverlight、UWP、Xamarin、そして最近ではReact NativeやVue.jsといったモダンなUIフレームワークにおいて広く採用されている。MVVMは、MVC(Model-View-Controller)やMVP(Model-View-Presenter)といった既存のパターンから派生し、特にデータバインディングという強力な仕組みを最大限に活用するために生まれた。

MVVMパターンは、その名の通り「Model」「View」「ViewModel」の三つの主要なコンポーネントで構成される。それぞれのコンポーネントは特定の役割と責任を持ち、相互に連携しながらアプリケーション全体として機能する。

まず「Model」は、アプリケーションのデータと、そのデータを操作するためのビジネスロジックを扱う。データベースから取得した生データや、それを表現するためのオブジェクト、さらにはデータの検証や保存といった一連の処理がModelの責任範囲となる。ModelはViewやViewModelから完全に独立しており、UIに関する情報は一切持たない。これにより、アプリケーションの中核となるデータとロジックを、見た目の変更に影響されずに再利用可能にする。

次に「View」は、ユーザーが直接目にするユーザーインターフェース(UI)を担当する。ボタン、テキストボックス、リスト、画像などのUI要素の表示、レイアウト、そしてユーザーからの入力(ボタンクリック、テキスト入力など)のイベントを検知するのがViewの役割である。Viewは、ViewModelから提供されるデータを表示し、ユーザーの操作に応じてViewModelに処理を要求する。MVVMにおけるViewは可能な限り「薄く」保たれることが推奨されており、UIの表示に関するロジックのみに徹し、ビジネスロジックは一切含まない。

そして「ViewModel」は、MVVMパターンの中心的な存在であり、ViewとModelの間の仲介役を果たす。ViewModelは、Viewに表示するデータをModelから取得し、Viewの表示形式に合わせて整形する責任を持つ。例えば、複数のModelのデータを組み合わせて一つのViewに表示可能な形にしたり、表示用のプロパティを計算して提供したりする。また、Viewからのユーザー入力を受け取り、それをModelに渡して処理を依頼したり、必要に応じてModelの状態を更新したりする。ViewModelはViewのロジックを持つが、View自身への直接的な参照は持たないため、特定のUIフレームワークに依存せず、独立してテスト可能である。

ViewとViewModelの間の連携において、最も重要な概念が「データバインディング」と「コマンド」である。データバインディングは、ViewのUI要素のプロパティ(例:テキストボックスのTextプロパティ、チェックボックスのIsCheckedプロパティなど)とViewModelのプロパティを自動的に同期させる仕組みである。例えば、ViewModelの特定のプロパティが更新されると、それにバインドされたViewのUI要素も自動的に更新される。逆に、ViewのUI要素でユーザーが入力を行った場合、その入力値がViewModelのプロパティに自動的に反映されることもある。この双方向の同期により、ViewとViewModelの間に複雑なイベントハンドリングコードを書く必要がなくなり、コード量を削減し、保守性を高めることができる。

「コマンド」は、Viewからのユーザー操作(例:ボタンクリック)をViewModelのメソッドに紐付ける仕組みである。従来のUI開発では、ボタンクリックイベントに対してイベントハンドラをViewのコードビハインドに記述するのが一般的だったが、これによりViewがビジネスロジックを持つことになりがちだった。コマンドを利用することで、Viewは「この操作が行われた」という事実だけをViewModelに伝え、ViewModelがその操作に対する具体的なビジネスロジックを実行する。コマンドは、実行可能な状態かどうかの判断(例:入力が完了していない場合はボタンを無効にする)もViewModel側で制御できるため、Viewのコードからビジネスロジックをさらに分離できる。

MVVMパターンを導入する最大の利点は、関心事の分離が徹底されることである。これにより、各コンポーネントが独立して開発・テストできるようになり、特にViewModelはUIを持たないため、自動テストの対象としやすくなる。結果として、アプリケーション全体の品質向上に繋がり、機能追加や変更時の影響範囲を限定し、保守性を高める効果がある。また、UIデザイナーはViewの見た目を担当し、開発者はModelとViewModelのロジックに集中できるため、並行して作業を進めることが可能となり、開発効率の向上も期待できる。

しかし、MVVMは単純なアプリケーションではオーバーヘッドとなる可能性もある。データバインディングやコマンドといった概念の学習コスト、ViewModelを設計する複雑さ、そしてフレームワークの選定によってはボイラープレートコードが増える場合もある。これらの点を考慮し、アプリケーションの規模やチームのスキルセットに応じて適切なパターンを選択することが重要である。MVVMは、複雑なUIを持つ大規模なアプリケーションにおいて、その真価を発揮する強力なデザインパターンである。

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