NetBEUI(ネットビウイ)とは | 意味や読み方など丁寧でわかりやすい用語解説
NetBEUI(ネットビウイ)の意味や読み方など、初心者にもわかりやすいように丁寧に解説しています。
読み方
日本語表記
ネットビュイ (ネットビュイ)
英語表記
NetBEUI (ネットビュイ)
用語解説
NetBEUI(ネットビューイ)は、主に1990年代の小規模なLAN(Local Area Network)で利用されたネットワークプロトコルの一つである。Microsoft Windowsの初期バージョン、具体的にはWindows for Workgroups、Windows 95/98、Windows NTなどで標準的なプロトコルとして採用され、特に設定なしでPC同士がファイルを共有したり、プリンタを利用したりする際の通信基盤として広く用いられた。その最大の特徴は、非常にシンプルで高速な点にあるが、一方でルーティング機能を持たないため、大規模なネットワークやインターネットには適さないという限界があった。
NetBEUIは「NetBIOS Extended User Interface」の略であり、その名称が示す通り、NetBIOS(Network Basic Input/Output System)というAPI(Application Programming Interface)を拡張したプロトコルである。ここでいうNetBIOSは、ネットワーク上のコンピュータ間でセッションを確立し、データを送受信するためのプログラムインターフェースを指し、NetBEUIはそのNetBIOSが提供するサービスを実現するための具体的な通信プロトコルとして機能した。NetBIOS自体はプロトコルではなく、アプリケーションがネットワークサービスを利用するためのインターフェースであるため、そのインターフェースを通じて実際にデータ通信を行うためのプロトコルとしてNetBEUIが開発された。
NetBEUIの主なメリットは、その極めてシンプルな構造にある。IPアドレスのような複雑な論理アドレス設定が不要で、ネットワークケーブルでPCを接続すれば、ほとんど設定なしに互いを認識し、通信を開始できた。ネットワークに関する専門知識がまだ一般的でなかった当時、これはユーザーにとって非常に扱いやすい利点だった。また、プロトコルスタックが単純であるため、通信時のオーバーヘッドが少なく、同じLANセグメント内でのデータ転送は高速に行われた。ネットワーク上のコンピュータ名はブロードキャスト(同報通信)によって解決され、特定のコンピュータを探すためにネットワーク全体に問い合わせを送信する仕組みを持っていた。この自己解決型の名前解決機能も、設定の手間を省く上で有効だった。
しかし、NetBEUIには致命的な欠点があった。それは「非ルーティング性」である。NetBEUIはIPアドレスのような論理的なネットワークアドレスを持たず、主にMACアドレスとNetBIOS名に基づいて通信を行うため、ルーターを介した異なるネットワークセグメント間での通信ができない。ルーターは通常、論理アドレス(IPアドレスなど)を見てパケットを適切なネットワークに転送する役割を担うが、NetBEUIのフレームにはそのためのルーティング情報が含まれていなかったのである。このため、NetBEUIを使用できるのは、基本的に一つのブロードキャストドメイン(ルーターを越えずにブロードキャストが届く範囲)内に限られ、企業内の複数フロアにまたがるような大規模なネットワークや、インターネットのような広域ネットワークには全く適さなかった。
さらに、NetBEUIが採用していたブロードキャストによる名前解決やサービス発見の仕組みは、ネットワーク規模が大きくなるにつれて問題を引き起こした。ネットワーク上のすべてのデバイスがブロードキャストパケットを受信し処理するため、デバイス数が増加するとネットワーク全体の負荷が高まり、通信効率が著しく低下した。このような特性から、NetBEUIはネットワークの規模が数台から数十台程度の小規模な環境でしか実用的に使えなかった。
1990年代後半に入り、インターネットが急速に普及するとともに、ネットワークプロトコルの主流はTCP/IPへと移行していった。TCP/IPはルーティングが可能であり、グローバルなアドレス空間を持つため、小規模なLANからインターネットまで、あらゆる規模のネットワークに対応できる汎用性の高さが強みだった。Windows OSも次第にTCP/IPを標準プロトコルとして採用するようになり、NetBEUIはその役割を終え、ほとんど使われなくなっていった。現代のネットワーク環境では、NetBEUIが実際に稼働しているケースは極めて稀であり、古いシステムを扱う場合を除き、目にすることはほとんどない。しかし、そのシンプルさと小規模ネットワークにおける歴史的役割、そしてその限界を知ることは、ネットワークプロトコルの進化とTCP/IPの重要性を理解する上で重要な知識となる。